狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 9 - 神話や伝説を持つ
色とりどりの花の楽園。

(2011.07.08)

オヒアレフアに約束を(9/31)
 オアフは、まるで花の中に埋まっているようだ。
 歩いているだけで、さまざまな花に出会う。南国らしい濃い色彩のものもあれば、薄く柔らかな色の花もある。驚いたのは、一本の大きな木に、様々な色の花が咲いていたことだ。
 「ハワイの花にはそれぞれ伝説があるんだよ」
 日本では花束をくれたこともない彼が、ここでは目を輝かせて花の話をする。
 「たとえば?」
 「たとえば、オヒアレフアっていう植物。引き裂かれた恋人たちが、一緒にいたくて木と花に姿を変えたものだと言われている。木から花を摘むと、オヒアレフアは寂しくて涙を流す。すると島に雨が降るんだって」
 へえ。そう相づちを打ちながら、小さく赤い可憐な花を見つめる。
 わたし、あなたの気持ち分かるよ。いつだって、一緒にいたいに決まってるよね。
 今日は晴天。このまま、雨が降りませんように。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
プルメリア。レイに使われることが多い。ハワイを代表するといわれる甘い香りを持つ。
色鮮やかな黄色いハイビスカスはハワイの州花にも指定されている。


レストランに飾られた蘭。花を主役にすテーブルコーディネートはハワイならでは。
街路樹としてよく見かけるレインボー・シャワーツリー。一本の木にピンクと黄色の花が入り交じって咲く。


火山の女神ペレによって恋人だった二人が花と木に分けられてしまったという神話を持つオヒアレフアの花。
下向きに半分だけ花びらがあるビーチ・ナウパカ。伝説では上向きに花びらがあるマウンテン・ナウパカと恋人だった。


常夏の花の楽園ともいわれるオアフには、年中色とりどりの花が咲き乱れている。ハワイ固有の花の種類は2500種類以上。そのすべてにスピリチュアルな力があるとされ、昔から様々な神話や伝説を生み出してきた。なかでも男女の愛に関わる伝説が多く、知るとますますロマンティックな気分になれる。レイや髪飾りなど花を身につける習慣が多いのは、その存在に島の人々が敬意を払っているから。南の楽園に咲く美しい花々は心を癒してくれるだけでなく、自然に対する深い感謝の気持ちも呼び覚ましてくれるだろう。

 

■ DATA

オアフにも季節の変化がある。特に4月から6月は山の緑も一層濃くなり、もっとも多くの種類の花が楽しめる時期。もちろん歩いているだけでもたくさんの花に出合えるけれど、花の伝説や歴史に興味が湧いたら、ワイキキだとフォスター植物園など、施設を訪れてみるのもいい。

 

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■ 関連項目

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過去記事『今こそ、オアフ島!!』
オアフ観光局
iPadアプリ「今こそ! オアフ島」

 

Produce&Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau