from 金沢(早川)- 6 - 雪恋し……はんなりと、
雪輪文で涼しさを。

(2011.07.21)

夕暮れ時の浅野川、東の茶屋街を、着物姿で。

雪の結晶の形から生まれた文様「雪輪文」は、六角形の雪の結晶の輪郭を曲線でつないだものです。この文様は冬の情景を表すときに使われるばかりでなく、江戸時代から涼しさを演出するために夏の小袖に描かれました。

日本の着物には日本の四季の自然が描かれ、それぞれの季節を先取りして身につけます。そればかりか、真夏に「雪輪文」で涼しさを演出するという、ほかの国にはないおしゃれに魅かれます。

金沢は着物姿の女性が多い町です。
真夏の蒸し暑さの中でも、単衣の着物なら袖を通り抜ける風に、心地よさを感じます。
夕暮れ時の浅野川、東の茶屋街を、着物姿でそぞろ歩き。そんなときに立ち寄りたいお店がいくつかあります。

お茶屋をギャラリー『茶房 一笑』にて。

お茶屋をギャラリーと喫茶に改装した、『茶房 一笑』。加賀棒茶と季節感あふれる金沢の和菓子を楽しむ茶房です。一人で入っても心地よく迎えられ、お茶をいただきながら静かなひとときが過ごせます。

お麩の不室屋に立ち寄り、お土産に加賀麩の細工麩を購入。

お吸い物に添えると華やかになる細工麩は、お土産に購入するばかりでなく、家使いにも重宝します。

金沢の街を、涼やかに着物で過ごしたい。雪恋し。
雪輪文で涼しさを演出するおしゃれに魅かれ、ずっと「雪輪文」の単衣を探していました。

真夏に「雪輪文」で涼やかに、
ほかの国にはないおしゃれ。

長年の夢がかないました。
金沢の呉服店『竹屋』で、淡い青みを帯びたベージュの地色に、上品な色調で描かれた雪輪文の着物に出会うことができました。
加賀友禅金沢竹屋は、創業天保七年の加賀友禅産元の老舗。センスのよい、加賀友禅と創作のきものやこものを扱っています。好みを聞いてもらい、オーダーすることもできます。

機会がある度、気軽にお店に立ち寄り、反物やこものをみせていただいていました。
やさしい初老の店主が、はやりの柄や、生地について丁寧に説明をしてくれます。
雪輪文を探していることを伝えると、清楚な反物を見せてくれました。
着物は親子代々受け継いで着ることができるため、これまでは祖母や母の着物を着ていました。この着物は私にとって初めて自分だけのために仕立てた着物になります。この着物を身にまとうと、気持ちがしゃきっとします。日本の文化の奥深さを誇りに思います。

竹屋

Tel.076-222-0006
石川県金沢市竪町17