狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 30 - サンセット・フラに魅せられて
ディナーを楽しむ至福の時間。
(2011.08.18)
オヒアレフアに約束を(30/31)
ハウス・ウィズアウト・ア・キーの大きな樹の下で、三人の男たちがウクレレやギターを鳴らしている。
「We should be together」と歌う優しい声が、波の音と混ざって響く。海沿いのレストランで聞くハワイアンミュージックは、明るいのに少しメロウだ。
ああ、もう明日帰らなくちゃいけない。その思いに、ますます寂しい気分になる。
東京に帰ったら、また彼はわたしだけのものじゃなくなる。忙しい忙しいって、何度も約束を反故にされたりするんだろう。彼をわたしだけのものにしたくて、プロポーズするつもりでここまで来た。だけど、やっぱり言えなかった。
八十才くらいの白銀色をした髪の女性が、舞台の前へ出た。楽団の男に何か耳打ちをする。すると男たちはすぐに音楽を奏で始めた。女性の顔がぱっと華やぐ。両手を横に伸ばし、ゆっくりと動かし始めた。
フラダンスを披露するために、飛び込みで舞台に上がったらしい。
フラを踊るおばあさんは、けして上手ではなかった。でもとても幸福そうだ。ときどき視線を投げかける先には、同じくらいの年のおじいさんがいる。きっと夫婦なのだろう。
彼が、おばあさんに向かって大きく手を叩いた。言葉がなくても伝わるもの。わたしたちも、いつかあんなふうに。
わたしも立ち上がって、精一杯の拍手を送った。
「We should be together」と歌う優しい声が、波の音と混ざって響く。海沿いのレストランで聞くハワイアンミュージックは、明るいのに少しメロウだ。
ああ、もう明日帰らなくちゃいけない。その思いに、ますます寂しい気分になる。
東京に帰ったら、また彼はわたしだけのものじゃなくなる。忙しい忙しいって、何度も約束を反故にされたりするんだろう。彼をわたしだけのものにしたくて、プロポーズするつもりでここまで来た。だけど、やっぱり言えなかった。
八十才くらいの白銀色をした髪の女性が、舞台の前へ出た。楽団の男に何か耳打ちをする。すると男たちはすぐに音楽を奏で始めた。女性の顔がぱっと華やぐ。両手を横に伸ばし、ゆっくりと動かし始めた。
フラダンスを披露するために、飛び込みで舞台に上がったらしい。
フラを踊るおばあさんは、けして上手ではなかった。でもとても幸福そうだ。ときどき視線を投げかける先には、同じくらいの年のおじいさんがいる。きっと夫婦なのだろう。
彼が、おばあさんに向かって大きく手を叩いた。言葉がなくても伝わるもの。わたしたちも、いつかあんなふうに。
わたしも立ち上がって、精一杯の拍手を送った。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
つづく »
日本でもなじみのあるフラもハワイアンミュージックも、ハワイに昔から伝わる伝統的な芸術だ。神々に捧げるため、また人々が楽しむために演奏され、踊られてきた。ハワイをイメージするとき、ワイキキやダイヤモンドヘッドを思い浮かべるのと同じようにフラを思い浮かべる人は多いはず。古代から伝わる聖なる踊りであるハワイ伝統の踊りは、地元の人にとどまらず、世界中の人々の心をもとらえている。海からの風が気持ちよく吹くワイキキビーチの夕刻。「ハウス・ウィズアウト・ア・キー」では、生演奏のハワイアンミュージックをバックにフラ・ショーが楽しめる。
■ DATA
ハレクラニ内
Tel.(808)923-2311
7:00~21:00
フラ&ハワイアンミュージックのエンターテイメントは毎日17:30~20:30
日曜日はデビー・ナカネルア、月曜日から土曜日はカノエ・ミラーのサンセット・フラが楽しめる。2人とも元ミス・ハワイだ。また火曜日と木曜日の17:00~20:30には「サンセット キアヴェ グリル」と呼ばれるグルメバーベキューディナーが開催される。「ハウス・ウィズアウト・ア・キー特製バーガー」$17など。
■ 関連項目
・過去記事『今こそ、オアフ島!!』
・オアフ観光局
・iPadアプリ「今こそ! オアフ島」
Produce & Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau