from パリ(河) – 16 - フランスの冬は魚貝三昧!

(2011.03.05)
高級な平牡蠣“ブロン”とあさり。

今年のフランスの冬は、前半は毎日のように雪で、後半は雨がしとしと降る灰色の日々が続き、何かと大変でした。数十年ぶりの大雪に見舞われ、天災慣れしていないフランスでは、除雪が間に合わず、高速道路で車が立ち往生し、車の中で一夜を過ごすヒトが続出というハプニングもありました。パリでは雪解け水でセーヌ河が氾濫するかも!という危機もありましたが、その危機は幸い免れました。

リュクサンブール公園の雪で覆われた芝生でくつろぐかもめたち。
リュクサンブール公園にこんなに雪が積もるのは珍しいこと。
冬の灰色の空の下のエッフェル塔。

さて、毎日どんよりと空気が重たく、陰気な気分になるパリの冬ですが、食いしん坊にはそう悪い季節ではありません。冬は何といっても貝・甲殻類が美味しい季節! フランス人は意外なことに、貝類は生を好んで食べます。日本人から見ると抵抗があるかもしれませんが、あさりやはまぐりみたいな二枚貝も生で食します。この時期、レストランやブラッスリーでは、大きな丸い銀色のプレートに生牡蠣や数種の貝、手長海老、蟹などをふんだんに盛り込んだ、「海の幸の盛り合わせ」(プラトー・ド・フリュイ・ド・メール/Plateau de fruits de mer)が大人気。「そんなに、食べれるの !?」、と目を見張るほどの量で出てくるのですが、日本人でも意外にぺろっといけます。このプラトー・ド・フリュイ・ド・メールは、大晦日のパーティーの定番料理となっていて、ブラッスリーに配達を頼む家庭も少なくありません。日持ちはしませんが、フランスのおせち料理と言えるでしょうか。

海の幸のプレート、フランス語でプラトー・ド・フリュイ・ド・メール。

フランスの貝類の王様は何といっても生牡蠣。パリでは冬になると、市場に牡蠣専門の露天商が立ちます。街角のカフェのテラスにも、牡蠣バーが特設され、レストランに行かなくても、カフェで気軽に、しかもリーズナブルに生牡蠣を味わうことができます。勿論、お持ち帰りも可。殻を自分で開けられなくても、生産者のお兄さん(おじさんの率が高いかな)がきれいに開けてくれます。その場合は、家に持ち帰ってすぐに食べるのが鉄則です。牡蠣の大きさは0~5と6段階ありますが、一番大きいのは「0」。生で美味しいサイズは「2~3」です。

牡蠣の産地としては、ブルターニュ、ノルマンディー、シャラント・マリティーム、アルカシオンなど大西洋側の地域が特に有名。いろいろな種類がありますが、ポピュラーなのは、小粒で緑色を帯びたフィーヌ・ド・クレール(Fine de Claire/シャラント・マリティーム県マレンヌ町の特産)と、スペシャル(spécial)。フランスの牡蠣は貝独特の臭みや苦味がなく、小粒で淡白な味わいなので、いくらでもするする入ります。美食家の間で人気が高いのは、ブルターニュ地方のブロン川で養殖されるブロン牡蠣(Belon)。丸くて平らな形をした高級牡蠣で、ヘーゼルナッツの風味と繊細な舌触りが特徴。平牡蠣は日本では特別なオイスター・バーでしか味わえないので、フランスでぜひ一度試してみてください。

 

15区、モット・ピケ・グルネル駅近くのカフェの人気牡蠣バー。
冬になるとカフェに併設される牡蠣バー。

最後にお勧めのお店を紹介します。

Brasserie Le Stella
133, Avenue Victor-Hugo 75016 Paris
Tel : +33 1 56 90 56 00 

私のイチオシのブラッスリーです! 魚貝がオーダーできるのは11月頃から5月末まで。生ウニが入荷することもあります! 予約ができないので早めの時間に行くのがベター。

 

Brasserie Suffren
84, Avenue Suffren 75015 Paris
Tel: +33 1 45 66 97 86

ご近所なので、友人と良く行くブラッスリー。エッフェル塔の近くなので、観光帰りにも良いロケーション。ここの海の幸の盛り合わせはコストパフォーマンスが○。

15区のスフラン大通りの老舗ブラッスリー

 

L’Huîtrerie Régis
3, rue Montfaucon 75006 Paris
Tel: +33 1 44 41 10 07
月曜定休

「牡蠣屋」、という店名通り、牡蠣と数種の魚貝しか扱わない、10席ほどの小さなオイスター・バー。余計なものは一切なく、ひたすら魚貝を堪能できるお店です。ワインのセレクトも素晴らしい。サービスは良いとはいえないですが、素材のクォリティが高いので満足できます。