from ヘルシンキ - 5 - 「自分の心に素直に、決断をためらわないで」by Piia

(2010.03.08)

「フィンランド女性に学ぶ 幸せ力」
File.04 Piia Saario(32歳)

3人の子育てをしながら
外国語教師を続けてきたワーキングマザー。
昨年末、4人目の女の子を出産した
Piiaさんにお話をうかがいました。
家庭で職場で常に子どもたちと
向き合っているPiiaさんならではの、
しなやかで自然体の「幸せ力」、
お届けします。

 
Work:ありのままの感情をぶつけてくる子どもたち。

外国語教育に特化している小中一貫校で、スウェーデン語とドイツ語の語学教師をしています。
生徒の年齢は13歳から16歳。週に10回の授業を担当しています。
勤務時間は8時~14時までと短めですが、
多感な時期の子どもたちを相手にするのでエネルギーと集中力が必要です。
家にもたくさん子どもがいるのに、どうして学校で働くの?と聞かれますが、
子どもを相手にするこの仕事が大好きです。
人は、大人になるとどうしても、周りの人や状況に合わせて、
気持ちを隠したり偽ったりしてしまうものです。
でも、子どもたちは違う。いつも、彼らは「彼ら」そのもの。
素直に、ありのままの感情をぶつけてきます。
そんな彼らと真剣に向き合っていると、毎日色々な発見がある。
それがこの仕事のおもしろさです。

教室の写真。(Itäkeskuksen peruskouluのHPより)

Family:私には必要だったから。

同世代の友人を見ていると、結婚していても子どものいない家庭が多いです。
だから、「なぜ4人も子どもを産んだの?」とよく聞かれます。
私の答えはシンプル。子どもが好きで、私には必要だったから。
 

妹の誕生を喜ぶ子どもたち。

 
Happiness:受け入れること。

子どもたちが元気で楽しく過ごせることが何よりも大事。
でも、子どもたちと楽しく過ごすには、私自身のための時間も確保して、
精神的にバランスをとらなければなりません。
仕事は続けます。社会の中で刺激を得ることも必要だから。
幸い私の仕事は、短時間集中で早く家に帰れるので、たすかっています。
子どもたちを寝かせた後、ゆっくり読書や映画を楽しむ時間も好きです。
3人の子どもを育てて気づいたのは、「完璧」を目指さないほうがいいということ。
すべて自分の理想どおりにコントロールしたいと思うと、永遠に幸せになれない。
子どもたちがいると、予定通りにいかないことだらけです。
うまくいかないことも受け入れる。
家族も自分も幸せでいるためには、この心構えが大切だと思います。

 

Dream for next 10 years:大きな家がほしいけど、家族団らんのほうが大事。

10年後には、子どもたちそれぞれの人生の選択が出てきます。
勉強、趣味、ファッション、もしかしたらボーイフレンドも!
よく話をして、ひとりひとりの選択を応援していきたいです。
娘のボーイフレンドを受け入れられるかどうかは、分からないですが(笑)。
そして、子どもたちの成長にあわせて、今住んでいる家をリフォームして
もっと部屋を広くしたいです。
でも、大きな家が手に入らなくて、狭いリビングだったとしても、
家族みんなが集まって一緒に笑って過ごせたら、それでじゅうぶん幸せです。

家族全員そろっている時間が一番楽しい。

 
Message:自分の心に素直に、決断をためらわないで。

「もっといい人に出会ったら」「今のプロジェクトが終わったら」「昇進したら」
様々な理由で結婚や出産を先送りした友人を見てきました。
人はそれぞれ状況も価値観も違うから、その選択は否定しません。
ただ、友人に相談されるたびに私が思うこと。
ひとつ満たされても、また次の条件が出てきて、「理想」の条件は永遠に満たされない。
むしろ、決断を先送りすることで、タイミングを失う可能性だってあります。
迷っている人には、自分の心に素直になって決断をためらわないで、と伝えたいです。

—–

取材を終えた頃、外で遊んでいた3人の子どもたちがいっせいに帰ってきました。
子どもたちに囲まれるPiiaさん。来年から職場に復帰する予定です。
4人の育児と仕事の両立を、しなやかに楽しむ姿が想像されます。
 

外から帰ってきた子どもたち。

 
※この内容は、2010年2月17日取材当時の情報です。