from 仙台 – 9 - 新仙台紀行2 アートの力とは。

(2009.07.22)

原 広司設計、宮城県図書館

創造主の力とは、偉大なものである。
仕事で海外を旅して回っているとき、どちらからと聞かれ、「仙台」と答えてもあまり知られておりませんでしたが、以前ご紹介しました伊東豊雄氏設計せんだいメディアテークが建てられてからは、欧米のアート、デザイン、建築等、クリエイティブな人すべてに知られるようになりました。
それもスーパーフューチャーなイメージ都市として。
創造主の創造力は、創造を超えるパワーを持っているものと伊東先生の力に感服いたしました。
また同じように、欧米からも見に来られる世界的なアーティストの作品が仙台市内に点在しております。その中から、宮城県図書館内のジョセフ・コスース、川俣 正、宮城県美術館内のダニ・キャラバンの作品をご紹介いたします。

ジョセフ・コスース(アメリカ)作 「Twice Defined(二重の定義)」

壁面に日本語と英語の言葉が並んでいます。これは、大槻文彦の初版「言海」(1891年)、ウェブスターの「簡明英語辞典」(1806年)、近代日本とアメリカの最初の国語辞典が共有する単語の中から、図書館という空間に会うものを選び作品として完成させたもので、東西の言語が、言葉の海の水平線のように、歴史的、具体的につながっていくアートとなっております。

川俣 正(日本)作 「書見の道」

鬱蒼とした森の中、そこには、枕木を敷いた小道があり、東屋が点在しています。北海道生まれである川俣氏が、自然の中に「公園としての図書館」というイメージをふくらませました。木々に囲まれた敷地全体がアートとなっております。

ダニ・キャラバン(イスラエル)作 「mayan(泉)」

宮城県美術館の構造体である4mの柱をモチーフにコンクリートの支柱を8本立て、その先にあるケヤキの木と水の流れをつなげることにより、有機質と無機質をつなげ、生命の根源というものを表現しております。

以上創造主の作る力ある作品は、信者の集まる神のように、人々に多大な影響を与え、そこに芸術と文化を生み出し、その創造活動が大きな経済活動へと変わり、そこに都市を作るのだと思います。今、仙台で今までに類をみない創造産業がおころうとしております。必ず仙台の明日が、変わることと思います。