from ヘルシンキ - 9 - 「“自分中心”に考えることも必要」by Mirkka

(2010.04.22)

「フィンランド女性に学ぶ 幸せ力」
File.08 Mirkka Henttonen(37歳)

1年間の育児休暇を終え、
去年から仕事に復帰したMirkkaさん。
娘のMelissaちゃんの育児に奮闘しながら、
赤十字社でアフリカ地域支援プログラム
担当職員として働いています。
「妻」「母」としての家庭での役割と、
国際協力の仕事。
両立の難しさ、
喜びについてお話いただきました。

 
Work:子どもの頃からの夢だった、国際協力の仕事。

子どもの頃から、海外で働くこと、国際協力の分野で働くことを夢見ていました。
初めての衝撃的な海外経験は、グアテマラへの旅でした。
見たことも触れたこともなかった文化との出会い。そして、貧困の中にあっても挫けず、
笑顔を見せてくれた人々の姿が、とても印象的でした。
国や文化が異なる人々と協力することの醍醐味を、そのとき初めて体験しました。
国際協力の現場で働くため、大学院で社会人類学の修士号、公衆衛生学の修士号を取得。
国連人口基金の技術職員として、南アフリカ共和国、コンゴ共和国などで働きました。

2008年に子どもを授かり、出産と育児のため1年間仕事を離れました。
昨年夏に、フィンランドHIV基金とエイズ評議会で仕事を再開。
フルタイムではなく時間を短縮して働くことができ、労働環境には恵まれていました。
しかし、私が心の底から熱意を持って取り組める仕事は、
国際協力の現場だとあらためて考え、赤十字社に移りました。
現在の赤十字社での仕事はフルタイムで、時間的にも体力的にも大変ですが、
働くことの喜びを感じています。

 
Happiness:子どもさえいれば毎日が幸せ、ではありませんでした。

フルタイムで働きながら、幼い子どもを育てる生活は、時間との闘いです。
夫の仕事はフライトアテンダントなので、毎日家に帰ってくるわけではありません。
夫が家にいるときは家事や育児を分担できますが、
1人で乗り越えなければいけないことが多いのが現状です。
大変でも今の仕事を続けているのは、経済的な理由以上に、
仕事が好きで、私には必要な活動だからです。
仕事を離れ、出産と育児に専念していた1年間は、幸せな時間でした。
でも、子どもさえいれば毎日が幸せ、ではありませんでした。
子どもと向き合うだけの生活で、行き詰ってしまった瞬間もありました。
家族はかけがえのない大切な存在ですが、
仕事をする時間も私にとっては大切なことなのだと実感しました。
娘はもうすぐ2歳。とても手のかかる時期です。毎日めまぐるしく変化し、
成長する時期でもあります。子どもとのこの貴重な時間を幸せに過ごすためにも、
育児と仕事のコンビネーションを実現させていきたいです。

Melissaちゃんとの時間。

Dream For Next 10 years:家族との良い関係と、チャレンジングな仕事。

夫婦、家族が良い関係でいられることが大切です。
将来は、家族が増えたらいいなと考えています。養子を迎えることも検討しています。
今後10年の間に、海外で生活している可能性もあります。
心からおもしろいと思えるチャレンジングな仕事をしていたいです。

旅先での家族写真。

 

Message:“自分中心”に考えることも必要。

ときには“自分中心”に、本当にしたいことは何かを考えることが
必要だと思います。
私にとっては、子どもを育てながらも仕事を続けることが、
自尊心を維持するために必要でした。
母親になっても、働くことは可能だと信じています。

 

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■取材後記

日々奮闘するMirkkaさん。覚えたての言葉を一生懸命繰り返すMelissaちゃんを
見ているときの、包み込むようなあたたかい笑顔が印象的でした。

ヘルシンキもようやく長い冬が終わり、春を迎えました。
春の様子を少しだけ、写真でお届けします。

雪がとけ、お花や鳥が春の訪れを感じさせてくれています。

 
※この内容は、2010年4月取材当時の情報です。