土屋孝元のお洒落奇譚。パリは変わらない街、 いつ来ても美しい。- Promenade parisienne –

(2013.09.27)

『ケ・ブランリー美術館』へ。

久しぶりにパリへ出かけました。 昔来た時と街並は変わらず、ナポレオンⅢ世の都市計画というから驚きですが、いつ来ても、本当にお洒落な街だと思います。

今回の旅行の目的のひとつ、パリでも最新の美術館『ケ・ブランリー美術館(Musée du quai Branly)』はジャン・ヌーベルの建築も素晴らしく、展示内容も、洗練されたものでした。内容は、大まかにアメリカ・アジア・アフリカ・オセアニアと各地域別に大きくわけられていて、それぞれの民族の祭祀や祭りなどに使われた道具やお面、衣装、アクセサリーなどが現代美術の様に展示されています。それぞれのコーナーには、休憩スペースがあり、このスペースもアフリカの泥で作られたような住居を模し低いパーテーションで囲われています。ビデオの解説も英語、フランス語、スペイン語、などで流れていて、それぞれの地域を俯瞰することが出来るのです。

中に入り大きな吹き抜けのスペースには、アメリカ・インディアンのトーテンム・ポールが立ち、高さ20mをはるかに超えるかという威風堂々の景観でした、アフリカの部族のお面も普段見慣れているサイズは骨董店などにある高さ1mくらいまでのものですが、ここまでの大きさは見たことがないような高さ3mくらいのサイズのものが並んでいるのです。

インドネシア、タイ、ミャンマー、チベットなどのバティック・イカットなどをはじめとする布製品など綺麗なものが揃えてあります。


『ケ・ブランリー美術館』の展示より。

『ケ・ブランリー美術館』の平面図。

特に気に入ったものは、チベット密教の仏(ヤマーンタカ)日本では、大威徳明王と呼ばれる仏を布(絹本)に描かれたものでした。日本では東寺に仏像彫刻があります、確か根津美術館には軸装の重要文化財か国宝の大威徳明王もありますね。

アラビアや北アフリカの部族の宝飾品、ナイフなど、いまのデザインにもそのまま使えるようなものがいっぱいでした、完成されたデザインは変わらないのかもしれません。アクセサリーのデザインについては、現代とほとんど変わらないのです、メキシコからペルーあたりの祭りの衣装には、東北のナマハゲにも共通するものがあり、以前、本で読んだ、世界各地、アメリカインディアン、インディオ、マヤ、インド、アラスカエスキモー、マオリ、ケルト、ラップ、などに古代から伝承される民話に海から髭の男がやって来て、いろいろなことを教えてくれた。というお話を思い出しました。

その本によると、今は第四紀で過去に三回、大きな災害を受け人類は生き延びたらしいのです。

あまりこちらに偏りよりすぎてもと思うので、話を戻し、この美術館入口には『言葉の川』という現代美術作品があり、なだらかなスロープを流れるように動き、この言葉の川が会場内へ誘うアプローチとなっていました。

言葉が天井の何処かから投射され、その言葉のひとつひとつの集合体が川の流れのように動いて行くのです、写真をご覧ください。


『ケ・ブランリー美術館』のエントランスより。

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ミュージアム・ショップも世界各地の民族音楽のCDや映像のDVDなども揃います、アフリカの部族の民芸品など、日本より手頃な価格でした。

この『ケ・ブランリー美術館』の周りには新しく植栽がされていて、最新のガーデニング・デザインを見ることもできます。

このケ・ブランリーは、とても便利な場所にあります。今回泊まったホテル『ダービーアルマホテル(Le Derby Alma)』からも近かったです。ホテルからはメトロでアルマ・メルソー(Alma-Marceau )、国鉄ではポン・デ・アルマ(Pont de l’Alma )下車。アルマ橋の近くです。

ここは7区で、各国大使館なども多く エッフェル塔を何処の路地からでも望められるので、ちょっと得した気分でした。

近くには、パリでも最近評判のサン・ドミニク通りがあり、普通の生活の一部をのぞけるので楽しめ、美味しいブーランジェリーやショコラティエ、パティスリー、洒落た洋品店、チーズ屋さん、ブラッセリー、カフェ、肉屋さん、花屋さん、魚屋さん、が並び、土曜日には、マルシェが立ち、パリの人々がやって来て買い物をしていました。

このマルシェの八百屋さんには、ラズベリーやイチゴ、アプリコット、洋ナシ、パプリカ、桃(たしか、蟠桃(バントウ:桃の原種)が並び、どれも見た目は驚くほど新鮮そうで、安いのです。メロン5ユーロ レモン1個 1ユーロ 洋梨ひと盛り4~5個で3ユーロ、種類が豊富で洋梨も赤みがあるもの、青いものがありました。リンゴも小さく赤いもの、青リンゴ、黄色いリンゴなど。イチジクも黒い種類、青い種類などありました。

花屋さんの花もバラの花束が20本で10ユーロくらいです。カサブランカでさえ、10から20本の花束でも15ユーロくらいでした。


エッフェル塔が見える街角。

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ほんとうにフランスは豊かな大農業国だと実感できるのです。『レ・ドゥ・マーゴ(Les Deux Magots)』でなくとも、街角のカフェで飲むカフェクレム(Café Crème)、ジャンボンサンド、と、何を食べても普通に美味しい。ミルクの濃さ、バケットとハムの組み合わせも東京とは違います。

カフェによってはハムもチーズもいろいろな種類から選んでチョイスできて便利でした。僕の好みのジャンボンサンドはハムは加熱した豚ももの脂身のない赤みのハム、確か「パリジャン」と呼ばれるパリ市内で製造されるハムにチーズはグリエールチーズ。これに、キュウリのピクルスが少々あるとなお、美味しいです。

バケットはどこのブーランジェリーでもだいたい1ユーロです。朝街角のカフェで朝食を食べていると、このバケットを買いにきて一本だけ抱えて歩くパリジャンを見かけます。映画のようですが、普通にバケットを何も包まずに小脇に抱えスーツで歩いているのです。どこが美味しいブーランジェリーかは、並んでいる人数ですぐにわかります。

先ほどのサン・ドミニクのブーランジェリー『ネリージュリアン(NELLY JULIEN)』では開店前、朝の7時前から並んでいる人を見ました。 バケットもどこでもいいという訳ではないのでしょう、住んでいるところの近所で美味しいブーランジェリーが人気なのかもしれませんね。


カフェのデジュネ。カフェ・クレム、ジュ・ド・ランジュとジャンボンサンド。

『ケ・ブランリー美術館』

ホテル

『ダービーアルマホテル(Le Derby Alma)』 8 Avenue Rapp, 75007 Paris

カヌレ

『ルモワンヌ(LEMOINE )』74, rue Saint Dominique, 75007 Paris

バゲット

『ネリージュリアン(NELLY JULIEN)』 85 rue Saint Dominique, 75007 Paris