from 北海道(道北) - 5 - いにしえの道、
増毛山道を歩く。

(2011.10.11)

甦るいにしえの道。

北海道の北西部に位置する増毛町。歴史敵遺産が多く残るこのマチには、長い間、人々に忘れれた道があった。

今年7月16日、増毛山道体験トレッキングに参加した。増毛山道は増毛町別苅から石狩市浜益区幌までの約27㎞。この道は、江戸時代末期の安政4~5年頃、当時増毛と浜益のニシン漁の請負人であった伊達林右衛門が函館奉行の勅命により私財を投じ切り開いた。当時は商用や生活道路して使われていたが、険しい山道故に次第に忘れさられた道となった。

今から3年前、笹藪におおわれ失われた山道を復元しようと増毛山道の会が発足した。山道の測量や笹刈と多くの力を結集し現在、別苅から岩尾までの16㎞が復元され今回体験トレッキングが実施された。


羆の領域へ。

国道231号別苅のバス停横にひっそりと「増毛山道入口」の標柱がある。午前7時出発。あいにくの雨模様ではあったが湿った笹の葉は、絨毯の上を歩いているかのように靴底が心地よい。復元された道以外はやはり険しい山である。時折見かける熊の糞は、ここが獣たちの領域だと再認識させられる。

2時間ほど歩くと朽ちた木製の柱が現れた。これは明治22年に設置された電報などをやりとりするための電信線の電柱だという。昼過ぎ、別苅から約9.5㎞の地点「武好駅逓」跡地に到着。増毛や浜益方面から来る郵便配達人(逓送人)が郵便物を交換したこの場所は、交通の要所でもあり宿泊所などにも利用されていた。現在、建物はないが残されたビール瓶と三平皿だけが当時の生活を思わせる。


昔日の記憶。

後半、険しい山道はほぼ下りとなるが、途中、暑寒岳から流れる沢を何度か渡ることになる。雨のため足場が悪くロープをかけ下りる個所もある。当時この山道を生活のために荷物を背負い歩いた先人の事が頭をかすめた。道すがら増毛山道の案内の方が話してくれた。「かつて天候が悪く、船が出ない岩尾の中学生が受験のためこの山道を歩いて増毛へ行ったことがある」と。失われたこの山道は、かつて人々にとって、重要な役割を果たしていたことや復元された増毛山道の皆さんの熱き想いを感じる事ができた貴重な体験であった。



 

NPO増毛山道の会
るもい地域情報サイト:るもいfan
るもい体験NAVI-ナビ-

【エフエムもえる】
北海道留萌市にある、地域の魅力と情報を住民主体で受発信するためのコミュニティFM放送局。
市民パーソナリティは100名を越える。地域ポータルサイト、地域フリーペーパーの編集局や留萌観光連盟の事務局を担い、体験観光や地産地食にも取組む。