狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 18 - 今も昔も愛される快適ウェア、
アロハを着てオアフを楽しもう。

(2011.07.28)

オヒアレフアに約束を(18/31)
 せっかくだからアロハシャツを買おう、そう言って彼はアロハ専門店に入っていった。
 「あ、じゃあお揃いのを買おうよ」
 そう言ったら、彼は慌てて「嫌だよ」とすぐに否定した。
 「なんで?」
 「ペアルックなんて恥ずかしい。百年前の新婚さんでもあるまいし」
 別にいいじゃない、そう言おうかと思ったけれど、あまりの彼の嫌がり方にすっかり意気をそがれてしまった。
 ため息をついて店を見渡してみたら、アロハ柄のテディベアを見つけた。
 「ハワイにはアロハ・フライデーっていうのがあって、毎週金曜日は銀行やオフィス勤めの人たちが、アロハで出社するんだって」
 彼はアロハシャツを選びながら言った。
 「ハワイの伝統を忘れないために、だって。日本もやればいいのにな。キモノ・フライデー」
 伝統的な柄なのだというアロハを一生懸命眺めている彼の後ろを、相づちを打ちながらついて歩く。キモノ・フライデーは少し、面倒くさいなとか思いながら。
 お揃いは諦める。でも彼が選んだアロハと同じ柄のテディベアを買うつもりでいるってことには、気づかれないようにしなければ。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
ベイリーズの店の前で、オーナーのベイリーさんとスタッフのリヤンさん。二人ともさすが、アロハがよく似合っている。
レインズの店内。豊富なサイズ展開に加えデザインも様々。地元のビジネスパーソンにも人気。


ベイリーズの店内。ヴィンテージ・ムームーや雑貨もあるので女子もワクワク気分で楽しめる。
ラハイナ・セーラというレインズの伝統的なデザインのアロハ。レインズの人気はここから始まったといっても過言ではない。


ハワイではビジネスウェアとしても公的に認められているアロハシャツは、“節電ビズ”が叫ばれる今年の日本でも注目のアイテム。もともとは日系移民が手持ちの和服をシャツに仕立て直したのが前身といわれている。時代のニーズや流行によって次第に変化して、今では様々な色や形、柄のものがある。特に古いものはヴィンテージ・アロハとして世界中にコレクターがいるほどの人気。オアフには新品のみならず、ヴィンテージを扱う店も多くあるので、ここでしか手に入らない新作や掘り出し物を探してみるのもいい。お気に入りのアロハシャツを見つけたら、さっそく着て歩けばロコの気分が味わえるかも。

 

■ DATA

Reyn’s レインズ

アラモアナ・センター内
1450 Ala Moana Blvd.,Shop 2067 Honolulu
Tel.(808)949-5929
月曜〜土曜9:00~21:00
日曜10:00~19:00

ボタンダウンとプルオーバーのアロハはまさに「レインズ」スタイル。リバーシブルのように見えるバックプリント生地を使用していることでも有名だ。1959年にアラモアナ・センターがオープンした当時からオアフで親しまれている。最近では今の時代に合わせてデザインをリユースしたヴィンテージ柄が人気。有名サーファー等とのコラボ作品も意欲的に発表している。これ、といった1枚が必ず見つかる定番の店。
 

ベイリーズ・アンティーク&アロハシャツ

517 Kapahulu Ave. Honolulu
Tel.(808)734-7628
月曜〜日曜10:00~18:00

“世界一のコレクション”と称されるだけあって、店内には所狭しとヴィンテージ・アロハシャツが並べられている。その数はなんと、1万枚以上。オーナーのベイリーさんは、早稲田大学で日本のカルチャーなどを学んだことがあるとか。じっくり探せばきっとお気に入りの一枚が見つかるはず。

 

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■ 関連項目

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過去記事『今こそ、オアフ島!!』
オアフ観光局
iPadアプリ「今こそ! オアフ島」

 

Produce&Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau