from 鳥取 – 46 - 地域限定・製造直売。ジャガイモも肉も入らない“コロッケ”!?

(2010.04.22)

かなり前のことですが、「煮物するから天ぷら買ってきて~」と頼まれたことがありました。江戸っ子の私は、天ぷらといえば、揚げ物! と当たり前のようにエビや野菜の天ぷらを買って帰り、大笑いされました。むむ? 大笑いの理由は名称の違い。鳥取では、“天ぷら”は“さつま揚げ”のことなのでした。

そして、この春またまた同じ出来事が。その名は「コロッケ」。県の中部地域に住む友人からのお土産でした。食べてびっくり。肉もじゃがいもも入っていない、不思議なコロッケだったのです。

サックリきつね色に揚がったその姿形はやはりコロッケ。でも一口食べると、あら! パリッと揚がった衣に、ぷりっとした弾力ある歯ごたえ。

製造販売をしている高塚かまぼこ店によれば「魚のすり身と野菜、唐辛子をまぜあわせ、パン粉をつけて揚げています」とのこと。おお、まさにコロッケ! よく見かける肉の代わりに魚を使ったものとは違い、食感は完全に練り物です。鳥取風に言えば、天ぷらにパン粉をつけて揚げてあり、サクッとぷりっがなんとも絶妙です。聞けば、県中部地域ではごく普通に“コロッケ”は練り物のひとつとして存在し、おやつやおつまみとしてすでに半世紀以上も愛され続けているそうです。

お店によって多少の違いはあるものの、13センチ前後の手のひらサイズ。「あぶい蒲鉾」では、揚げたてを袋に入れてくれるので、そのままパクリといただける。

主にたらなどの白身魚を使用しますが、なかにはあご(飛魚)を使ったものや、入れる野菜も玉ねぎから人参まで様々。お味はというと、野菜の甘味がきいたものから、唐辛子の辛さがやみつきになるものなど、個性色々でとっても美味しい! また、揚げることで風味がよりアップして、お魚が苦手なこどもでも大丈夫。そして、どちらかというとサブ・副菜的な扱いの練り物ですが、揚げ物なので一気に主役に躍り出ます。実際、前述の友人宅では帰りの遅くなった日の夕飯には、必ずこの“コロッケ”がメインとして食卓に並ぶそうです。

「高塚かまぼこ」のコロッケは、細かな衣でソフトな食感。唐辛子のピリ辛風味がやみつきに。1枚120円。
今が旬のあご(飛魚)のすり身を100%使ったニューフェイス、「あぶい蒲鉾」のあごカツ。1枚200円。
「高塚かまぼこ」のコロッケは、細かな衣でソフトな食感。唐辛子のピリ辛風味がやみつきに。1枚120円。

水産資源に恵まれた鳥取には、たくさんの練り物があり、その地域独特の練り物文化が根強く残っています。コロッケもその一つですが、さらに上をいくびっくり練り物がこちら。“料理かまぼこ”と呼ばれる細工をほどこしたかまぼこです。見事な彩色と形状で、お祝い用と仏事用があります。地元でも古くからの風習として今だ健在ですが、最近では真空パック加工やネット販売が始まり、遠方からの注文も増えているそうです。

さてコロッケですが、県中部地域ではスーパーでも売っています。ですが、ここはやっぱり製造直売・かまぼこ屋さんがオススメです。中部の八橋地区では、国道9号線沿いに老舗のかまぼこ店がなんと3つも連なるようにあり、まるでかまぼこ街道のようになっています。どこも駐車場が大きく、揚げたてをいただけたり、店内に飲食スペースがあったりとなかなか快適。ドライブ途中にふらりと立ち寄り、そこで食べるのもよし、お土産にするのもよし。とっても便利で美味しい地元グルメなのです。

余談ですがこの春、鳥取自動車道が開通し中国道から鳥取市内へのアクセスがとても便利になりました。鳥取道を降りたあとは、ぜひ国道9号線を走ってみてください。これからの季節はコバルトブルーの透き通った美しい海を見ながら、快適なドライブが楽しめます。その際には、ぜひこのコロッケを忘れずお供にしてくださいね。

 

コロッケの購入はこちら

高塚かまぼこ店
Tel:0858-52-2717
住所:鳥取県東伯郡琴浦町八橋162
営:7:30~18:30 元旦のみ休
http://takakama.hal.ne.jp/

あぶい蒲鉾
Tel:0858-52-2750
住所:鳥取県東伯郡琴浦町八橋363-2
営:9:00~18:30 元旦のみ休
http://www.abui.co.jp/

北中かまぼこ
Tel:0858-52-2767
住所:鳥取県東伯郡琴浦町八橋宮ノ前1703-1
営:6:00~18:00 1/1・1/2休