狗飼恭子のロマンティック・オアフ・ストーリー - 16 - ハワイ語の言葉をお守りにして
受け継がれて行くジュエリー。

(2011.07.22)

オヒアレフアに約束を(16/31)
 ショウウインドーの前で思わず足が止まった。ハワイアンジュエリーだ。じっと見ているわたしに、ようやく彼が気づく。
 「なに?」
 「ハワイのお守りみたいなもの。母親が娘に送ったり、男性が恋人に送ったりするんだよ」
 彼は、わたしの腕にはめられている金色の腕輪に目をとめる。わたしの腕も、もう日焼けして綺麗な小麦色に染まり始めている。
 「それもハワイアンジュエリーだろ? 誰に貰ったの」
 ほんの少しの嫉妬を感じて、わたしは慌てて「母からだよ」と答える。
 彫ってあるのは、「ナウコウアロハ」という言葉。わたしのすべてをあなたに、という意味だ。
 「へえ。きみのお母さん、ハワイに来たことがあるんだね。最近?」
 「ううん、ずっと前に」
 母だけじゃない。父もだ。
 わたしがずっとオアフに来たかった理由を、そろそろ彼に話してみようかな、なんて思った。
 金の腕輪は強い太陽を浴びて、きらきらと光っていた。
(恋愛小説家・狗飼恭子)
つづく »
職人の手彫りのバングル。花と葉と波の模様がそろった絵柄は「ファンシー・プリンセス」と呼ばれて人気がある。
元ミス・ハワイのカノエ・ミラーさんの腕に光るハワイアン・ジュエリーのバングル。母からと友人から贈られたもの。


ハワイ語が刻まれたペンダント。好きな言葉を選んで彫ってもらえる。裏に名前を刻んでもらうこともできる。
店の外観。ハワイアン・ジュエリーの他にもかわいいお土産が揃う。


伝統的なハワイアン・ジュエリーは、金のバングルに職人が手作業で彫刻をしたもの。もともとはハワイ最後の女王であるリリウオカラニ女王がイギリス王家から贈られた金のバングルに感動して、同じものをハワイで作らせたのが始まりとされている。それ以来、母から娘へと代々贈られるのが伝統になってきたのだとか。今では、高校の卒業、孫が生まれた記念など、何かの節目に願いをこめて贈ったり贈られたり、また、恋人への贈り物や、結婚指輪に使われることも。デザインのモチーフに使われているのはネイチャーアイランドであるハワイらしく、花や波などの自然界。好きなハワイ語の文字を刻んで身に付ければ、その言葉がお守りとして見守ってくれそう。オアフの思い出にお気に入りのハワイアン・ジュエリーを手に入れて、ハワイの素敵な習慣をつねに身近に感じるのも素敵。

 

■ DATA

モニ ホノルル

2131 Kalakaua Ave., Honolulu
Tel.(808)926-9006
年中無休

ワイキキからも近く、本格的な職人の手彫りのハワイアン・ジュエリーが購入できる人気の店。オーナーが日本人ということもあり、スタッフも日本語が話せるので安心。ゴールドのバングルは、職人の手彫ともなるとかなり高価だが、シルバー素材やペンダント、指輪などは比較的手に入れやすい。ジュエリーに刻むハワイ語で特に人気なのは「神に守られる」という意味の「Malulani」(マルラニ)や「幸せ」という意味の「Laule a」(ラウレア)。身に付ける人や好きな人の名前も一緒に刻むケースが多い。

 

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■ 関連項目

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過去記事『今こそ、オアフ島!!』
オアフ観光局
iPadアプリ「今こそ! オアフ島」

 

Produce&Photographs: Yuji Komatsu
Special Thanks: Ritsue Honma / O’ahu Visitors Bureau