Par-delà le Pont – 3 - ルイ・フィリップ橋(Pont Louis Philippe)革命に縁深く、東西で別の顔を持つ小悪魔な橋。

(2010.12.20)

こんにちは~。

もうまもなく、クリスマスですね。
街のイルミネーションを眺めているだけで、幸せなクリスマスの空気をいっぱい吸い込んだような感じになって、何となく嬉しい気持ちがするシーズンかもしれません。
みなさんは、お元気ですか?

パリの街も例年通り、シャンゼリゼ大通りをはじめとして、コンコルド広場にある大観覧車、野外スケート場なんかが、クリスマス仕様でライトアップされているみたいです。
さらに、パリ市が「Paris Illumine Paris(パリが照らすパリ)」というキャンペーンを主催して、大通りやデパートなどの125か所をライトアップしているとのこと。
このキャンペーンで使われる電飾は、全部でなんと18万キロメートルになるそうで、規模の大きさが期待できそうです。

11月の半ばから始まったこのライトアップは、1月半ばまで続くそうです。
クリスマスが終わってからパリに行っても、充分見られそうですね!

さて、セーヌ川に架かる、パリ市内30本の橋を追っていく連載。
「マレ/シテ島地区」シリーズ・第3回目の今回は、ルイ・フィリップ橋を渡ります。
どうぞよろしく、お付き合いいただけたら嬉しいです。

サン・ルイ島の河岸から。橋の西側。

静かで落ち着いた界隈にある前回のマリー橋から、サン・ルイ島の北側を西へ数分も歩くと、だんだんと高い建物がなくなり風景が明るくなって、ルイ・フィリップ橋に着きます。

サン・ルイ島の西端から右岸に架かるルイ・フィリップ橋では、視界が急に開けます。晴れた日は、西にあるシテ島を挟んで南北に別れていくセーヌ川の水面が、まぶしいくらいキラキラと輝いて、自分の心までキラキラと輝いてくる気がしてきます。気のせいでしょうか。

シテ島に建つノートルダム寺院の後ろ姿からは、観光客の楽しげな歓声すら聞こえてきそうで、とにかく今までの落ち着いた雰囲気ががらっと変わって、光と音がにぎやかに入ってくる印象を受けるのです。
 

アーチの向こうは、シテ島に架かるアルコール橋
アルコール橋から見たサン・ルイ島(正面)。左がルイ・フィリップ橋。

さて、このルイ・フィリップ橋に最初の石を置いたのは、国王ルイ=フィリップ。1830年の7月革命で、ブルボン朝最後の国王だったシャルル10世を倒したことを記念して、石を置いたわけです。

1833年に完成した時には鉄の吊り橋で、シテ島から(少しサン・ルイ島の端を通って)右岸に架かっていました。(現在の橋は、サン・ルイ島から右岸に架かっています)。ところが1848年に起こった2月革命によって、橋の南側が燃えてしまいました。

その後は、1862年に改築されて現在のような石の橋になり、現在のような位置になったのです。

ところでこの橋、7月革命といい2月革命といい、どうも革命に縁がある様子。橋自身にも革命のように、何かを大きく変えてしまう力があったりするのでしょうか? しないのでしょうか?

確かにこの橋の上に立って、明るくてにぎやかな西側の風景を見てから振り返って、物静かで落ち着いた東側の風景(マリー橋のある方ですね)を見ると、気分がかなり簡単に変わってしまいます。ただ振り向いただけなのに、

浮足立つ気持ちを落ち着けてくれたり、逆にさみしい気持ちを明るくしてくれたり。見る人の心持ちに革命を起こす──そんな役割を楽しんでる、橋なのかもしれません。

前回と今回は、サン・ルイ島の北側から右岸に架かる橋をご一緒させていただきました。次回は、サン・ルイ島の南側から左岸に架かる、トゥルネル橋を渡ります。

それでは、素敵なクリスマスをお過ごしくださいね。
Joyeux Noël☆

 

Pont Louis Philippe
ルイ・フィリップ橋

竣工:1862年
長さ:100m
幅:15.2m
建築家:エドモン・ジュール・フェリーヌ・ロマニ・ジョルジュ・マルタン・ジュール・サヴァラン
形式:アーチ橋
素材:石
最寄駅:Pont Marie駅(メトロ7号線)、Hotel de ville駅(メトロ1、11号線)
付近の観光スポット:パリ市役所