土屋孝元のお洒落奇譚。パトンの夜に……。

(2010.11.30)

先週、プーケットのパトンビーチのタイ料理屋にて、
ドイツ人の団体さん達と同席しました。

たまたま、席がなく、
その団体さんたちの席が空いていたのでその席に案内され、
座った途端、横の席にいたおばさまから声がかかりました。

あなたは、ポーシェかポッシェかと聞こえたのですが、
ポーシェとは? 
僕も解らず、料理用語? 

よく聞いてみると、センスの良い人のこと? 
お洒落な人? 
パリジャンと前のおじさんが言っています。
おぼろげに理解しました。

そのおばさまはもう半年もプーケットに滞在し、
何も仕事はしていないということでした
。どこから来たのですか、と尋ねると、
おばさまはハイデルベルクと答えました。

©Takayoshi Tsuchiya

僕はバイエルンですね、と、言い、
友人がハイデルベルクに住んでいてビオラ奏者です、
と言うと、みんなでドイツ語を話し、
その事を共有したようでした。

一番遠い席のおじさんが、
日本に行った事があるとか言っているのですが、
まわりの喧騒でよく聞こえません。
「こんにちわ」と「さようなら」を言っています。

ドイツ人の団体さん達は、
タイ料理の海鮮野菜炒めやパッタイ(タイ風焼きそば)などをシェアして
シンハビールを飲み楽しんでいました。

僕はパッタイとトムヤムクン、スチームライス、
シンハービールで1000円ぐらいでしょうか。
美味しくて安くて、良い街です。

©Takayoshi Tsuchiya

その時、気がついたのですが、
日本人カップル、(年齢は20代半ばから後半かと思います。)が隣のテーブルに居て
話したそうな顔をしていて、
話しては来ないのです。

ふと、何を食べているのかと思いテーブルを見ると、
パンケーキとお水だけの食事です。
タイ料理屋にてパンケーキとは? 
そのまま食べ終わると出て行ってしまいました。
話してくれれば、メニューの選択ぐらいアドバイスしたのになと。

ドイツ人の団体さん達は、明日もこの辺りにいますよ。と言い、
ムエタイでも見に行くと出て行ってしまいました。

さきほどのおじさんは「さよなら」と「こんにちわ」を、
日本語で大きな声で繰り返しながら、出て行きました。

それから、今度はフランス人かアラブ、
モロッコかチュニジアかのカップルが入って来て、
メニューを眺めています。
ここはヨーロッパの人が多く、
アメリカ人は比較的少ない場所ですね。

パトンの夜の街へ繰り出すと、
ゴーゴーバーの入り口近くに人だかりができていて、
観光客達がみんな写真を撮っています。
タイではレディボーイと呼ばれる、ニューハーフ達がお立ち台にてポールダンスを始め、
それをみんな撮影しているのです。

©Takayoshi Tsuchiya

ある、オランダ系かと思われる観光客の娘はムービーをまわしています。
それに合わせてニューハーフ達もダンスに熱が入り、
いよいよ佳境です。身長180cmを超えるニューハーフ達がハイヒールを履くと2m近くになり、
見た目にも、かなりの迫力です。

中には、全く見分けがつかない以上の綺麗な娘もいて、
タイの奥深さに改めて気づかされます。
よく観察すると このニューハーフ達にもヒエラルキーがあり、
お立ち台にいる娘達はトップスターで客寄せも兼ねる。
次には、カウンターに居てお客さんを相手にする娘達、
一番下が ビラ配りや、お運びの娘達。

そこを離れて夜の街を歩いていても、僕は客引きからは声がかかりません、
何人と見られているのでしょうか。
韓国人の男の子達、青年達が、素早く客引きに呼び止められ、困っています。

客引きをやっと引き離したかと思いきや、
こんどはニューハーフのおばさんがやって来ました。
それを横目で見ながら、スターバックスに入り、
街を観察していると、
イギリス人らしきお父さんと中学生か高校生くらいの2人の息子達がやって来ました。

お父さんはパイプを吸いたいらしく、
外の席に座り、息子達にオーダーを頼み待っています。
息子達がコーヒーを持ち席にやってきても立たせています。

こういうところは厳しく、親が優先する。
日本では親が立ち子供に席を譲ったりしますが、
見習いたいですね。

いろんな国の人々を見られて面白い夜でした。