from 鳥取 – 7 - 鳥取の冬の味覚は女性にうれしい秘密あり。

(2009.01.09)

はじめまして。生まれも育ちも江戸っ子の私、縁あって今、鳥取に住んでいます。
東京から空路で1時間ちょっとと意外に近く、日本海に面した東西に横長い形の県です。透明度が高く美しい海や日本最大級の砂丘、スキーもできる大山(だいせん)などがあり、なかなかのリゾート地。ゆえに、お散歩道でヘビとにらめっことか、洗濯物についたカメムシとの格闘など、自然の豊かさが疎ましく思える日もあるけれど、これでけっこう楽しく暮らしています。

そんな我が家は、松葉ガニの水揚げで有名な網代(あじろ)漁港のそばにあります。
船が入った日には行商のおばちゃんが、軽ワゴンに獲れたてぴちぴちの魚を積んで売りにきます。
今の季節はやっぱりカニ、そしてカレイがメイン。むむっ、その中に見慣れぬ顔を発見!
ひとつは細長く、ややぬめっとしていて、なんとなく白いどじょうのよう。
もうひとつは目が小さく下膨れで、うつぼを連想させる不気味な魚。

「ばばあ」の全身。
体長は50センチほどでけっこう迫力あり。

大きな目が特徴の「どぎ」。キスにも似ていてるが、全身のぬめりがポイント。

「どぎ」の煮付け。柔らかい白身で味の染み込みもいい。たっぷりのゼラチンがこれまた美味。

実はこの2匹、この地方独特のおいしい冬の味覚なのです。その名も「どぎ」と「ばばあ」。
正式名称は「ノロゲンゲ」と「タナカゲンゲ」という少し深い海にいるお魚です。
どちらもカニ漁の網にたまたま一緒に入っちゃう、いわばおまけで昔は捨てられていたそう。
でもこのお魚さん、特に女性にはうれしい存在なんです。
両方とも白身で淡白な味なので、お鍋や煮つけなどのヘルシー料理にぴったり。
「ばばあ」は唐揚にしても美味。お肉の唐揚より低カロリーなので揚げ物好きにはうれしいところ。
「どぎ」は、加熱すると体の粘液が溶け出し、煮汁がドロドロ地獄状態になります。
魚の身のほうも、とろとろとした食感でゼラチンのよう。そう、このドロとろがポイント。
まさに良質のコラーゲンたっぷりで、お肌ぷりぷり髪つやつや効果が期待できます。
で、このドロドロはずるずるっとそばのようにすすり、魚と一緒に食べるのが本式。
体も芯から温まり、嬉しいこと尽くしなのです。

どちらのお魚も3月頃までが旬。そこで私のおすすめをご紹介。
プロの味を堪能したいなら岩美町大谷にある“くいもんや さざなみ”へ。
味にうるさい地元の漁師さんも納得の味で、ボリューム満点なのにお値段もお手頃。
水揚げ量が少なく手に入りにくい「どぎ」も市場にあれば仕入れてくれます。
もうひとつは網代漁港内にある“浜勝商店”。創業70年以上の老舗で朝獲れの新鮮な魚介類がたくさん。
お土産に自宅用にとお店で買えるのはもちろん、「ばばあ」はネット販売もあり1匹1000円から宅配OK。
身がたくさんあるので、お鍋に唐揚にと“ばばあフルコース”ができるかも。
今しかない冬限定の海の幸、ぜひ召し上がれ。
 

日本海の旬の魚介類が並ぶ鮮魚店。
浜勝商店
TEL: 0857-72-8101

「ばばあ」「どぎ」料理を食べられる。
くいもんや“さざなみ”
0857-72-0305
※「どぎ」は必ず確認をしてください。