from ミュンヘン – 5 - ミュンヘンから電車で一時間、アマーゼー湖畔を歩く。

(2010.09.02)

日本はまだまだ暑さが続いているようですが、ミュンヘンはすっかり秋模様。昨晩は12℃、そして昼間でもジャケットを羽織らないと肌寒いくらいになってきて寂しい限りです。ミュンヘンの人々はそんな短い夏を思い思いに楽しむのですが、週末の過ごし方は山登り、ハイキング、キャンピング、サイクリング、ボートなど“自然”と向き合うものが多いように思います。そんなドイツ人的夏の過ごし方を学ぶべく、先日ドイツ人の友人W氏に招かれ、Ammersee(アマーゼー)湖があるHerrsching(ハーシング)という町の夏祭りに行ってきたのでご紹介しようと思います。

見ていると自分もやってみたくなる単純で面白い競技。

 

ハーシングは郊外電車(Sバーン)のひとつS8の終点駅で、ミュンヘン中央駅からは南西に1時間くらいで行ける距離です。この町のアマーゼー湖はドイツのなかでも大きい湖で、市内から至近なこともあってミュンヘン市民に人気の行楽地となっています。実際に行ってみると日本の海岸のように混雑していることもなく、湖岸でビールを飲む人、ボートやカヤックに興じる人、水着で日光浴する人など思い思いにのんびりと時間を楽しむ姿がありました。この湖では夏の時期には遊覧船(1周3時間程)が運航するほか、ヨットスクールなども催されるとのことでした。
 

場所によっては奥にドイツ最高峰のツークシュピッツェ山が見える。晴れた日なら昼間からビールを飲みたくなる。
舵取りは上手にボートの距離を一定に保っていた。一方が落ちたら拍手の瞬間。
一番深いところで80mもある。

夏祭りといってもさほど大きいものではなかったのですが、毎年開催されている恒例行事で、特設テントでのライブのほかに面白いイベントを見ることが出来ました。それは2艘のボートの先端に乗った競技者がそれぞれ長い棒を持って向き合い、相手を突いて湖に落としたら勝ちというこの湖独特の競技です。なかなか勝負が決まらず熱戦となったり女性の参加があったりと大いに盛り上がりました。特設会場の脇では豚の丸焼きやソーセージの屋台などが並び、ビールに見合うメニューが用意されていました。今回は鯖の串焼きをいただきましたが、このメニュー、ビアガーデンやイベント時に見る機会が多く、魚が手に入りにくいミュンヘンで暮らすぼくにとってはありがたい一品です。

鯖の串焼き、一本10~12ユーロほど。煙と匂いに誘われてついつい買ってしまう。
焼きあがったら薄くスライスしてパンにはさんで食べる、一体何人前あるんだろう?
子供は木に登ってぶら下がる遊びに興じる。

今回招待してもらったドイツ人ファミリーはこのアマーゼー湖が見渡せる湖畔に家があり、庭から眺める景色は、「ここはセレブの別荘か!?」と思わせるようなところでした。ミュンヘンでは自宅をホームオフィスとして仕事用に構える人が多いのですが、このファミリーも同じで、ガーデンのデザイン設計をしているというW氏は自宅の一室をオフィスとして使っていました。こんな素敵な環境で仕事ができることを羨ましく思いました。W氏の奥さんの話だと、このあたりに住む人は冬になると自前のスケート靴を持ち出して湖上でスケートを楽しむとのこと。冬にはマイナス15℃くらいまで冷え込むミュンヘンでは、当然のことながら湖全体も氷に覆われそんなこともできるのです。自然の湖の上でアイススケートをするってなんだか楽しそうです。

W氏の自宅からの眺め。朝は前の通りをジョギングする人の姿がチラホラ。

ハーシングにはアマーゼー湖のほかに、もうひとつ見所があります。それは丘の上に立つアンデックス修道院のビール醸造所です。修道院の醸造所としてビールをつくり始めたのが1455年で、かの森鴎外がドイツ留学中にもここを訪れた記述があるそうです。見晴らしの良い高台にビアガーデンもある直営レストランがあり、ここで新鮮なビールと料理を頂くのは最高。夏はもちろん、冬でも人手が耐えない人気レストランで、Stammtisch(スタムティッシュ/常連客の意)がマイグラスを特設のグラス専用ロッカーに保存する姿も。修道院もなかなか見応えがあり訪れる価値があります。この修道院に行くには駅からバス出ていますが、歩いても一時間ほどなので、ハイキングを兼ねて散歩する人も多いです。
 

ビアガーデンは夏だけの風物詩。
アンデックス修道院の内部。落ち着く空間。
樽出しのビール「Keller bier(ケラービア)」は飲みやすくてゴクゴクいけてしまう。
マイグラスを保存していた人、いかにも飲みそうな体型をしていた。

 

ミュンヘン周辺にはこのほかにも、ノイシュバンシュタイン城で有名なルードヴィッヒ2世がつくったお城がある“キンムゼー湖”やトレッキングなどもできる“テーガンゼー湖”など、湖での夏の祝日を楽しく過ごすことができるスポットが満載です。是非訪れてみてください。

アンデックス修道院/醸造所
住所:Bergstraße 2, 82346 Andechs
Tel:+49–81–523760
ホームページ: http://www.andechs.de(英語サイト有)

ミュンヘン市内の直営レストラン
Andechser am Dom(アンデクサー・アム・ドーム)

住所:Weinstraße 7, 80333 München
Tel:+49–81–298481
ホームページ:http://www.andechser-am-dom.de/