from パリ(たなか) – 4 - モンパルナスで見た映画とクレープ屋さん。

(2009.05.25)

きょうはメーデー、フランスは休日だ。フランスのカレンダーに合わせて私も休みにして、イナバさんと映画を見に行くことにした。外国で日本映画を見るという少し屈折した興味を覚えながら、モンパルナスの映画館で上映中の『歩いても歩いても』を選ぶ。

『歩いても歩いても』は、『Still walking』。パリでも中高年にじわーっと人気上昇中。
11時からの最初の回だったが、休日ということもあって客の入りはまあまあ。入場料は6ユーロ。高齢者割引は無し。ここは名画座系のシネマコンプレックスで、“ぽにょ”も上映中だった。モンパルナスには映画館が7〜8館あるそうだ。

淡々とした映画かと思っていたら、あちこちに見せ場が用意されていて、観客席からも時々笑い声が上がっていた。樹木希林とYOUの自然体の会話がすごく絶妙。日本的な暗い台所で料理するシーンは、匂いがするほどリアル。しかし、日本人である私でも聞き取りにくいディープ?な日本語なので、フランス語字幕など読み取る余裕も能力もないし、もしかするとフランス人の方がちゃんと理解したんじゃないか、なんて思う。

映画に出てくる京浜急行の赤い電車や、いしだあゆみのブルーライトヨコハマに、横浜で暮らした経験のある私はじーんと来ちゃいました。客は圧倒的に団塊世代が多い。老人問題や親と子の確執は世界中どこの国でも、現代の家族の切実なテーマであることを実感する。パリで今週の人気ベストテンの上位に入っていることが妙に嬉しかった。是枝監督に拍手。

この通りには何軒もクレープ屋があるが、イナバさんお気に入りがこの『PLOUGASTEL(プルーガステル)』。スキップしてる子どもの手をよく見るとスズランの花束。パリでは5月1日に、この花を友人に贈る習慣があるそうだ
二つの丸い鉄板で、お兄さんが一人で手際よく焼いて、タイミングよく熱々がテーブルに運ばれる
シードルはノルマンディーの特産で、陶器の茶碗で飲む。私は酒になる前のリンゴジュースで満足。素朴な柄の紙ナプキンは、テイクアウトしました。

映画館を出てお腹も空いたことだし、イナバさんの案内でモンパルナス通りにあるクレープ屋さんへ向かう。店の紙ナプキンが素朴で可愛い。黒いそば粉のガレットにお肉系を包んだものを一枚と、白い小麦粉のクレープをデザートに一枚食べるのがこの店のスタイルだそう。私はオーソドックスにハムと玉子とチーズ、イナバさんは内臓のソーセージ。デザートは塩キャラメル。2枚食べると思ったより満腹感あり。

そば粉のガレットはブルターニュの痩せた土地の郷土料理だそう。イナバさんが注文した内臓ソーセージは、匂いからして素朴というか、はっきり言って臭い。その凶暴な味がクセになりそう。
写真で見るとどれも同じに見えるが、クレープを甘く見てはいけない。濃厚なキャラメルとバター風味が口の中でとろけて、一直線に幸福気分。イナバさんはシンプルなバターに粉砂糖かけ。

帰り道にメトロのDenfert Rochereau(ダンフェール・ロシュロー)駅の広場で、メーデーに集まった人々を見物した。天気もよく、アフリカ系の太鼓を叩くグループや、屋台も繰り出し、もうお祭り騒ぎだ。久しぶりに聞くインターナショナルが懐かしかった。

日本では絶滅?が危惧される赤旗だが、さすがパリは本場だけある。