from パリ(田中) – 22 - バスティーユ広場裏のマンガ通り

(2009.09.28)

パリにもマンガ喫茶「MANGA CAFÉ」が出来たという噂を聞いた。なんとカルチェラタンにあるらしい。私は日本のマンガ喫茶も話にしか知らないし、パリの店にまで行って見たいと思うほどのマンガ愛好家ではない。秋葉原のメイドカフェだって、テレビのレポート番組でしか見たことないし、大体そんなとこ還暦過ぎたジイさんが行く場所でもないしね。マンガ喫茶とメイドカフェは、同じ喫茶でも行く動機が違うのは分かるが、以前アキバでパン缶を買った時に、レジのお姉さんのセーラー服になんだかすごく居心地が悪い思いをしたくらいだし、お金払って居心地悪さを楽しむほど酔狂ではない。

トンカムは日本のマンガも翻訳出版しているマンガ専門の老舗出版社で、ここは本やグッズなども販売する直営店。マンガ通りは、この店から始まったそうだ。店の前にベリブがずらっと並んでいる。

パリにはマンガ通りだってあるよ、とイナバさんが言うので、“通り”だったら店に入るわけでもないし、ひやかしに見て歩くのも悪くないかと、探検に出かけた。バスティーユ広場から、緩やかにカーブした11区のシャロンヌ通り(Rue de Charonne)に入り、ブティックやらモダンなインテリアショップやらを見つつ、スープ専門店で軽くランチをすませ、『猫が行方不明』という10年ほど前の映画で有名になったという『ポーズカフェ(PaUSe CaFé )』の角を 左へ折れると、そこが目指すマンガ通りMANGA DORIだ。といっても地図上の正式な表記はケレー通りRue Kellerではあるが。

『猫が行方不明』って映画、私は見てないけど、この界隈が舞台らしい。ところで手前の女の子が乗ってるベリブvelib’一度は乗ってみたいと思いながら、なかなか実現出来ない。あちこちにステーションがあって、便利そうだけど。
MANGA DORIをマンガ鳥と読んでしまった。

東京のウラハラ(裏原)みたいな人懐っこいシャロンヌ通りと違って、このケレー通りには白い壁のアパルトマンがきちんと整列していて、一見すると地味で殺風景な印象で、直線の道路も無駄にダダッ広い。この清楚なアパルトマンの1階部分を、派手な色で塗ったくったマンガ系の店が虫食い状態に浸食しているのがマンガ通りです、という言い方には悪意が感じられるかなあ。でも静かな通りに、分けわかんない原色の虫歯がインベーダーみたいに増えて行ったような印象なんですよ。

入るのに勇気がいるなあ。
Japanimeってジャパンアニメの略か?
ゴシック系にはやっぱ革ジャン!
マリオくん。
Tシャツ専門。

店の看板にはMANGAの文字が踊り、ウィンドーには日本のマンガ本やフィギュア、コスプレ衣装などが所狭しと陳列してある。中をちょっと覗いたが、がらーんとして人気がなく、怪しいものがいっぱいあるようで、入ったら何か話さないと変なおじさんになるし、話しかけられても応えられないし、変なフィギュアなんか押し付けられても困るし、マンガのこと詳しくもないし、なんとなく怖い雰囲気だし、やっぱり入るのを躊躇してしまった。私が行ったのは昼メシ時だったので店は閑散としていたが、どうやら夜になるとその筋の客で賑わうということだ。日本のマンガやアニメがパリでインベーダーのように繁殖を続けることは、フランスの伝統的なマンガにとっては問題があるのかも知れないが、こういった草の根的な雑種文化を楽しむことが、これからの時代には重要だと思います、はい。アフガニスタンへの国際貢献も、海上自衛隊がインド洋で給油活動するよりマンガを配ったほうがいいのでは?