椿の楽園大島便り - 1 - アートアイランズ 伊豆大島
波浮港現代美術展2011

(2011.08.24)

東京から一番近い島、伊豆大島。
どこまでも碧く透明な海と雄大な三原山から裾野の広がる力強い緑。
ハワイ島と姉妹都市を結ぶほど、自然豊か。
手付かずで独自の文化を培ってきた美しい
島を流れる柔らかい空気は都会人を優しく包む。
自然と人が共存する
柔らかい空気に触れに伊豆大島へ。

大島の最大の魅力は、
冬から春にかけて咲くジャポネイラ。
島中至る所を覆う通称「ヤブ椿」。
赤い椿の花のアーチを潜りぬける光景は、
まさに、椿の楽園。
弾けんばかりに丸く膨らむ椿の実もまた赤い夏。
島民が実を収穫する秋。
それは大島名産、椿オイルとなり、
人々の美と健康を作る。


100%手作りオーガニックオイル、「ジャポネイラ」の島より。大島便り。

大島のゲートウェイは、元町港。三原山の麓の源泉が沸く小さな中心地。ここから、周囲約52キロ。車なら約1時間で回れる広さの島。海岸線に点在する魅力的な海水浴スポットで海に飛び込んでみれば、青や黄色のトロピカルな魚、時には磯に遊びに来るイルカにも出会えます。

2011年お盆の週、元町では帰省客にあわせて、2日間の夏祭りと港花火大会が開催されました。夕方から、通りには夜店がずらりと並び、2011年ミス大島とミスアンコの発表もありました。盆踊と夜9時、港であがる花火大会で盛り上がる盆の週末。

元町から車で25分も走ると、大島最南端の美しい天然の良港、第二の港、波浮の港。かつて多くの文学人に愛された、情緒ある坂の港町。明治、大正、昭和にかけて幸田露伴、林芙美子、与謝野晶子、棟方志功、萩原朔太郎など名だたる文人が訪れ、波浮にまつわる文学作品や絵画を残したほど、ノスタルジック。石碑に彫られた彼らの詩を詠みながら、石畳の散歩道を辿る波浮時間。

波浮のお盆は、旧波浮小学校を中心に町へとアートというキーワードで結ぶ、国内外29名が参加する島で初の現代美術展が開幕しました。

富士に連なる火の島の ほのほにうがつ 火のみなと
月星古りてしづまれど、かの聖き火を心とす
友よ われらは 波浮の子ぞ 友よわれらは波浮の子ぞ。

旧波浮小学校の校歌より。


「アートアイランズ 2011波浮港現代美術展」8月13日-8月28日

坂の上の小学校。初日には、主催者で発起人の高田芳樹さんによる、ガイディングツアーが開催され出展作家の皆様とお話する機会。

廃校となった波浮小学校の用務員室、警備員室、給食室、実験室、プールまで会場として展示され、そこから、野外展示されている町上と、港町へと続く約2時間、波浮の現代アート散歩で知る町の様子。

オープニングアクトで元町港をチョークでジャックした、横浜ヴィエンナーレ、ヴェネチアヴィエンナーレにも招聘された堀尾貞治さんによるハプニングアートや、三原山へ向かっていく堀尾さんの姿を撮影して上映している韓国出身大島在住のLee OK-Namさんの作品は、躍動感溢れ、人間の心理に迫る映像は座ってじっくり鑑賞したい作品です。

ベルリンから来日しているアーティスト、トーマス・ファン・アックスさんは、山肌にクレーンでかかげた、漢字4文字のインスタレーション。同じくベルリンからアナ・バートさんは、満月の夜に身体表現のパフォーマンスを行いました。
 
その中には、大島のシンボル、ヤブ椿からイメージしたという作品と出会いました。小学校内廊下に白いロープと椿の葉。島に滞在期間中毎日、葉を摘んで仕上げていくインスタレーション。50年も使われていない旅館、甚之丸邸。薄暗い日本家屋の広間の畳の上に赤い椿の花がちりばめられた作品。日本ライフル射撃協会の名誉会長 菊池氏の日本家屋の庭のインスタレーション。坂牛幹雄さんの椿の木の彫刻。いずれの椿の作品も、葉、花、幹と3つの部分をそれぞれに表現した島へのオマージュです。


坂の多い港町を歩けばお腹もすきます。波浮の美味しいおやつ情報。

忘れてはならないのは、甚之丸邸にきたら、お隣の「梵天」のモチモチのたい焼きと、カキ氷。島名産の明日葉入りのたい焼きの夏バージョン、冷やしたい焼きは絶品です。マンゴークリーム。豆乳小豆クリーム。ブルーべーリークリームなどバリエーションも豊富。暑い夏でも冷えたモチモチのたい焼きは何個でも入ります。また大島ならではの明日葉小豆の氷、大島牛乳の氷もおすすめです。風通しのいい木陰のベンチに座って、若き店主に波浮の話を聞くと時間を忘れてしまいます。

港へ降りてきたら、商店街の港の突き当たり一番奥のコロッケ屋さん。40年も島民前から愛されているコロッケ。店で見ていると、地元っ子は、何個も買って港に座って家族で熱々を頬張っていました。コロッケ60円。カレーコロッケ70円。
 
主催者の高田さんより、壮大な自然の産物である美しい山は、時に火を噴き、過疎で不便であるが、独自の風土と文化と日々の営みがあります。現代美術作家が様々な課題で見せる現代アート展で旧き港町に新しい息吹を。このイベントを続けて行きたいと熱く語っていました。

28日まで多くのワークショップやイベントが開催されます。詳細はホームページでご覧下さい。大島での展示は28日に閉幕しますが、9月9日から都内で報告展示会を行うのでこちらへも是非いらしてください。

アートアイランズ 2011波浮港現代美術展

2011年8月13日(開催中)~8月28日(日)
主催:波浮港現代美術展実行委員会 東京の島々を結ぶアート航路開発委員会

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