from 北海道(道北) - 8 - 大漁! 遠別のひらめ
ひらめ底建網オーナー in 遠別
(2012.07.20)
遠くとも格別なマチ、遠別
北海道留萌管内北部のマチ、遠別町(えんべつちょう)。人口は3,000人あまり。(平成24年6月末現在)。日本最北の水稲地帯として知られ、農業、漁業の第1次産業が主である。生産されるもち米は「はくちょうもち」。大手食品メーカーの切り餅の原材料にも採用されている。
ほかに、メロン、ほうれん草、アスパラガス、ながいも、かぼちゃを栽培し、どれも冷涼な気候を活かし、安心安全な農作物を生産している。漁業では、水タコ、ホタテ稚貝の養殖、ひらめの底縦網漁が盛んだ。
『遠くとも格別なマチ、遠別』を印象づけるのは、2008年から遠別漁港を舞台に開催されている『ひらめ底建網オーナーin遠別』の存在が大きい。『ひらめ底建網オーナーin遠別』とは、海底に設置した底建網(そこたてあみ)にかかった天然のひらめを一網丸ごとオーナーで山分けするものだ。例年6月中旬の土曜日に行われており、募集人数は160人。インターネットとハガキでの応募を受け付けている。遠くは沖縄からの応募もある人気のオーナー制だ。
北の海で暴れる
160人のオーナー達のため網を設置する漁師は、4人。いずれも腕に覚えのある漁師達ばかりだ。今年の実行委員長、相内隆志。今年初めて参戦する。37歳ですでに漁師歴は14年。花嫁募集中だ。船な第十八明神丸。
一番若手の漁師は28歳の太田知樹。第八欣勝丸の船長。遠別の若武者の異名を持つ。負けん気は誰にも劣らない。
第八勝丸の船長は、畳議博。天然ひらめも惚れるほどのイナセな男だ。36歳の今が一番脂の乗った旬の漁師だ。
そして、4人目の男は白幡広。初代実行委員長を務めた海の男。気は優しいが、腕は確かな頼れる男だ。いずれも荒波を相手に北の海で暴れる男達だ。




このオーナー制の特徴のひとつが、漁師に命運を賭けることができる点にある。4人の漁師が水揚げ漁を競うため、どの漁師に賭けるかで、分け前に差が出ることとなる。
今年のオーナー制は、6月16日(土曜日)に行われた。天気にも恵まれ、北海道の初夏の爽やかな風が吹き抜ける遠別漁港には、北海道内外からやってきたオーナー、漁場への出陣に意気込む漁師や関係者が集まった。オーナー(優先枠オーナー、一隻あたり7名)の中には、遊漁船で沖合での操業を見学できる権利を得られる特典もあり、遠くは東京からやってきたオーナーもいるほどの人気ぶりだ。
漁の様子を間近で見られ、さらには、その水揚げされたひらめが自分のものになるとすれば、オーナー自身もかけがえのない経験となる。
この日の漁は、過去最高の水揚げを記録した。第1位となったのは、第八勝丸 畳 議博(たたみ よしひろ)。総漁獲量は273.6kg、オーナーひとり当りの山分け量は6.8kgとなった。昨年までの最高山分け量は4.4kgであったことを考えると、今年の水揚げ量、山分け量は格別のものとなった。
北海道の小さなマチ、遠別町

『ひらめ底建網オーナー in遠別』で初めてこのマチを知ったというオーナーは少なくない。海の恵み、ひらめがマチのPRに一役も二役も買っているわけだが、何よりも、若き漁師達の心意気が、遠別の名を全国に広めている。来年、オーナーになるのは、あなたかも知れない。
遠別町では、お試し暮らしをオススメしています。こちらのサイトよりご覧ください。