from パリ(たなか) – 8 - 「62歳!? 若く見えるのね!」と思ったら……。

(2009.06.22)

フランス語の授業で、“あなたのお歳は?”“23歳です”という会話の練習があった。Quel age avez-vous?(ケラージュアヴェヴ)  J’ai 23 ans. (ジェヴァントロワザン)という要領だ。生徒同士がお互いに歳を聞き合って、終わったら年齢順に並ぶ。もちろん私が最年長であるのは聞くまでもないことだが、J’ai 62 ans.と正直に答える。ところが先生は驚きの表情で、ほんと? マジ?(と言ったかどうか分からないが)と目を丸くして何度か聞き返し、あげく黒板に数字で書けと。年相応に見えない(若く見える?)ってことかと早合点したが、とんでもなかった。

初級コースのテキスト。東京の日仏で使ったものと編集が共通なのが、私にはせめてもの救い。

フランス語の数字の読み方は、全くシステマチックじゃない。しかし覚えないことには生活出来ない。12はdouze。1ダースのドゥーズと覚える。22はvingt-deux まあ20ヴァン+2ドゥだ。32はtrente-deuxとまずまず規則的だ。で62はsoixante-deuxと問題ない。ところが72はsoixante-douze で 60+12と。ちなみに70 はsoixante-dixで60+10という、取って付けた言い方をする。80なんてquatre-vingtsで4×20だよ、マッタク。

62ソワソンドゥ、 72ソワソンドゥーズの違いは私にも発音出来るが、問題なのが数字の後に付くansアン(歳)だ。フランス語特有のリエゾンで、前の単語の子音に引きずられて、ザン、タン、カンなど変幻自在。62ansはソワソンドゥザン、 72ansはソワソンドゥーザンと区別出来ないような超微妙な違い。そうです、私はなんと72歳に間違えられたんですね、意地悪なフランス人。

ちょっと寂しいランチだなあ。サラダを一皿とれば良かったか、やっぱり。カツに葉っぱ系とかトマトが少し付いてくるんじゃないかと予想したのだが、きれいに裏切られた。炭酸水1.40 、キャフェ0.95、さすが学食、安い。
学食内は多言語が乱れ飛んでいるが、やはり英語が主流。スペイン語も多い。日本人だと思ったらハングルだったり。
コインはユーロが2、1、サンチームが50、20、10、5、2、1の計8種類。なんでこんなに作るの? 信じられない。2千円札を作った国民が批判できないが、財布が重くなるのは困ったもんだ。コインの裏は国別にデザインが違うので、イタリーとかエスパーニャとかポルトガルとか探すのは楽しい。さすがユーロ?

授業が終わり外は天気も悪いし、学食で5.90ユーロの昼定食にする。三つのメニューの中からピラフとメンチカツにした。カツは肉か魚か?と聞かれたような気がして、poisson(魚)と答える。poison(毒)との発音の違いを東京で習ったのを思い出したが、まさか毒入りカツなんて出さないだろう、フランスだし。これにタルト2.15ユーロを足して8ユーロ 5サンチームだが、うまく聞き取れなくて10ユーロ札を出し、釣りをもらう。サンチームのコインも判別が難しいので、そのまま財布へ入れる。注文して食べるまでが、とにかく大仕事だ。