from 北海道(道央) – 39 - 「第2回 鶴沼ワインフェス」に参加。楽しく美味しいワインと美食の祭り!!

(2010.09.08)
「鶴沼ワイナリー」の玄関とも言うべきスペースが「会場」として利用されているが、これだけ広い空間でイベントを開催しているワイナリーは、どう考えても国内でただ一つ。
「トラットリア ラ・ペコラ」のオーナーシェフ、河内忠一さん(写真左)。滝川市・新山牧場で育てられた「羊の丸焼き」。筆者(写真右)の後ろ側にあるオーブンで一気に焼き上げる。

全国各地、これからあちこちで様々な秋の「収穫の祭り」が開かれるのでしょう。

8月29日(日)。北海道・浦臼(うらうす)町にある北海道ワインさんの直営農場「鶴沼(つるぬま)ワイナリー」にて、「第2回 鶴沼ワインフェス」が開かれました。
 
数日前からの天気予報では、当日「雨」の確率が高く心配していましたが、曇天ながらも過ごしやすい天気の中、本州からもはるばる参加された方もいらっしゃったとお聞きするほどの盛況でした。

北海道内の農村では、農家の皆さんの高齢化・後継者問題が顕在化しています。浦臼町も同様の問題を抱えており、従来このイベントも浦臼町が主催していたのですが、重たいテントの設営やBBQの準備など町として対応することは難しいということで、昨年から鶴沼ワイナリー・北海道ワインの共同主催によるイベントへと変わったと聞いております。
 
浦臼町にある鶴沼ワイナリーへ行くためには、通常自家用車を利用します(札幌から高速道路を利用して約1時間半)が、ワインを飲むのであれば、本数の少ないJRで浦臼駅まで、または少し距離の離れた滝川駅まで行き、タクシーを利用するなどの交通手段となります。

総面積447ha、栽培面積約150haの北海道ワイン直営農場「鶴沼ワイナリー」は、文字通り「日本一」のワイン用葡萄農園。
この広大なワイナリーは、さすがにすべてを人力で行うことは不可能。国内で1台だけの「ハーベスター」。通称「ガンダム」。実物を見たいがためにこのイベントに足を運ばれる方もいらっしゃる。
「ドイツワインの母なるライン川。北海道ワインを育てる石狩川。北の恵みに感謝して」という北海道ワインさんの思いとともに、「未開の泥炭の地は、先人の手によって《豊穣の土地》へと変貌した」という「石狩川治水100年」関連ポスターなどが会場には掲示されていた。

今回は、ワインフェスのために「CBツアーズ」が企画した、小樽・札幌を経由した往復ツアーバスが運行され、こちらも予定していた定員にあっという間に達したというほど、ワイン愛好家にとっては年に1度の魅力的なイベントへと「進化」しているのです。

なお、「『北海道ワインツーリズム』推進協議会」が主催するツアーの中でも、鶴沼ワイナリーがコースに含まれているものもあります。北海道旅行の合間のオプショナルツアー的に利用することもできますので、是非ホームページを確認してみてください。
 
さて、「鶴沼ワインフェス」の最大の魅力は、日本一のワイン用葡萄畑という「非日常的空間」で、10時から16時まで、のんびりと鶴沼ワイナリーでしか入手することのできないワインを飲むことができることです。しかも、8月28日に表彰式が行われた「第8回 国産ワインコンクール」で受賞し、この日からワイナリーの直売所で発売開始というワインを楽しむことができるのですから、「ワイン文化史研究家」の自分としては参加しないわけにはいきません(笑)。

「第8回国産ワインコンクール」欧州系品種(白)で銅賞を獲得した「鶴沼トラミーナ2008」。トラミーナ独特のとろりとした甘みと芳香は、北海道での栽培に優位性のあるセパージュの将来性を感じさせる。
「第8回国産ワインコンクール」欧州系品種(赤)で銀賞を獲得した「鶴沼木樽熟成ツヴァイゲルト・レーベ2008」。北海道ワインでは、「北海道ケルナー2008」とこのツヴァイゲルト・レーベが、初めて銀賞を受賞。意外にも、過去7回は銅賞が最高だったそうだ。
「鶴沼バッカス2008」。こちらもコンクールで銅賞を受賞。とても飲みやすい白ワイン。ご覧のように、すべてボトルで購入し、持参したホーム・パーティ用のプラスティック・ワイングラス(これがとっても便利なのです)でワインを楽しむ。

そして『日本のワイナリーに行こう 2011』(石井とも子監修・著、イカロス出版)で「滝川は外食のレベルがとても高い街だ!」と紹介された滝川市内のフレンチ・イタリアンの3店舗、浦臼の隣町である新十津川町にある美食家であれば誰もが知っている名店「ヴルストよしだ」さんが一堂に出店しているのですから、ワイン愛好者だけでなく、誰もが足を運んでみたくなるイベントなのです。
 

河内オーナー自家製の2頭分の羊は、先着順に番号を渡され、焼きあがると場内放送で呼び出される。「鶴沼木樽熟成ツヴァイゲルト・レーベ」との相性は抜群。
「プティ・ラパン」のオーナーシェフ、老田弘基さん。いつお会いしても、爽やかな笑顔で迎えてくださる。
老田オーナー特製「ムール貝ワイン蒸し」。こちらは「鶴沼トラミーナ」の旨味を一層引き立ててくれ、素晴らしいマリアージュを楽しむことができた。
「新十津川ヴルストよしだ」の手作り焼きソーセージ。一度食べると完璧に病みつきになる美味しさ。

浦臼町で開催されるイベントに、周辺自治体のお店が積極的に参画するという、「街づくりプランナー」にとっては羨ましいモデル的なイベントだと思います。これも、「北海道ワインツーリズム」が滝川市の協力によって、ツアー参加者が自由に滝川市内で昼食場所を選べるなどの工夫を重ねる中で、ワイナリー、飲食店、行政が相互の信頼関係を構築してきた成果の一つだと言っても過言ではないでしょう。
 
アウトドア焼肉会場、ダッチオーブン料理教室、アイリッシュ音楽の演奏などなど、お酒を飲まない方も楽しめる工夫が随所になされています。

職場の仲間同士、お子さまも含めた家族同士などが思い思いに、今も原生の自然が残る浦臼の地に拓かれた「日本一のワイン用葡萄畑」を吹き抜ける心地よい風の中、夏から秋へと移ろう季節の「最高に贅沢な時間」を過ごしたのです。 

老若男女で賑わう会場。年に一度の浦臼町でのイベントを、大勢の皆さんが楽しみにしている。

どこのテーブルも、「笑顔」「笑顔」「笑顔」。筆者が手にする『日本のワイナリーに行こう 2011』(石井とも子監修・著、イカロス出版)は、北海道のワインやワイナリーの特徴などを解説しているので、このイベントを通じて「ワインを知りたい!」と思って参加された方たちには大変好評でした。

  

ドイツ・ヴァインスベルク州立園芸教育試験場で、2001年に本格栽培が始まった「アコロン」種。レンべルガーとドルンフェルダーの交配品種で、昨年、鶴沼ワイナリーの技術指導を行っているグスタフ・グリュン氏が持参されたものを飲んでみたが、力強さは「圧巻」。鶴沼ワイナリーでも栽培を始めた。
「渡辺さんがアコロン、アコロンっていうから、栽培してみたよ」と冗談交じりに語られる今村直・鶴沼ワイナリー農場長(写真左)と、アコロン一房を手に持つ「北海道ワインツーリズム」推進協議会・事務局長の阿部眞久さん(写真右)。

 

■ アコロンについて「グスタフ・グリュン氏のワイン」ブログ
http://nowhereman.kitaguni.tv/e1131695.html

■ 「北海道の母なる川」。石狩川の河口付近を探索。《WEBダカーポ》
/travel/31635/