from 広島 – 2 - さようなら旧・広島市民球場。

(2009.08.17)

夏の風物詩、高校野球。甲子園球場では連日、高校球児による熱戦が繰り広げられていますが、その代表校を決めるための広島県大会、今年はちょっと特別な大会となりました。

何が特別かというと、今年は広島市に新球場「マツダzoom-zoomスタジアム」が完成したため(先日のプロ野球オールスターゲームでも使用されました)、今まで使用していた旧・広島市民球場と併用されることになったのです。つまり開会式と決勝戦は新球場で、それ以外の数試合は、広島市の中心部、原爆ドームのすぐ向かいにある、昔から広島市民になじみのある、旧市民球場で行われることになったのです。

試合終了後の旧・広島市民球場。
試合開始前の新・広島市民球場。

しかも、旧市民球場は今年中に取り壊されることが決まっており、50年以上にわたる長い歴史の終幕を締めくくることになった、広島の高校球児たち。例年通り、甲子園出場をかけた熱い戦いには違いないのですが、今年はちょっとメモリアルな意味合いの強い広島県大会。そこで、新旧二つの広島市民球場にスポットをあてて、高校野球を観戦してきました。お客さんもそのあたりのことはよく分かっていて、例年以上に観客数も多かったような気がします。

古豪・広島商と強豪・広陵の激突。

梅雨の影響もあって順延を繰り返した広島県大会もいよいよ大詰め、ベスト4が激突する準決勝を観戦しに旧市民球場へ。最後の公式戦は古豪「広島商」と強豪「広陵」という、どちらも甲子園優勝経験のある実力校同士の戦いとなりました。往年の高校野球ファンにはたまらない好カード、野球の神様も粋なことをするものです。

よく鍛えられた高校生同士の対決は、息詰まる投手戦の末2-1で、広陵が広島商をくだして決勝に進出。広島市民球場の最後を飾るにふさわしい、緊迫した熱戦に、両校在校生やOBはもちろん、球場に駆け付けた多くのファンからも惜しみない拍手が送られていました。

際どいクロスプレーに息をのむ。
球場をあとにする、敗れた広島商の選手。

泣き崩れるチームメイトの肩に手をやり、必死の笑顔で励まそうとする広島商キャプテンの姿に、思わずもらい泣きしそうになります。これで本当に、馴染みのある広島市民球場とはお別れかと思うと……。試合終了後もしばらく、席を立つことができませんでした。

一日おいて広島県大会の決勝は、新しい広島市民球場、略称「マツダスタジアム広島」にて。照りつける日差しが真新しい天然芝に反射する、広島市民が待ち望んだ夢空間。決勝へと勝ち進んだ広陵と如水館の選手たちが、大声を張り上げながら伸び伸びとプレーする姿も、どこか新鮮に映ります。

決勝戦は如水館vs広陵。
広陵の4番打者は、期待を担う1年生。

内野が土のグラウンドで、全体に狭かった旧広島市民球場とは違い、天然芝が整備され両翼も広く、客席もゆとりをもたせた新球場はスケールの大きな、まさにボールパークといっていい、明るく開放的なスタジアム。プロ野球の公式戦ともなれば、広島のご当地グルメなどフードメニューも充実し、また外野席には寝そべりながら観戦できる「ネソベリア」シートやカフェテラスが用意されるなど、様々な楽しみに溢れる新広島市民球場。JR広島駅からも近く(新幹線の中からも見えます!)、今やすっかり広島の新名所となりました。

ところで、高校野球決勝戦の行方は……。ここ最近メキメキと強くなった新興校・如水館が、2-1で昔からの強豪校・広陵をくだして甲子園への切符をつかみました。

敗戦に悔しさをにじませる広陵の選手たち。
新・広島市民球場で幕を閉じた広島県大会。

新旧の広島市民球場を舞台にした高校野球広島県大会。一つの目標に向かって苦しい練習を積み重ね、溌剌としたプレーを見せてくれた高校球児たちに、大きな大きな拍手を送りたいと思います。