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フランスバスク南の街サン・ジャン・ド・リュズのメインストリート。 |
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スペインバスク北端のサン・セバスティアン。漁港周辺の庶民的な町並み。下は採れたての魚介類を食べさせるレストラン街になっています。 |
サン・ジャン・ド・リュズという町名の「サン・ジャン」は、「聖ヨハネ」という意味なのですが、毎年6月中旬から7月初旬にかけて、町の守護聖人でもある聖ヨハネを称えるお祭りが開かれます。地元の人たちは、町のシンボル・カラーである赤と黒の服を着て、ギターやタンバリンを手に歌いながら大通りを歩いたり、広場で踊ったり、カフェに集まってビールを飲んだりと、皆でお祭りを盛り上げます。歌はフランス語ではなく、バスク語で、この地方の人々が独自の文化を代々守り続けていることが伝わってきました。
そんな様子を見ながら、カフェに座っていたら、ほろ酔い気味のムッシューが、「そこのマドモワゼル、どこから来たのか?」「え、パリ?おお、フランス語がわかるのか?ちょっと一杯飲んでけ」、という感じで私を男衆のなかに招き入れて、良く冷えた美味しい生ビールを奢ってくれました。ダンスにも誘われましたが、「バスに乗らなきゃいけないから」、と言って、そそくさと逃げてしまいました。乗りが悪くてごめんね、ムッシュー。
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サン・ジャン・ド・リュズの聖ヨハネ祭。 |
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闘牛のおもちゃで遊ぶ子供たち。 |
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カフェの前でビールを飲むバスクの男たち。 |
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バスク織の生地店。バスク地方はストライプ模様の丈夫な布の産地としても有名です。テーブルクロスやエプロン、クッションカバーなど可愛いものがいっぱい。家族へのおみやげに布バッグとエプロンを買いました。 |
でも、バスに乗るのは本当でした。次の目的地は、スペイン側バスクのリゾート地、ドノスティア/サン・セバスティアン。しかし、ここでハプニングが……。バス停で待っていても、サン・セバスティアン行きのバスは一向に来る気配がなく、心配になって近くに止まっていたタクシーの運転手の方に聞いてみたら、「ここではなく、もっと離れた所にあるバス停ですよ」、と言われて、大ショック。私が乗ろうとしていたのは最終のバスで、走っていっても到底間に合うわけがなく……。ということで、仕方なくタクシーで行くことになりました。思わぬ出費でトホホでしたが、タクシーの運転手はカティさんという女性で、移動中、バスク地方のことをいろいろと話してくれ、料金もちょっと負けてくれてとても親切でした。(でも、後から気づいたのですが、電車も走っていたようです。下調べが甘かった……)
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ホテルの窓からの眺め。サン・セバスティアンの海です。 |
さて、ようやく到着したサン・セバスティアンですが、ここはもうスペイン。フランス語は当然通じません。たどたどしい英語でホテルにチェックインした後、シャワーを浴びて、この旅で一番楽しみにしていたバル巡りをするために旧市街へと繰り出しました。「バル」とはスペイン版居酒屋で、カウンターにずらりと並んだピンチョスという一口サイズのおつまみを、自由に注文して食べることができます。いろんなものをチョコチョコ食べたい日本人に最適のスタイル!バルはスペイン中にありますが、このサン・セバスティアンは特に美味しいピンチョスが食べられることで有名な美食の町です。
旧市街へ入るとずらりとバルが並んでいます。最初は勝手が良く分からず、注文にまごつきましたが、2軒目、3軒目とはしごしているうちにスムーズに。目の前に並んでいる食材を指さしながら注文できるし、お店の人も皆親切なので、言葉が通じなくても何とかなります。どんなピンチョスがあるかというと、イベリコ生ハム、鰯のマリネ、フォアグラのポワレ、白身魚のすり身などがフランスパンに乗ったオープンサンドや、たらのコロッケ、イカの串焼き、唐辛子の酢漬け、茹でダコの赤唐辛子風味、海老のグリルなどなど、本当にバラエティー豊か。お店によってピンチョスのスタイルも違うので、何軒回っても飽きません。この町には2日間滞在しましたが、両日ともピンチョス三昧で最高でした。
今回周ったのは海側のバスクの町ばかりでしたが、今度は、羊のチーズで有名なオッソー・イラティ地方、赤唐辛子で有名なエスプレットなど、山側のバスクを旅してみたいです。