from ミュンヘン – 6 - ビール祭り「オクトーバーフェスト200周年」を楽しもう!

(2010.09.22)

ついに開幕しました、ミュンヘンが誇る世界最大のビールの祭典「オクトーバーフェスト」! 2週間の期間中は600万人が会場に押し寄せ「ひと」「ヒト」「人」でごった返しとにかくすごい熱気です。ミュンヘン滞在3年目のぼくにとっては3回目のイベントですが、今年は200周年ということもあり通常のテント以外に特別展示会場が設置されているので、その情報も交えてレポートします!

椅子に上って乾杯するさまは圧巻! 見ているだけで楽しくなる。
初日・2日目は民族衣装の着用率が高い。時間が遡った感覚になる。

このオクトーバーフェストは、ミュンヘン中央駅から西南に徒歩でも行けるテレージエンヴィーゼ(Theresienwiese)と呼ばれる専用の会場で行われます。ミュンヘンに醸造所をもつパウラーナー(Paulaner)、アウグスティナー(Augustiner)、ホフブロイ(Hofbraeu)、シュパーテン(Spaten)、ハッカー・プショール(Hacker-Pschorr)、ローヴェンブロイ(Loewenbraeu)の6社だけがテントを持つことが許されています。大テントが14、さらに中小のテントを合わせると30ほどのテント+それに付属するビアガーデンでビールが飲めますが、やはり一番盛り上がるのは管楽器の演奏隊がいる大テントの中でしょう。(いや、“大”ではなくて“巨大”です。)席についたらビールを頼みますが、基本1リットルのジョッキしかありません。それでちびちびと自分のペースで飲んでいると「Ein Prosit(アインプロージト・乾杯をする歌)」が幾度となく掛かり、テント内の全員で一斉に乾杯するうちにテンションが上がり、ビールを飲むピッチも上がっていきます。そのうちに隣の知らない髭おじさんとも仲良くなり雰囲気に飲まれてしまうのですが、それが意外にも心地よく楽しいものです。

 

朝から晩まで延々に続くこの混雑、これはすごい。
テントに入れなかった屋外でもこの混雑、土日の午後はこの屋外の席を取るのも大変。
運良く座れたら一リットルのビールと鶏グリルの半身をオーダー!

ドイツ人と言えば、勤勉で真面目な人種というイメージがあると思います。確かにそれは合っているのですが、このオクトーバーフェストでの大声で歌ったり椅子の上で踊ったりといった盛り上がりは「ドイツ人てこんなに陽気だった?」と思ってしまうほどです。どのテントもあまりの人で入場規制が行われ、一度外に出てしまうと締め出されてしまい戻れないことや(席があることを言うと再入場させてもらえます)、トイレに行ったら席の場所が分からなくなるなど、席を取るのも席を維持するのもとにかく大変です。ドイツ人が大騒ぎする1週目に続き、2週目はウィークと呼ばれ、イタリア語が飛び交います。

最初、「イタリア人ならワインだろ?」と思っていたのですが、騒ぐのが大好きな人種にアルコールの種類は関係ないのでしょう。ワインでは盛り上がれませんからね。で、ぼくはこの週は彼らと一緒に騒ぐことになります。聞いた話だとなんでも大型の長距離バスに乗ってツアーで来る人が多いみたいです。

7月にミュンヘン市内にあるオクトーバーフェスト博物館を訪れた際、ガイドさんから聞いた話だと、6つのビール醸造所の巨大テントは設営に2ヵ月半、撤収に1ヵ月半掛けて作られているとのこと。この巨大なテントのキャパ、1,900年ごろは500席ほどだったものが年を追うごとに大きくなり今では5,000人が収容できるそうです。ただ、代表的なビール会社「ホフブロイ」の場合だと4,000席のキャパのテントに倍以上の10,500人ほどが飲んでいることもあるそうで、他のテントでもキャパと実際の人数には相当の誤差があると思われます。いずれにしてもこの規模のビアホールは日本ではちょっと考えられません。

司会者も試しに乗っていましたがあまりの勢いに腰が引けていました。
30人くらいが一斉に体を叩いて音を出すのがテント内に響き渡る。
昔の車? いろいろ展示されていました。
ドイツ人の友達がプレッツェル売りをしていました。

会場内に200周年記念の一環として、ヒストリーテントと名付けられた区画が今年だけ特別に設けられていました。オクトーバーフェストの歴史を映像やパネルで紹介するテントや、レストランテント、牧場動物と触れ合うことのできるテントなどの他に、オクトーバーフェストの起源である結婚式に催されたホースレースを見ることができます(レースは毎日13時と18時のみ)。

そもそもミュンヘンにおけるこの祭りの起源は、1810年10月12日にバイエルン王国の王子ルートヴィヒ1世とザクセン=ヒルトブルクハウゼン公の娘テレーゼとの結婚式を行ったことに由来しています。その結婚式の宴の最後に競馬を催したことをこの特別区画で再現したようです。砂を敷き詰めたレース場を全速力で走る馬を間近で見るのは迫力満点でした。レース後に披露された4頭の馬が荷台を引くデモンストレーションはこれこそリアル4馬力と思えるものでした。

レストランテントでは、昔のレシピに基づいたビールが通常のガラスではなく陶器で提供される他、中央に設置された舞台ではSchuhplatteln(シュープラッテルン)という靴ダンスが披露されていました。この靴ダンスは、南ドイツの民族舞踊で音楽に合わせて手の平で腿、膝、靴底をたたきながら踊るものです。身体の大きいドイツ人男性が十数人同時にダンスをするので、相当の音がします。革ズボンの上からとはいえ、あれだけの音を出すには相当の力で叩いていると思われ、手の平や足は真っ赤なのではないかと心配してしまいました。ここのレストランはぼくが行った日曜の午後でも席に余裕がありました。大テントのような盛り上がりはありませんが、ここで楽しむのもお勧めです。(200周年特別区画:入場料4ユーロ)

人が少ない場所もあるが何重にもなった見物客でごった返す。朝早めに行ってポジションを見つける方が良いと思われる。

 

見逃せないハイライトの一つが毎年初日と2日目に行われるパレードでしょう。民族衣装を身にまとった人々が市内を7キロほどオクトーバーフェストの会場へと練り歩きます。音楽隊、ビール樽を運ぶ馬、騎馬隊、旗持ちなどバラエティに富んだ総勢8,000人のパレードが続々と通り過ぎていき、約2時間ほどですが見応えがあります。余談ですが、ミュンヘンではオクトーバーフェストに限らず、何か催しものがあるとほぼ必ず鼓笛隊(ブラスバンド)が登場するのですが、楽器を弾ける人の多さに驚きます。

会場は大小のテントのほかに観覧車やメリーゴーランド、ジェットコースターなどお絶叫系マシン、お化け屋敷などのアトラクションが満載です。今年は「Flip Fly」という回転系マシン(1回6ユーロ)にトライしましたが、飲んだビールが一気にシェイクされて後が大変なことになりました。ドイツの絶叫系マシンは日本のそれよりもスピードが速く・回転が激しく日本人ではちょっとびっくりするかもしれません。

2週間という期間はあっという間のオクトーバーフェストですが、一度この雰囲気を感じると「ビールを楽しく飲む」という価値観が変わります。今年の開催は10月4日(月)まで、是非訪れてみてください。

 

トイレの目印。
女性たちはディンドルという衣装を着る。
大通りは、昼間は大混雑。時に前に進めないこともある。
今年試したのはこれ。頭がグルグル……。

 

ほかにもいろいろな乗り物があります。

 

オクトーバーフェスト公式サイト:http://www.oktoberfest.de(英語あり)
オクトーバーフェスト博物館:http://www.bier-und-oktoberfestmuseum.de/(英語あり)