from パリ(河) - 20 - 1月、ガレット・デ・ロワ。
フランス人の新年のお楽しみ。

(2012.01.30)

エピファニーのお楽しみ。

遅れ馳せながら、明けましておめでとうございます。本年も宜しくお願いいたします。

フランス人が1年で最も豪華なご馳走をいただくクリスマスが過ぎ、新年を迎え、街も普通のリズムを取り戻していく1月。この月には子供も大人も楽しみにしている美味しい習慣があります。それは、家族や友達と一緒に「ガレット・デ・ロワ(Galette des Rois)」というアーモンドクリームとバターたっぷりのパイ菓子を食べて、王様を決めて遊ぶというキリスト教のお祭り。年が明けると町中のパン屋さんに並ぶこのお菓子は、クリスマスに誕生した幼子イエスを、東方の三博士が訪問し、礼拝したことを記念する公現祭(エピファニー/Epiphanie)を祝うために頂くもの。これを食べないと1年が始まらない、と言われるほど、フランス人の新年にはなくてはならない伝統菓子です。厳密に言うと、1月2日から8日までの間の日曜日にいただく決まりとなっていますが、実際には、1月中であればいつでも食べられます。腕に自信があるお母さんたちは、手作りのガレットを焼いて、家族や友達に振舞います。


1月中、ずっとガレット・デ・ロワを。

ガレット・デ・ロワは、「王様のお菓子」という意味。大きな円形のパイ生地のガレットには、「フェーブ(Fève)」という小さな陶器の人形が1つ隠されていて、それが誰に当たるかわからないように、集まった人達に切り分けて配ります。人形が当たった人はその日1日「王様」(王女様)として祝福されます。フェーブは「そら豆」という意味ですが、昔は人形ではなく、乾燥したそら豆が入っていたことに由来します。子供たちにとっては、フェーブを当てて、紙でできた王冠をもらうことが何よりの楽しみ。フェーブを集めているコレクターもたくさんいます。

お菓子にうるさいフランス人は、お店選びにも余念がありません。美味しいガレットを作ると評判のパン屋やケーキ屋には、焼きたての温かいガレットを求める予約注文が殺到します。

焼きたてのパイ生地はサクサクっと軽やかで、格別な美味しさ。焼きたてが食べられない時は、オーブンで少し温めて頂きます。伝統的なアーモンド味の他に、ピスタチオ味、チョコレート味などのバリエーションも。(パリの虎屋ではあんこ入りを出しているとか)。サイズは10人用が標準的ですが、お一人様用もあります……。

1月はとにかく、家庭、学校、職場など、人が集まるところに必ずと言っていいほど登場するガレット・デ・ロワ。甘い匂いに誘われて、あるいはフェーブ目当てで、一月で3回以上食べる人も少なくありません。でもカロリーはかなり高めなので、食べすぎには注意が必要です。