from パリ(河) – 4 - バカンスの思い出。

(2009.09.25)

長いバカンスの季節が終わり、新学期が始まりました。9月に入って営業を再開させたカフェのテラスを見ると、バカンスから戻ってきた小麦色の肌のパリジャン、パリジェンヌたちが、久しぶりに会った友人たちと、バカンスの思い出話に花を咲かせています。仕事や学校も徐々にいつものペースを取り戻し、また忙しい日常の始まりです。

今年は不況の影響で、海外ではなく国内でバカンスを過ごす堅実派が多かったようです。田舎のセカンドハウスやおじいちゃん・おばあちゃんの家で、あるいはキャンピングカーで、のんびりとフランスの自然の美しさを満喫するというのが今年の傾向でした。フランス各地の観光地はいつもより賑わいましたが、それでも皆の財布の紐は固く、商店やレストランなどの売り上げはいまいち伸びなかったようです。

白い石造りの家並みが美しい小道。イル・ド・レにはたちあおいの花がたくさん咲いている。

フランスで昔から変わらず人気がある地方は、海派であれば、南のプロヴァンス・コートダジュール地方と西のブルターニュ地方、山派であればアルプス地方とピレネー地方です。
休み慣れしていない日本人だと「何して過ごそう??」と迷ってしまいそうなほど長い休暇をどのように過ごしているかと言うと、ひたすら海水浴、ハイキング、サイクリング! 
意外かもしれませんが、フランス人は結構アウトドア派。地元の市場であれこれと旬の食材を選び、外で皆でバーベキューをするのも、バカンスの楽しみのひとつ。若者たちは夜は街に繰り出して、ディスコやクラブでフィーバー!(死語……) セカンドハウスを持っている人たちは、理想の家を目指して、ペンキを塗ったり、家具を作ったりと、せっせと日用大工(ブリコラージュと言います)に励んでいます。これまた意外かもしれませんが、フランス人って結構日用大工好きなんですよね。

市場で買い物してヨットで食事。優雅ですね。

さて、私はと言えば、今年は日本から来た友人と一緒に、ブルターニュ地方の南に位置する、大西洋に面したラ・ロシェルという町と、その隣にあるレ島(イル・ド・レ)に行ってきました。パリからTGVで3時間30分ほどで行けるラ・ロシェルは、10世紀頃から漁業や海運業で栄えてきた、白い石造りの町並みが美しい豊かな街。歴史的には、カトリック教に反対するプロテスタント派の拠点となったところで、フランスのなかでも自由と反骨精神の強い街です。

パリからT.G.Vで3時間30分ほどのところにあるラ・ロシェル。大西洋に面する港町。すぐ南にはコニャックで有名なシャラント地方が広がっている。
色鮮やかな花で飾られたラ・ロシェルの家。どんな人が住んでいるのかな。

ラ・ロシェルと橋でつながっているイル・ド・レは、豪華なヨットやクルーザーが寄港するヨットハーバーや美しい浜辺が点在する人気の避暑地。島の中で一番大きい、華やかな雰囲気のサン・マルタン・ド・レ村は、ユネスコの世界遺産登録の古い要塞に囲まれた小村で、毎年多くの観光客で賑わいます。島には他にも良質な塩の採れる塩田や、牡蠣の養殖場、美味しいワインができるブドウ農園など見所がたくさんあり、サイクリングが楽しめます。

この小さな港町を囲む要塞は、国王ルイ14世時代の軍事建築士ヴォーバンが設計したもので、ユネスコの世界遺産に登録されている。要塞は空から見ると星の形状をしている。

この地方の目玉のひとつは何と言っても美味しい魚介類! 海育ちで、新鮮な魚に飢えている私は、ここぞとばかり毎日魚介三昧。生牡蠣はシーズンではなかったので、あさりやムール貝、いわしに鯛と思いっきり堪能しました。イル・ド・レ産の白ワインもなかなか美味でした。

美味しい魚介類が食べられるビストロやおしゃれなブティックが軒を並べる。
日曜日の朝に朝市が開かれる。美味しそうな旬の野菜が並ぶ。
フランスでは良くあさりを生で食べる。レモンをギュッと絞って。