from 鳥取 – 63 - 山あいの町に白い花の咲く理由。

(2010.11.08)
山すそには一面にそばの白い花が広がります。

あんなに暑かった夏が嘘のように、最近はめっきりと寒くなってきました。私が勤務している日野郡は、南を岡山県に面した山あいの町。過ごしやすい季節は過ぎ去り、これから訪れる厳しい冬を予感させます。

日野郡は昔から鳥取でも有数の「米どころ」で、その美味しさは県外にも知られています。高冷地特有の寒暖の差が、お米の味を高めるのだそうです。そして、「米の旨いところは、そばも旨い」と言われます。そうです。日野郡は鳥取県一のそば産地でもあるのです。

しかし、日野郡が「そばどころ」となったのは、実はつい最近のことです。きっかけは平成12年の10月、静かな山間のまちを突如襲った鳥取県西部地震でした。たくさんの住宅が壊れ、道路は寸断されました。それだけでなく、まちに広がる水田やそれらをつなぐ水路も崩れるという大きな被害を受け、稲を作ることができなくなってしまったのです。

もともと稲作が農業の中心だった日野郡では、それは大問題でした。そこで、震災からの復興作業のかたわら、水田に水を引く必要がない作物として「そば」の生産を奨励したのです。翌年には作付面積が震災前の3倍になり、一躍、鳥取県一の「そばどころ」となりました。

しかしここで新たな難題が発生。急激に生産の増えた「そば」をどうするかという問題です。新興産地である日野郡の「そば」は、まだ知名度もありません。 そこで、日野郡内の町役場やそばの生産者、そしておそば屋さんが中心となって「日野郡そば研究会」を設立し、日野郡で生産された「そば」の消費拡大を図り、日野郡の特産品として定着化を図るための活動を始めました。

日野郡のおそば屋さんやそば商品を紹介するパンフレット等の作成、そばをテーマとしたフォトコンテストの開催、新たなそば関連商品の開発など、様々な取り組みを通じて日野郡の「そば」のPRに努めてきました。

そして、平成16年からは「日野郡新そばまつり」が始まりました。その年の新そばが収穫される晩秋の11月、日野郡のおそば屋さんが一堂に会してのおまつりです。過去には「素人そば打ち大会」や「ちびっこそば早喰い競争」を企画し、おまつりを盛り上げてきました。そして、震災前にたった1軒しかなかった日野郡産そばを取り扱うそば店は、このころには10軒以上にもなっていました。

私にも打てる!そば打ち自慢が集まって、その腕を披露。
一番は誰かな? ちびっ子そば早食い競争。

今年は「そば」栽培のきっかけとなった鳥取県西部地震からちょうど10年。「そば」の白い花は、復興の象徴でもあります。その「そば」をさらにPRしようと、出展者はいつも以上に張り切っています。今年はそば粉パンでつくった「ホットドッグ」やそば粉でつくった「ロールケーキ」もお目見えする予定。一風変わった「そば」が楽しめそうです。

山あいの町に、たくさんの人が集まります。

今年も「日野郡新そばまつり」開催です! 皆さんのお越しをお待ちしております
 

日野郡新そばまつり

平成22年11月14日(日)10:00~15:00
場所は、鳥取県日野総合事務所駐車場(日野郡日野町根雨、JR根雨駅から徒歩1分)
入場無料(飲食は別途有料)、駐車場もあり