from 鳥取 – 10 - 見上げてごらん~♪ 星ふる冬の鳥取へようこそ。

(2009.02.20)

鳥取に住んで一番驚いたこと。それは“夜が暗い”ことでした。
民家も少なければ街灯も数えるほど。「私は鳥目だったのか」と
真剣に悩むほどの漆黒の闇の中、危険なドライブを何度体験したことか。

それはさておき、つい先日その“闇”のおかげですばらしい体験をしてきました。
鳥取市佐治町にある『鳥取市さじアストロパーク』がその舞台。
西日本最大級の口径103cm反射望遠鏡やプラネタリウム、
さらに宿泊施設なども備えた国内有数の公開天文台です。
私のお目当ては、望遠鏡付・星のコテージ“サブ天文台”。
本格的な据付タイプの望遠鏡が付いたコテージで、好きなだけ自由に、
それこそ一晩中でも天体観測が楽しめるのです。

夕方チェックイン後、さっそく2階にある“マイ望遠鏡”とご対面。
第一印象、でかっ! まるでロケットみたい。 こんなものド素人が動かせるのだろうか…。 
でも大丈夫。専門の職員の方がとっても丁寧に説明してくれますし、写真付きマニュアルもあります。
その後はプラネタリウムを見たり、館内でクイズラリーをしたり、夕食を食べたりと大忙し。
 

宿泊したコテージ「パラス観測所」に備え付けの口径31cm反射望遠鏡。
*画像提供/鳥取市さじアストロパーク
初プラネタリウムの子ども達。「すげ~本物みたい」と大興奮!
夕食はボリューム満点の餃子。コテージは電化製品や食器などが充実していて快適。

夜7時半、休館日以外毎晩行われている「夜間観望会」へ。
いよいよ、103cmの大望遠鏡を使って、夜空の星たちを見ます。
この日はほぼ満月という絶好の月観察日。望遠鏡を通した月明かりが目にまぶしいほど。
月はもちろんのこと、“金星”“オリオン座”“冬の大三角”など有名な星たちに続き、
ウルトラマンの星!“M78”星団も追いかけましたが残念、雲にはばまれ見えませんでした。
 

コンピューター制御なので、自動で見たい天体に向けてくれる。
通称“一番星”の金星を見ているところ。金だけに輝きもかなりのもの。
観測だけでなく、その星にまつわる伝説などもわかりやすく解説。

さあ、いよいよメインイベント。コテージにある“マイ望遠鏡”の出番です。
いざ望遠鏡を覗いてみると、そこには暗闇がただ広がるだけ。オーマイガー!
小学生の子どもまで駆り出し、7人がかりで巨大な望遠鏡と格闘すること1時間。
あきらめムードが出始めた頃、ようやく月確認!
単純に望遠鏡を向ける方向がずれていたという途中経過はお粗末だったけど、
月はとてもすばらしかった。
本当にそれ自体が輝き、凛とした風格で厳かな雰囲気に満ちた世界。
もうなんというか、愛おしくて、ずっとずっと眺めていたい気分でした。
その後は勢いにのり、レンズの倍率を上げたり、デジカメで撮影したり。
いっぱしの天文マニア気分を味わうことができました。
 

口を開け天を仰ぐ子ども達。天体の素晴らしさを実感できたかな。
渾身の一枚! マイ望遠鏡から見た月面。クレーターもきれいでしょ。普通のデジカメでもこんなに美しく撮影できます。

今回お世話になった佐治天文台は、天文台には珍しく“バリアフリー”構造。
103cmの反射望遠鏡も車椅子のまま観察することができるそうです。
また小規模プラネタリウムという特性をいかした、専門の職員の方による生解説が人気。
お客様それぞれに合わせた解説で、かなり特別な気分を味わえます。
またお土産もなかなかのラインナップ。
おなじみの星座早見盤から宇宙食などの天体関連グッズをはじめ、
地元特産の梨を使った手作りシャーベットと多彩な品揃えで、迷う楽しみもあり。

これだけきれいに天体が見える鳥取でも、近年は人工の明かりや温暖化などの影響があり、
星を見る環境がだんだん悪くなっているとのこと。
ひとつしかない地球、大事にしなくちゃね。
 

佐治町地産地消グループによる、完全手作りシャーベット。
*画像提供/鳥取市さじアストロパーク
アイス・プリン・ようかん味から、おもちやたこ焼きなど、けっこうグルメな宇宙食の数々。

【鳥取市さじアストロパーク】
鳥取県鳥取市佐治町高山1071-1
TEL 0858-89-1011  FAX 0858-88-0103