from パリ(河)- 28 – アぺロしない? パリで人気の
タパス・バー&ビストロ。

(2014.05.09)
 
パリでアペロタイムを楽しもう。
「On va prendre l’apéro ?」(アぺロしない?)は、フランスで生活していると、夕暮れ時によく耳にするフレーズ。日本語に変換すると、「これからちょっと飲みに行かない?」になるでしょうか。「apéro」は「食前酒」を意味する「apéritif」の略ですが、フランス人は「夕食前に軽く一杯飲む」時に良く使います。「アぺロ」は仕事のストレスを解消してくれる魔法の言葉。夕方5時~7時くらいまでの間、親しい友人とカフェやバーで待ち合わせて、お酒を飲みながら言いたい放題、おしゃべりすることは、フランス人の生活の潤滑油とも言える習慣になっています。

日本とは違って、会社の同僚と飲みに行くことは、よほど気の合う人でない限り、あまりありません。上司や同じ部署の人との「ノミニケーション」という文化もほぼ皆無。フランス人にとっては、アペロタイムは仕事の延長ではなく、気の置けない仲間と楽しくおしゃべりする、完全にプライベートな一時なのです。このアペロ客を獲得すべく、多くのカフェでは「ハッピーアワー」を設けて、ビールやワイン、カクテルを安くサービスしています。つまみとしては、フランスならではの食材である、生ハムやパテ、チーズを木製のプレートに盛り合わせた「Planche(プランシュ)」が定番。大体15〜20ユーロぐらいで、4人分のボリュームはあります。サマータイムには、日当たりの良いカフェのテラスで冷たいロゼワインを一本開けるのが、特に女子の間で流行っています。

  • L’Avant comptoir(ラヴァン・コントワール)のメニュー
    L’Avant comptoir(ラヴァン・コントワール)のメニュー
  • Clamato(クラマト)のアスパラを添えた貝料理
    Clamato(クラマト)のアスパラを添えた貝料理
  • La Bascule(ラ・バスキュル)の絶品オス・ワ・モワル
    La Bascule(ラ・バスキュル)の絶品オス・ワ・モワル
  • Mary Celeste (マリー・セレスト)のスパイシーなタコス
    CMary Celeste (マリー・セレスト)のスパイシーなタコス
進化するアぺロ文化

さて、パリではここのところ、アペロ文化がさらに進化しつつあり、おいしいお酒とともに、手の込んだグルメなタパスを出すワインバーやビストロが増えてきています。「タパス」は、もともとはスペインのおつまみのことですが、フランス語では的確な表現がないせいか、ちょこちょこっとした酒の肴全般を指す時に、スペイン語の「タパス」を借用しています。フレンチの夕食といえば、前菜、メイン、デザート、と、ヘビーな料理を、時間をかけて食す、というイメージが一般的ですが、スピーディなライフスタイルへと変化している現代では、フランス人の食生活もよりライトにカジュアルになってきています。アペロとディナーを兼ねて、おいしいものをいろいろ、仲間とシェアしながら気軽に食べたい、という現代のパリっ子たちのニーズに応えるのがタパス。スペインのバルや日本の居酒屋の文化がパリにも浸透してきたということかもしれません。カウンター式のお店も、ここ数年で結構見かけるようになりました。

今、パリで人気のタパス・バー、ビストロを何軒かご紹介します。フランスに来て、料理1皿のボリュームにげんなりしてしまう日本人の方々にもおススメなので、ご参考まで。

L’Avant comptoir (ラヴァン・コントワール)
3, Carrefour de l’Odéon 75006 Pairs Tel:+33 1 44 27 07 97
タパス・バーの草分け的存在。ネオビストロブームを牽引してきた、イヴ・カンドゥボルド氏が、パリで数年前に立ちあげたスペイン・バスク地方風の立ち飲みバル。カウンターしかない店内は、つい最近リニューアルされ、より明るく広くなりました。生ハムの入ったコロッケ、マグロのたたき風、フォワグラの串焼き、カニとリンゴのジュレなど、30品ほどあるタパスはどれも一工夫あっておいしい。ワインのセレクトも◎。海外からわざわざ訪れる客も多し。隣には本家の人気ビストロ『ル・コントワール』があります。

 

Clamato (クラマト)
80 rue de Charonne 75011 Paris Tel:+33 1 43 72 74 53
2013年11月にオープンしたばかりのお店。パリには昔から、生の牡蠣や貝類をそのまま出すオイスター・バーはたくさんありますが、このお店では旬の野菜やソースを合わせて、いろいろとアレンジを効かせた、オリジナリティーのある魚介料理を提案しています。北欧風のインテリアも素敵。カウンター席もゆったりしていて、1人でも気軽に行けるお店です。ワインは、魚介に合うビオの白を厳選。オーナーは、他にもセプティムという人気レストランとワインバーを経営しています。

 

La Bascule (ラ・バスキュル)
24 rue Durantin 75018 Paris Tel:+33 1 42 54 88 08
モンマルトルの丘にあるカジュアルなワインバー。上質な素材を生かしたシンプルなタパスが味わえます。クリーミーなブッラータチーズや、迫力あるオス・ア・モワル(牛の骨髄)などが美味。若者でいつも大賑わい。

 

Mary Celeste (マリー・セレスト)
1 rue Commines 75003 Paris Tel:+33 9 80 72 98 83
ファッション・ピープルの集まる北マレ地区にある今話題のバー。 フレッシュな果物や野菜をベースとしたオリジナルカクテル、珍しいビール、ビオワイン、と酒類が充実しています。タパスは10品ほどですが、ほぼ日替わり。野菜をふんだんに使ったヘルシーな料理が人気です。生牡蠣を常備していて、1ピースから注文可。夜中の2時まで開いているので、ディナーの後に1杯飲むのにも便利です。