from 鳥取 – 52 - 永年愛されつづけている素朴で懐かしい鳥取の味・生姜せんべい。

(2010.07.12)

鳥取(主に東部)では、冠婚葬祭のときなどにせんべいを配る習慣があります。事実、私が結婚したときも、花嫁姿を見に来てくださった近所の方などにせんべいを配りました。昔に比べるとこういった習慣は少なくなってきているようですが、幼い頃は実家の茶の間によくせんべいが置いてあったように思います。今思えば、それは買ったものもあるかもしれませんが、もらいものも多くあったのかもしれません。

鳥取の生姜せんべい。

せんべいといえば、米粉で出来た、醤油または塩味の焼せんべいを想像される方が多いかもしれませんが、鳥取では小麦粉、卵、砂糖を原料としたものが一般的で、中にはピーナツが入っていたり、青のりがかかっていたり、生姜砂糖が塗られていたりするものもあります。ことに私の祖母は生姜せんべいが大好きで、祖父母に面倒をみてもらっていた私は、おやつによく食べたのを覚えています。幼い頃の記憶と今も変わらない、波形の表面に白い刷毛目のある生姜せんべい。実はこのスタイル、鳥取独特のものだということを最近知ったのです。インターネットで生姜せんべいを検索してみると、形や生姜蜜の使い方に、いろいろな種類があるのがわかりました。
 

鳥取砂丘の風紋を連想させる波形。
白い刷毛目はひとつひとつ丁寧に仕上げられた手作業の証し。

鳥取の生姜せんべいは、古くは江戸時代から伝わるもので、今では県内でいくつかの業者が製造しており、それぞれの味・特徴がありますが、形は円形の波形が基本。表面には一枚一枚丁寧に手作業で生姜蜜が塗られていて、乾くと白い刷毛目となり、まるでうっすら雪化粧した鳥取砂丘を連想させます。

 

鳥取市気高町産の瑞穂(みずほ)生姜。

味の決め手となる生姜は、鳥取市気高町産の「瑞穂(みずほ)生姜」を主に使用。栽培されて400年以上の歴史があり、生産量が少なく、収穫された瑞穂生姜は防空壕を利用した貯蔵庫の中で半年以上熟成されます。こうして土の中で熟成させることにより、さらに美味しくなるそうです。

この希少な生姜を使用したせんべいの味は、いたって素朴。見た目より硬くなく、軽い口当たりで甘さも控えめです。生姜の風味がどこか懐かしく、小さなお子さまからお年寄りまで美味しくいただけるやさしい味です。こういった素朴で飽きのこない味だからこそ、永く愛されつづけているわけですね。しかもこの生姜せんべい、一般的なものより砂糖の使用量が少ない上、生姜の健康パワーが期待できるヘルシーなところもうれしい限りです。

県内の小売店のほか、スーパー(いずれも主に東部)で売っているのをよく見かけますし、東京のアンテナショップ『食のみやこ鳥取プラザ』にも置いてあります。鳥取へ遊びに来た際は、ぜひ食べてみてくださいね。

鳥取県の旬の観光情報を発信している、鳥取県観光情報ホームページでは、2010年7月15日(木)まで鳥取生姜せんべいプレゼントを実施していますので、ぜひこちらものぞいてみてくださいね。

 

鳥取県観光情報ホームページURL:
http://yokoso.pref.tottori.jp/