from 金沢(早川) – 4 - 北陸の田んぼの一角に佇む懐石料理の店、鈴おき。

(2009.06.02)
『鈴おき』はのどかな田んぼの一角に。
加賀群青の美しい壁のお部屋
赤壁のお部屋。床の間には季節にふさわしい軸と清楚な花。
襖には遊び心のあるウサギたちが踊っています。

『鈴おき』ご主人は小堀遠州の茶道に通じており、茶会席をイメージしたお料理をはじめ、建物の風情や庭の手入れに細かく眼を配っています。
目立つことなく、しっとりと和服をお召のお女将さんが、笑顔であたたかく迎えてくれます。

先付
粟蒸し
お造り

<先付>は酒粕にくるまれた梅羊羹や、色鮮やかなソラマメ、ふぐの粕漬け、イイダコの煮物、桜の葉と昆布にくるまれた鯛寿司などが、色とりどりに盛りつけられ、一つ一つ丁寧で味のバランスがきちんととれています。
粕漬けの繊細な味は、白ワインにも合います。
今日はシャブリ・プルミエクリュ・レ・クロを選びました。

前菜の<粟蒸し>は鰻とゆり根が入っていて、何とも上品な餡がかかっています。餡の上にちょこっとのったわさびがいい感じに効いています。

<お造り>は烏賊、鮪、鯛、どれもとても新鮮。豆皿に出された珍味、墨いかの沖漬が白ワインに合うのに、驚きました。

鯛の汁椀
揚げ出し
鰆の唐蒸し
デザート

<腕物>は心地よい苦みのウドが、絶妙のアクセントに。
<揚げ出し>は筍のシャキシャキ感と、茄子と加賀麩のふわふわした感じが、とてもバランスよく、美味しい。白みそのソースがかかり、まろやかな味わい。
<鰆の唐蒸し>は卯の花がたっぷりと入った立派な鰆の一切れ。
唐蒸しは加賀の郷土料理の代表格です。お祝いの席では体を使いますが、上品な味の
卯の花と鰆との相性がよかったです。
<酢物>は丁寧に包丁仕事がされた烏賊と、細かくほぐしてある蟹の酢の物。酢がきつくなく、贅沢な北陸の一品。

ご飯は五穀米の筍ごはん。
やさしい味付けのお味噌汁とお漬け物で、ついついおかわりをしたくなります。

<デザート>果物はたべやすい一口サイズのイチゴとメロンのゼリー寄せ。そして<御抹茶と和菓子>

和菓子は自家製の一口みたらし団子。豆腐入りとのこと。そえられた餡は塩味で素朴。
息子さんがつくられたのだとか。

このお店で気に入ったのはお料理だけではありません。
ご主人のこだわりの器の数々。
輪島塗のお椀や九谷焼のお皿、京都の粉引きのお湯のみなど。
どれもこれも美しく、それぞれに盛られた料理を引き立てています。
女将さんの心配りと季節感あふれるお部屋の飾り付けも、いつも楽しみです。
五月は兜の部屋と、三番叟の鈴の部屋。
昼夜各2組しかとらない料亭。昭和初期の懐かしさが漂う邸宅で、夫妻が丁寧にもてなしてくれる「鈴おき」は県外から楽しみに訪れるお客様も多いということです。

 

『鈴おき』

Tel.076-274-2502
住所:白山市橋爪町23
11:30~14:00、17:30~21:00 火休
P/10台 席数/座敷30席 予約/要 カード/不可
昼 懐石料理(季節料理)6000円より
夜 懐石料理(季節料理)8000円より