from 大阪 – 1 - 美術館巡りと昼酒。

(2011.01.07)

新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

昨年までエリアナビ広島を担当していましたが、実は昨年末に大阪へ引っ越すことになりまして……。そこで急遽、エリアナビ大阪として、また書かせていただくことになりました! 大阪初心者的な視点から、いろいろレポートできればと思っています。

さて。生まれて初めて住むことになった大阪。

関西のノリについていけるのかどうかという不安もありましたが、まあもうそんなこと気にしてる歳でもなく。食都・大阪をおおいに楽しんでやろう、という気持ちで一人新大阪駅に降り立ち、ミナミはなんばへ。おばちゃんからたこ焼きを買って、あまりの熱々に舌をやけどしそうになりながらも、ソースと青のりと鰹節の香ばしさに元気をもらってから、はやひと月半が経とうとしています。

その間いろいろありましたが(もちろん仕事してました)、駅前の普通のうどん屋さんで食べたかやく御飯の美味しさに唸り、なんてことない立ち飲み屋さんで出された出し巻き卵の旨さに頬を緩め、深夜遅くまで開いてるたこ焼き屋さんの温かいおもてなしに感動したりと、まあ食って飲んでばっかりなわけですが(笑)。せっかくの休日、思い立って美術館巡りへと出かけてきました。

あいにくの雨だったため自転車ではなく地下鉄に乗り、天保山にあるサントリー・ミュージアムへ。ここは前に一度訪れたことがあるのですが、なんと平成22年12月26日をもって休館したそうです。海に面していてイイ雰囲気の美術館だと思ったのですが……。
 

建物の設計は安藤忠雄氏によるもの。
展示室のみならずロビーにも作品が

そしてその最後を飾る展覧会は『ポスター天国サントリーコレクション展』。19世紀末、ロートレックなどのポスター黎明期から、20世紀後半のものまで、時代時代を映すポスターがズラリと並んでいました。

一番目を引いたのは「ペリエ」のポスター。海辺で男女が絡んでいるシーンなのですが、全然イヤらしくなく、すごく自然な感じで温かみがありました。ついついずっと見てていたくなるような。ほかにも戦時中のポスターとか、ポーランドのめちゃくちゃ暗いけど鋭いものとか、あと赤玉ポートワインのドキッとするのとか。懐かしさもありましたが、今見ても新鮮というか、心にズシッと訴えかけてくるものもありましたよ。

天保山をあとにしてから、中之島公園へ。堂島川と土佐掘川にはさまれた、川のなかにポツンと浮かぶ都会のオアシスのような公園。そこに大阪市立東洋陶磁美術館というのがあるのですが、今回は『ルーシー・リー展-ウィーン、ロンドン、都市に生きた陶芸家』特別展を観てきました。
 

レトロな雰囲気の大阪市中央公会堂。
雨の日の中之島公園はどこか寂しい。

まず目に飛び込んだ、ピンク線文鉢のなんと華やかで美しいこと! でも決してけばけばしくはなく、清楚で、純粋で、温かい気持ちになれるような上品な美しさ。鉢とか花器とかいろんな小物があったのですが、どれも繊細で、一見華奢に見えるけど、でも実はすごく力強さを秘めてるような、そんな質感もあったりと。ひたすらため息をもらしながら眺めていたのですが、もし実際にこれらの器を使って飲み食いしたらさぞかし……なんてよこしまな思いを巡らせてしまうほど、彼女の作品はストレートに僕を魅了してくれました。

さて、美術鑑賞も終わって小腹が空いたところで。大阪に来たならばコレと思っていた「昼酒」に向かいます。長い長い天満橋筋商店街を北へ歩き(途中にもいくつか誘惑がありました・笑)、JR天満駅を越えたところにある『天満酒蔵』へ。昼過ぎの3時頃でしたが、店内はすでに酒臭い息を吐く大人たちで一杯でした。
 

すぐ隣の「七福神」も気になりましたがお休み。
澄んだダシ汁が染み入る旨さ。

生ビールをシュッと飲み干し、瓶ビールに切り替えてサバの刺身をひとつまみ。うまい。ホルモン焼きで腹を太らせ、野菜の天ぷらは澄んだダシ汁に浸して……。マグロのカマなんかも頼んでしまい、いつの間にか熱燗も二合ほど。うまいんだけど、うますぎない、絶妙のゆるさ加減がなんとも心地いいんです。

生まれて初めて住むことになった“大阪”。どうやら楽しく付き合っていけそうな気がします。