from 鳥取 – 74 - とろりとした食感を味わおう! 鳥取産「ハタハタ」。

(2011.03.30)

鳥取県東部にある樗谿(おうちだに)公園の梅の名所「梅鯉庵(ばいりあん)」の梅も咲き始め、見ごろを迎えています。この頃から、わが家の食卓に頻繁にお目見えする魚が「ハタハタ」です!

実は鳥取県は、この「ハタハタ」の一大産地。鳥取県内でのハタハタの漁獲量は、年間約1,200~3,000トンと、全国でも有数の漁獲量を誇ります。また、鳥取産のハタハタは、2月初旬から5月が漁獲のピーク。まさにこれからがハタハタの旬なのです!

地元では「白はた」とも呼ばれ、一般家庭でよく食べられる魚の一つです。ウロコがないため調理しやすいことや、骨が柔らかく魚肉の身離れも良くて食べやすいことから、子どもから大人まで多くのかたに愛されています。ハタハタは新鮮なものを調理して食べたり、一夜干しにします。一晩干したハタハタの一夜干しは、旨みがぎゅっと濃縮し、また鮮魚とは違ったおいしさになります。鮮魚はしょう油で煮付けに、一夜干しは焼いて食べるのが定番ですが、私の一押しはハタハタの唐揚げです。一夜干しのハタハタを丸ごと揚げて、そのままパクリ。頭も骨も一緒に食べることができます。また、鳥取県岩美町では小ぶりなハタハタを使った「じんたん寿司」(“じんたん”とは全長8~10センチほどのハタハタを指す県東部での呼称)や、新鮮なハタハタを三枚におろし特製のだしでさっと湯通しする「ハタハタのしゃぶしゃぶ」など、新たな食べ方や郷土料理が生み出されています。

頭の部分はカリカリとして歯ごたえがよく、身はとてもジューシー。ハタハタのおいしさを存分に楽しめます。 撮影=佐野明美(とっとりNOW89号掲載)

ハタハタといえば、全国的には東北地方、特に秋田県のイメージが強いと思います。地元では、「ブリコ」と呼ばれるハタハタの卵を持ったものが好まれるそうです。しかし、鳥取県のハタハタは、卵を持っていません。そのかわり、身が引き締まり、脂のりがとてもいいのが魅力。しかも、その脂はとてもまろやかです。

鳥取県水産試験場などの調査で、鳥取産のハタハタの脂のりを示す脂質含有量が、年間を通してほぼ平均10パーセントをキープしていることが分かりました。これは、秋田県が調査を行った東北産のハタハタの脂質含有量が多い時期でも8パーセント程度だったことと比較しても、脂のりの良さが分かります。というのも、鳥取産のハタハタは、朝鮮半島東岸で生まれ、餌をとり成長しながら山陰沖に回遊。そのため、育ち盛りで、脂のりが抜群なハタハタを味わうことができるからです。

魚を傷つけずに数秒で脂のりが測定できる測定器。鳥取県水産試験場と鳥取大学と共同で測定器のソフトを作成したそうです。

これからの時期は、ぜひ鳥取県に来て食べてもらいたい魚ですが、あまりにもメジャーなためお店のメニューにはない場合もあります。食べたいときには、事前に相談してみるといいかもしれません。また、東京の新橋にある鳥取県のアンテナショップ「食のみやこ鳥取プラザ」では、一夜干しなどの加工品を販売しているので、ぜひ食べてみてくださいね。

ちょっと濃いめに味付けするとあったかいご飯が進みます。
干物なのにじゅわっと脂がにじみ、酒の肴にもたまらない逸品です。

去年の10月、このおいしい鳥取産のハタハタを全国にアピールしていこうと新ブランド「とろはた」が誕生しました。ハタハタの脂質含有量を調査した際、「体長が大きなハタハタほど、脂のりもいい」ということが判明。そこで、体長が20センチ以上の脂のりに自信のあるプレミアムな鳥取産の大型ハタハタを、「とろはた」として売り出しています。

全国のハタハタファンのかたも、これまでハタハタに馴染みのなかったかたも、冬季限定の子持ちハタハタとは一味違った「とろ」けるような食感の鳥取産ハタハタをぜひ味わってください!