金沢おしゃれメッセ2008に行ってきました。 “金沢”と“鏑木商舗”は加賀のKKコンビや!

(2008.10.24)

「金沢の雪を見ないか……」
これは某超有名作家の定番の口説き文句だという。
日本のあらゆる文化に造形深い作家が、女性のために用意する最高の舞台が金沢だった。
その言葉に女性は、雅びやかな古都の佇まいや九谷焼、加賀友禅の伝統文化、日本海の哀愁と美食、白山の湧水と豊かな自然が育んだ酒米のマリアージュが生んだ銘酒に思いを馳せる。
そんな金沢から生まれた、金沢の文化をベースにした生活を彩るファッションを発信するイベントが「かなざわごのみ おしゃれメッセ2008」。
今回、その歓迎レセプションにおじゃましました。

 
二の丸公園でのオープニングセレモニー 二の丸公園ファッションショー

会場は金沢城公演、二の丸広場。
石川門口から入ると、広々とした芝生の広場は満月に照らされて、浄化された気の雰囲気に満ちています。
「あー、来て良かった……」
同行の「とある編集部のアラフォー女子」が思わずつぶやきました。
会場では金沢の料亭がこぞってブースを出店し、いい香りが漂います。
万寿貝焼き、鴨汁、能登牛の串焼き、地元の魚介の握りなど、思わず胃がキューッと反応する美食三昧。

 

鏑木基由さんと愛車のロンドンタクシー

「よくいらっしゃいました」
主催者の挨拶を聞くのもそこそこに料理を頬張っていた私たちを見つけて声をかけてくれたのは、ステキな着物姿が由緒正しい、鏑木商舗八代目当主・鏑木基由さん。メッセを主宰する金沢ファッションウィークの重要メンバーであり、今回、マガジンハウス取材班を招待していただいた方です。

鏑木商舗は1822年、徳川11代将軍家斉の治世に九谷焼最初の商家として開業。加賀藩の意向で九谷焼の復活、普及が推進される中、その一翼を担い、再興九谷の歴史と共に歩んできた名店。明治大正期に輸出品としての地歩を固め、海外での万国博覧会に出品したのも「鏑木製の九谷は一級品」という確固とした評価があったからこそ。
取材班はレセプション終了後、長町武家屋敷を改造した鏑木本店におじゃましました。

夜の武家屋敷 明治時代の
鶏声コレクション
時代を感じる鶏声コレクション 欲しくなる九谷焼の器

長町武家屋敷跡には、昔ながらの佇まいを残した屋敷と石畳が残されています。ガレージの戸もシャッターではなく木製。そんな路地の奥に鏑木本店はあります。
お店なのでお客様は自由に入れます。色鮮やかな九谷焼が並ぶ店内は華やかな空気がいっぱいです。中でもひときわ目を引くのが、ステムと呼ばれる脚の部分を九谷焼で焼き、ドイツのグラスメーカー・シュピゲラウ社製のグラスと結合させたワイングラス。
この繋ぐ技術が職人芸で、鏑木商舗でも数少ない名人のワザだとか。実用品でありながら美術品。グラスがドレスを纏ったような、華やかな風情は幻想的ですらあります。

鏑木本店では販売のほか、「おいしいいっぷく鏑木」というスペースで、旬の素材のおばんざいメニューやお茶など、飲食も楽しめます。
私たちはプライベートスペースの2回に招待いただき、件のワイングラスで官能的なワインをいただきました。中庭に面した窓の外の金沢の夜が更けていきます。

鏑木商舗店内 九谷焼の名家、鏑木商舗 シュピゲラウ×九谷焼きのワイングラス

「金沢の九谷焼のグラスでブルゴーニュを飲まないか……」
東京に帰ってからの口説き文句は、これで決まりです。