『シルバー・スピリット』の美食旅
第1日目 船編 究極のクルーズとは?

(2011.05.23)


インテリジェントで愉快な次世代型のラグジュアリークルーズが人気上昇中です。
知る人ぞ知る6つ星的クルーズ旅行、ってどんなもの? 
『シルバー・スピリット』に、2010年夏、アテネからローマまで乗船してみました。


 

語り手のふたり組 − 黒田美津子&北村美和子


黒田美津子 インテリアスタイリスト。仕事旅では毎年ミラノサローネ来訪。プライベートの旅行はショップや建物があると仕事脳が働いてしまうため、地平線、水平線の見える場所へ行くのが好き。


北村美和子 平均月2回の海外取材がデフォルト、の強者。宝石をまといつつ、素早いフットワークでどんどん撮影するという甘辛合わせ技を駆使するカメラマン。

 

Itinerary 旅程 全8日間
ギリシャ、アテネ(ピレウス港)~ギデオン~マルタ、バレッタ~イタリア、シラクサ~ソレント~ローマ(チヴィタベッキア港)

*写真はすべてクリックで拡大します。

 

スーパー・ラグジュアリークルーズ、
「シルバーシー・クルーズ」

黒田:クルーズ女王の“とらこ”サマ。これまでに30回ものクルーズをご経験! スゴすぎ。
 
北村:シルバーシーの船には10回ぐらいよ。
 
黒田:ひゃー。それだけ楽しみの奥が深いってこと? 今回は地中海を巡る8日間の航海に初めて乗船したけど、10回乗っても飽きないかも、ていうのはわかる。私のようなインドア・タイプにも、観光、食事に勉強に、寝てるだけでもベッドやリネンは最高だし、アウトドアのオプションがたくさん。とても1週間では日数も体力が足りない……。ところで、世界にはいろんな客船の旅があるけれど、「シルバーシー・クルーズ」の位置づけは?  
 
北村:一言でいえばラグジュアリー。知的で華やか、かな。小型で落ち着いた船、というのがこれまでのイメージ。今回乗船した『シルバー・スピリット』は船体が少し大きくて、雰囲気はモダン。

黒田:「シルバーシー・クルーズ」はどこの国の会社?

北村:オーナーはイタリア人で、本社はモナコ。ローマ出身のルフェーブル一族というファミリーが経営。車椅子のおじいさま会長が乗船してたわね。

黒田:6つも客船を持ってるのね? 

北村:『シルバー・クラウド』、『シルバー・ウインド』、『シルバー・シャドー』、『シルバー・ウィスパー』、『シルバー・スピリット』。もう1隻は極地を巡るラグジュアリー探検船『シルバー・エクスプローラー』。『シルバー・スピリット』は2011年に初めてワールドツアーに旅立った新造船ですね。

黒田:ワールドクルーズ! 

北村:それぞれの船の違いは、まず、サイズが違う。『シルバー・クラウド』、『シルバー・ウインド』など初期に就航した船は1万7400トンで小ぶり。『シルバー・スピリット』は3万6000トンとだいぶ大きい。雰囲気がクラシック〜モダンと少しずつ違うかな。サービスは、ホスピタリティに定評のある最高級旅館、たとえば『蓬莱』や『俵屋』のように行き届いた大人のサービス。これは全船共通ですね。

黒田:インティメイト(親密)ね。

北村:『シルバー・スピリット』では、黒服のバトラーが客室を担当していましたが、水色の可愛いレースの付きの服を着たメイドの場合もあるんですよ。

黒田:私の客室担当バトラーはインドネシア人。みんな、とてもきれいな英語を話すのよね。しかも堂々としてる。だから、はじめはちょっと気後れしたりして(笑)。ところが、すぐ慣れちゃう。「やっといてね。」ってすぐ女王様になる自分がコワイ。

北村:夜は燕尾服を着て、ビシッとキメてる。それこそ「お嬢さま、おかえりなさいませ」。

黒田:なにかお願いすると「certainly! my pleasure」。お行儀がいいのね。

自由こそ、一番の贅沢

黒田:『シルバー・スピリット』は、「シックカジュアル」なクルーズってことになる? 

北村:「エレガントシック」かな。シルバー・スピリット以前の船はトラディショナル・スタイルで、インテリアもクラシック。

黒田:その2つの船は伝統的な船旅のイメージを徹底しているのね。

北村:クルーズは船が小さいほど料金が高く、大きくなるほどリーズナブルになります。小型のラグジュアリー船は、大型船が停泊できない魅力的な港に寄航できるのも特徴ね。

黒田:なるほど〜。カリブ海クルーズではカジュアルすぎる大型船がたくさん運行していたわ。『シルバー・スピリット』をカテゴライズすると? 

北村:上質なブティックホテル。それも、スイートルームというよりも「クラブ・フロア」かな。

黒田:音楽でいうと、交響曲じゃなくて……。

黒田:洗練されたジャズ?

北村:そうね、サルサもね。

黒田:たしかに、そういう軽快感があった。女性もマダム系は意外に少なくて、仕事してるっぽい感じのキャリア率が高い。

北村:『シルバー・スピリット』が就航して一気にモダンになりましたね。船の仕様やお客様だけじゃなくて、サービスもモダンに。

黒田:さりげなくNYのクリエーターっぽいゲイカップルが乗船してたり。そういうリベラルな「シックカジュアル」ね。

 

あれも、これも……オールインクルーシブ!

黒田:一番のポイントは、乗船料金にすべてが含まれている……。
 
北村:そう、「オールインクルーシブ」! 

黒田:オールインクルーシブのホテルやツアーより、さらに何もかも。どこまで料金に含まれているのでしたっけ?

北村:食事とアルコールを含む飲み物がすべて含まれています。特別なメニューを出す有料レストランはあるけど、基本的にルームサービスも含め船内での飲食は料金に込み込み。飲み物は特別銘柄を除くワイン、シャンパンが飲み放題! これはすごいことですよね。 

黒田:だから、お酒好きは乗船するとつい飲んじゃう~。

北村:そう、私、よくシャンパン飲むから~(笑)。私の好みが記録されていて、毎日シャンパンが部屋に届けられているんですよ~。うふふ。

黒田:いつでも好きなときに、好きな所で食べたり飲んだり出来るのがほんとに気楽でいい。夕方に朝食を取ったってぜんぜんオーケー、ゼッタイ食事時間に叩き起こされたりしない。そういえばバナナが好きで毎日食べる、ってなにげなく言ったら毎朝、ちゃんとテーブルに。だから、なんていうのかな……

北村:サービスがきめ細かい。

黒田:そう、かゆいところに手が届く。でも、ほっといてくれる。頃合いがほどよい。

北村:乗船後しばらくすると、各客室担当のバトラーがまわってきます。客室の電話に備え付けられた「バトラーボタン」で呼ぶと、クリーニング、エクスカーションの予約のほか、さまざまなことに対応してくれる。食事も24時間いつでもオーケー。たとえば「プライベートな寿司パーティをしたい」というオーダーにも確実に応えてくれます。

黒田:何事にも「NO」を言わないのよね。しかも、その都度サインしたりチップ渡したりの必要がないのもラク。日本人にとってはけっこうわずらわしいから。

北村:かなり手のかかるお願いを聞いてもらったときだけ心付けすれば、基本的にチップを払う必要がないのは気分的に楽ですよね。

黒田:と〜っても贅沢なんだけど、華美じゃない。つかず離れず、絶妙な距離も保たれていながら、細やかな心配りが至るところで行き届いている。洗練されたサービスね。東京での日常では、もちろん何でも自分でやらなきゃならないから、ものすごく感動したわ~。


(つづく第2日目は「部屋編」。お楽しみに! )

 

 
 
 

シルバーシー・クルーズ トリビア

シルバーシー・クルーズ

ラグジュアリークルーズ界のイノベーターとしてインテリジェントな旅人に人気の『シルバーシー・クルーズ』は本社をモナコに持つイタリアの船舶会社による客船。『シルバー・クラウド』、『シルバー・ウインド』、『シルバー・シャドー』、『シルバー・ウィスパー』、『シルバー・スピリット』の5つの客船で最高級ホテル同様の快適さを提供する。2008年6月には、サービスや内装がラグジュアリーな極地探検船『シルバー・エクスプローラー』が登場。地中海、カリブ海をはじめ、北極、南極を含む400以上の寄港地を廻って7つの大陸を旅するラグジュアリークルーズの代表的なブランドとなっている。また、シルバーシークルーズは 受賞歴多数。2010年夏にも3つの「ベストクルーズ賞」を受賞。その他、『コンデナスト・トラベラーUSA』誌にて9回、トラベル&レジャー誌で7回、「ワールド・ベスト」に選定されるなど、数えきれない受賞歴を持つ。

シルバー・スピリット

2009年12月にデビューした新造船。36000トン。全長198.5m、全幅26.5mで6つのダイニング、広々としたスパ、リゾートスタイルのプールやライブラリー、展望室などがある。定員540名。
 

 
2011年の航海予定

2011年 5月~10月 地中海
(詳細はホームページ参照)

 
 
 

おまけ★memo 寄港地はこんな感じ

船は毎晩ぐんぐん航海して、起きると寄港地に到着している。出港した次の日は地中海に浮かぶギリシャの小島、穏やかなギディオン島に上陸。じつにのどかな異空間にほっこり。海鮮パスタ美味。ただしアンティークショップは昼時休業注意。

お問い合せ先

インターナショナル・クルーズ・マーケティング株式会社(シルバーシー・クルーズ 日本地区販売代理店)
Tel: 03-5405-9213
www.silversea.jp

*special thanks to
シルバーシー・クルーズ トルコ航空 ルレ・エ・シャトー