from バスク – 1 - バスクの真の宗教?

(2009.07.28)

バスクといえば“食”をイメージする人も多いのでは。たしかにおいしい料理を出すbar(バル)やレストランは多い。それに「バスクの宗教は食べることだ」なんて冗談で言われているくらい食べるのが好きな人が多い。でも、ただ食べるだけじゃなく、自分たちでおいしく作って食べることを楽しみにしている人たちもとても多いのです。そんな人たちの集いの場所をバスク語で「txoko(チョコ)」と呼びます。日本で例えるなら、「美食クラブ」といったところ。

txokoの壁にはかつての漁師達の写真が飾られている。これもtxokoの雰囲気を作っている装飾のひとつ。
バーカウンターもあり、みんな思い思いにお酒を作って飲んでいる。カウンターの下にはワイン、リキュール、ビール、ジュース、ミネラルウォーターなどがたくさん常備されている。

「txoko」は仲間でキッチン付の部屋を借りて、好きなときに食事会を開く仕組み。その多くは共通の趣味や仕事をもとにしたグループからなっています。実際にお邪魔させてもらった2件の「txoko」は漁師たちのグループと、狩猟や釣りの趣味仲間のグループ。実は、伝統的に「txoko」は女人禁制。一説には、恐妻家を多く持つバスクの男性達が奥さんから逃げるためにそういうルールを作ったとか。現在も、女性のキッチンへの立ち入り禁止だとか、メンバーにすらなれないというtxokoがまだまだ多いようです。

メインのあんこうを料理するひょうきんな2人。
前菜だけでもテーブルが一杯になってしまった。手前右がチョリソ、左がタコとジャガイモを湯がいた物、そして奥にある太い白アスパラガスはバスクの食事会には欠かせない。

食べることが好きな彼らは、食べきれないほど作る! 一度参加したtxokoでは、前菜にサラダやハムなど7皿(!?)。その後、コロッケ、メインのあんこう、デザートにはショートケーキとティラミス……。もちろんお酒もたくさん飲む。「若いんだからたくさん食べられるだろう」「もっと太れ」と言われながら、次から次へと料理を盛られてしまいました。みんな貫禄のあるお腹をさすって「食べた食べた」と満足気。しかし食事は終わっても話は終わらず、お酒も回って気分が良くなると次は歌が始まります。いやー愉快。そしてパワフル。間違いなく、バスクの男はみんな“食事教”の敬虔な信者です。