from パリ(石黒) – 10 - 光の洪水、ノエルのパリ。

(2009.12.16)
サンジェルマン・デプレ教会裏の、パリ左岸、ビュシ通り(Rue de Buci)のイルミネーション。琥珀色の光が、暖炉の炎のような雰囲気を醸し出しています。

2009年も残すところおよそ2週間。パリのショーウィンドーは、あちこちで、ノエル(クリスマス)のディスプレイ。寒さが一層身に沁みるこの時期、街を包む暖色系の光が、ほっと、気持ちを穏やかにしてくれます。

ショーウィンドーはすっかり雪景色。行く人々をウィンドーから見上げる天使は、何を想い巡らしているのでしょうか。
7区のバック通りにあるワイン、リキュール専門店。クラシックなノエルデコレーション。クリスマスディナーには、やっぱり美味しいワインとディジェスティフ(食後酒)!

パリのイルミネーションといえば、シャンゼリゼ通り。約2キロメートル、415本の街路樹に取り付けられたのは、ピンク系の光。11月23日に点灯式を行ったのは、シャルロット・ゲンズブール。光のアヴェニューは、1月10日まで続きます。

シャンゼリゼ通りを走る車のライトも、光の演出の一部。一瞬たりとも、光の流れが止まる事はない。奥に見えるのが、凱旋門(写真左)とコンコルド広場の大観覧車(写真右)。

 
デパートもこの時期、こぞってイルミネーションに力を入れます。右岸デパートの代表格、プランタンとギャラリー・ラファイエットにはパリ名物ともいえる、光のファサードが。左岸に位置する世界で一番古いデパート、ボン・マルシェは、凝ったショーウィンドーがとくに有名。3つのデパートとも、機械仕掛けの趣向をこらしたショーウィンドーで、街行く人々の視線を集めます。週末、そしてクリスマス休暇に入ると、イルミネーションに負けないくらいに目を輝かせた子供たちが、ウィンドー前で、夢の世界に見入っている光景が。実は、大人も楽しんでます。

左の写真は、オペラ座の裏、ギャラリー・ラファイエットは、アラベスク風モチーフのイリュミネーション。まるで光で編んだレースのよう。中央と右の写真は、プランタン。外観は、例年、紫色が続いているような…。背が届かない子供たちにも見やすいようにと、ウィンドー前には、子供用にひな壇が設置されるという心配りも。
 

左がボン・マルシェ外観。今年のショーウィンドーには真っ白な装飾が設置され、プロジェクターから色とりどりの光が放たれる仕掛け。プランタン、ギャラリー・ラファイエットに比べると、ちょっと大人向きかも。カラフルなボールやオーナメントが並ぶデコレーション売り場は、あれもこれも欲しくなってしまう…。

 
駅前や、大通りには、マルシェ・ド・ノエル(クリスマス市)が立ちます。クレッシュを飾る陶器の人形や、クリスマスのディナーには欠かせないドライフルーツや、プレゼントに最適なオブジェなどが店先に並びます。

写真左がサンジェルマン・デ・プレの小さなマルシェ。写真右のシャンゼリゼ通りには、左右に露店が立ち並び、そぞろ歩きを楽しむ人たちで賑わいます。

 
予期せぬ小さな通りにも、イルミネーションが施されていたりして、あちこちに、色とりどりの光の破片が輝く様は、まるで万華鏡の中に入り込んでしまったかのような錯覚に。魅力的なディスプレイも加わって、クリスマスプレゼント選びは、ますます悩ましいものに……。

写真左が、サンジェルマン・デプレからのモンパルナスまで伸びる、レンヌ通り。写真中央は、フォーブルサントノレ通り。青い光が、ひんやりとした印象。右の写真は、高級ブティックが立ち並ぶアベニュー・モンテーニュ。左側ビルの奥に、サーチライトを放つエッフェル塔が顔を覗かせています。

 
12月25日を過ぎるやいなや、街中が松飾りに変わる日本とは違い、フランスのノエルのデコレーションは、1月半ばまでのんびりと続きます。12月を師走とは、うまく言ったものですが、なぜか年末になると、時間の流れが加速して、ちょっとした時間の余裕を持てなくなりがち。そんな中、溢れんばかりの光の洪水と化した街を歩いていると、今年の小さな幸せ、大きな幸せ、小さな不機嫌、大きな不機嫌、色々あった事が、自然と蘇っては、消えていくような感覚に。全てを水に流す、じゃなくて、光に流す。今年も一年、なんだかんだ言って、それなりに頑張ったかな、みたいな気持ちにさせてくれる、パリのノエルの風景です。