from パリ(たなか) – pré 3 - パリへ行く前に、まずフランス語の勉強。

(2009.04.13)

4月からのパリ単身赴任がいよいよ現実味を帯びてきた08年末、やっぱり最低限のフランス語は話せなきゃまずいと思い、語学学校をこの目で当たってみることにした。

40年ほど前、大学での第二外国語はドイツ語を取った。私はグラフィックデザインが専攻で、当時のデザインは戦後バウハウスの流れを汲むドイツ機能主義モダンが主流だった。デザインを勉強するのならドイツ語のほうがなにかと役に立つかというのが動機。とはいえ、覚えているのはアーベー(AB=阿部)という教授の名前くらいだ。何とか単位だけは取得したが、授業のことはほとんど記憶に無い。しかしその大学生時代、フランス語を第二外国語に取った友人に誘われて、御茶ノ水にあるお洒落な学校にフランス映画を見に行ったときの様子は昨日のことのように覚えている。

まず、お茶の水の学校へ行ってみよう。久しぶりの駿河台、マロニエの並木道は今でも健在だった。学生時代の苦く甘い記憶を思い出しつつ、目指すフランス語学校を発見。建物の壁面にアヴァンギャルドなペイントが施され、一目でそれと分かった。ドアを開けるとフランス語も聞こえ、そこはもう外国だ。ちょっとタバコ臭い受付で案内書を貰いながら、40年の時空を飛んですっかり学生気分に戻った。

奥に見える白い校舎の1階が私たちの教室。天井が高く明るく気持ちのいい部屋で、ゆっくり本を読んだりお茶したり、ができれば最高。ここで勉強をしたのです 校舎の写真中央にある円い塔は、3階まで続く不思議な螺旋階段。さすがコルビジェの弟子(坂倉準三)の設計。白い巻貝の中にいるような、灯台にでも登っていくような…

その足でもう一校、飯田橋のフランス語学校にも行ってみることにした。事前にホームページを見て、会社からのアクセスが便利なこともあって候補に加えていた。これまた学生時代によく歩いた神楽坂、このあたりの名画座で見た二本立てが懐かしい。堀沿いの坂道を登るとすぐにこの学校はあった。

校庭の芝生には何やらアートを感じさせるオブジェが展示してある。広いテラス付きのカフェもあり、白い瀟洒な校舎は(あとで調べたら)ル・コルビジェの弟子が設計したモダニズム建築だ。玄関ホールの向かいには緑のドアの、いかにもパリって本屋もあるし、うーん、直感的にこっちのほうがお洒落だ。学校はもちろん勉強に行くところだが雰囲気も重要。もう若くない私にとって、途中で挫折しないためにも楽しくてカッコいいところでないと。お茶の水も決して悪くないのだが(ちょっと陰のあるパリ、老舗っぽい店構えに惹かれるものはあるが)、飯田橋の方が明るくて開放的で、今の気分で選ぶならこっちだ。

学内には『リブ・ゴーシュ』という名のフランス書籍専門店があり、気分はカルチェラタン。入門コースのテキストは、ここで買った。ユーロではなく円で。日本語ちゃんと通じます。学内のカフェは外国人が多いので、ついアンキャフェ、シルブプレ 和風の校庭では、いろんなアートイベントをやっている。09年は日仏修好150年。フランス人が持つ日本のイメージがわかる。別の日には、ここに日傘が並んでいた。奥のパネルの写真は、芭蕉の俳句からインスピレーションを得た作品

●エリアナビ・パリ「プレ編」全9回を公開。本編は5月からスタートします!