from パリ(河) - 18 - パリからスイスへ
夏の小旅行。

(2011.09.09)

モントルーを目指してTGVに乗る。

特に「山ガール」というわけではないけれど、平坦なフランスに長年いるせいか、「雄大な山々が連なる大自然」というものが無性に見たくなって、今年の夏は、スイスへふらりと出かけてみました。

フランスからスイスへは、TGV Lyliaという高速鉄道が走っていて、ジュネーブ、バーゼル、ローザンヌ行きなどの便があり、とても便利。4日間有効なスイスパスを購入して、朝一のローザンヌ行きのTGVに乗り、レマン湖畔のモントルーという町へ向かいました。

モントルーは、豪奢なホテルや別荘が立ち並ぶ高級避暑地。毎年7月にヨーロッパ最大のジャズフェスティバルが開かれることで知られています。山々に囲まれた、透き通った淡青色のレマン湖では、ジュネーブなどに向かう遊覧船も運航しています。また、この辺りはスイス屈指のワインの産地としても有名。ローザンヌからモントルーまで、レマン湖沿いの丘陵地帯に広がる葡萄畑は、ガヴォー地区と呼ばれていて、世界遺産に登録されています。今回の旅の目標は山を見ることだったので立ち寄れなかったのですが、時間があれば、ワイナリー巡りも楽しそうです。


ここで一泊して、湖畔の散策と、レマン湖名物のペルシュ(perche)という白身魚のムニエルとワインを楽しんだのち、次の目的地であるベルナー・オーバーラント地方へ。モントルーからは、ユングフラフヨッホなどのアルプス名峰地帯の玄関口である、インターラーケン行きの便利な列車が走っています。この列車は、「ゴールデン・パノラミック」と呼ばれていて、その名の通り、車窓からの牧歌的な眺めが素晴らしい。この路線では、ちょっぴりオリエンタル急行を思わせる、レトロなスタイルの列車が走っていて、鉄オタにはおそらくたまらないのではないのでしょうか。私もこのタイプの列車に乗ってみたのですが、ちょっとタイムスリップしたような気分が味わえて楽しめました(乗り心地はイマイチかな)。

2時間ほど揺られてインターラーケンに到着。曇りがちだったけど、天気はまずまず良好だったので、早速、登山列車に乗って、シーニゲ・プラッテ山へ。標高2,000m弱の地点まで、急斜面をコトコト登っていきます。まるで空の中を走っているかようで、気分は最高!このシーニゲ・プラッテ山は、インターラーケンから半日もあれば往復可能。旅のスケジュールがタイトで時間がない方でも、気軽にオーバーラント地方の壮大な山々を眺めることができるお薦めスポットです。


2,000m級の山をトレッキング。

次の日は、インターラーケンから列車で20分ほど行ったところにある、グリンデルワルト村へ。ここからは名高いアイガー山を間近に見ることができます。標高3,975mのこの山の北壁は、ヨーロッパで登頂が最も困難な三大登山ルートのひとつなのだとか。日本登山家の間で特に人気があるそうで、玄関口のグリンデルワルトには、日本語観光案内所さえあります。観光案内所から地図をゲットし、この旅のハイライトであるハイキングへいざ出発。

まずはグリンデルワルトからバスでグローセ・シャイデック(標高1,961m)へと移動。ここから、初心者向けのハイキングコースを歩いてフィルスト(標高2,171m)という山へ向かいます。このハイキングコースが素晴らしいのは、オーバー三山といわれるアイガー、メンヒ、ユングフラウという名峰が連なる絶景を眺望できること。しかも、私のように、運動靴を10年ぶりに買うような運動音痴でも何とか歩ける緩やかなコースなので、初心者にも比較的安心。ゆっくり景色を楽しみながら、2時間ほどで目的地にたどり着けます。途中に色とりどりの可愛らしい高山植物が咲いていて、思わず「サウンド・オブ・ミュージック」のエーデルワイスを口ずさみたくなる気分に。フィルストではお目当ての山の茶屋で、山々が青空に描く稜線と銀色に輝く雪を眺めながら、スイスの白ワインとオニオンソースたっぷりのアツアツのソーセージを賞味。何とも言えない至福の時でした。

最終日はスイスの首都であるベルンに立ち寄って、バーゼル経由でパリへ。3泊4日の短い旅でしたが、天気にも恵まれて、スイスの自然を満喫した旅でした。