from 鳥取 – 35 - 現役漁師のお墨付き!“松葉がに”のおいしい秘密。

(2009.11.24)

灰色の空とあられまじりの雨が続く毎日、とうとう山陰は冬へ突入です。お天気はいまいちなのですが、この季節ならではのあのお方の登場に、毎年心がはやります。そう、冬の味覚の王者こと“松葉がに”です。私の住む町には松葉ガニ漁の拠点となる漁港が2つもあり、日本有数の漁獲量を誇ります。今年も11月6日に漁が解禁となり、初競りでは最高1匹16,500円(網代漁港)の値段が付いたそう。“松葉がに”は鳥取地方での呼び名で、正式には「ズワイガニ」の雄のこと。ちなみに雌は親がに・せこがになどと呼ばれ、お腹の卵がおいしいこと・値段が割安なこともあって、地元では食卓にのぼる回数はこちらのほうが圧倒的に上です。

かに足についているタグは甲羅の幅が11cm以上で足の揃っている高品質の証。裏面には漁港と漁船の名前もあるブランド品。
網代漁港での初せりの様子。グリーンの帽子がせり人、オレンジの帽子は仲買人。指で値段を示し、入札する。

かにのことはやっぱりかに漁師さんに聞くのが一番。ということで、網代漁協に所属する「昇運丸」の板倉船長にお話を伺いました。「とにかく、かに漁は体力勝負。3~4日は寝ないで漁をするよ」とのこと。松葉がには一晩でなんと約40kmも進むという、かなり活発なタイプ。獲れるポイントが常に変化するため、レーダーや気象、他の船の動きなどを注意深く分析し、移動し網を引っ張り続ける。ときには1つのポイントに何十隻もの船が群がり、ガチンコ勝負を一晩中繰り広げることも。

そんな厳しい海の男たちもやっぱり、かには大好き。漁の間、食事は1日4回。獲った魚を煮て食べることが多いそうだが、お楽しみは夜食によく作るというラーメン。「水にかにをぶっこんで、あとはインスタント麺を入れるだけ。かにのいいダシがスープに出るし、冷えた体もあったまるしね」と、なんとも贅沢なラーメンの出来上がり。ここで重要なのは、かには絶対水から煮ること。熱湯に入れると、かにが暴れて足やはさみが落ちてしまいおいしさも半減なんだそう。

さらに忙しい漁師ならではの絶品料理が“かにの煮つけ”。しょうゆや酒、砂糖の少し甘めの煮汁で煮たもので、そのままでももちろんおいしいけれど身をほぐし熱々のごはんにのせ、かに飯にするとさらに旨い! どちらのかにでもおいしいけれど、親がにならお腹の卵にもほどよく味が付き、さらにおすすめだそう。

「昇運丸」船内のキッチン。乗組員8人分の食事をここで作る。きつい仕事の中での最大の楽しみはやっぱり食事なのだそう。
ずらり並んだ船内機器。魚群探知機のほか無線などたくさんの機械があり、船長・機関士は常にその情報に目を光らせている。

白く透きとおる繊細な身、口に入れるとすぐに広がる潮の香りととろりとした甘さで、多くの人をとりこにする“松葉がに”。その美味しさを堪能するには、やはり鳥取へ来るのが一番。かにの全てを知り尽くした地元の料理人が、刺身・焼きがに・かにすき・天ぷらなど様々なかにのおいしさをど~んと教えてくれるはずです。

また、実際に生きている“松葉がに”が見られる「とっとり賀露(かろ)かにっこ館」もおすすめ。入場無料の展示施設ですが、侮るなかれ。深海にすむ“松葉がに”をはじめ、世界の珍しいかにを展示・飼育しています。

最後にお得な情報をひとつ。毎年かにシーズンには、鳥取への交通とかにの昼食がセットになったプランやかにのフルコースが付く温泉旅館の宿泊プランなど、たくさんのお得でおいしい企画が目白押しです。上手に利用して、おいしい鳥取へぜひ来てみんさいな。

 

「昇運丸」で獲れたかには、インターネットでも販売中です。

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