from 鳥取 – 24 - カヌーでゆったり海上散歩。スリルも味わえハマリます!

(2009.07.22)

最近ぞくぞくと海水浴場がオープンし、夏モード全開の鳥取です。鳥取に住んで何が一番うれしいって、このすばらしい海がほんのすぐそこに広がっていること。青い空、白い雲はおつまみ程度、主役のコバルトブルーの海がドーダ!とばかりに、波を打ち寄せます。水の色もすばらしいのですが、また透明度も抜群。そこかしこにお魚が泳ぎ、まさにパラダイス♪の毎日です。

この海岸が今、少々賑やかになっています。それはずばり「世界ジオパークネットワーク」への加盟にがんばっているから。これって「世界遺産」登録と似ているようですが、すっごく簡単にその違いを言えば「世界遺産」は保全が目的、「ジオパーク」は活用が目的といったところ。対象エリアは、東は京都府京丹後市から、西は鳥取市の白兎海岸まで。起伏にとんだ海岸線に、日本列島がアジア大陸の一部であった時代の岩石が見られ、日本列島誕生の秘密がわかる貴重な自然物なのだそう。

奇岩だらけの海岸。海に点在する岩の島には青々とした松が生え、菜の花が黄色の花を咲かせる不思議な光景も見られます。

そんなすばらしい海岸線をめいっぱい楽しむ方法を発見! 「カヌー」です。船体はプラスチック製で、一人乗りは長さだいたい2~3メートル前後、重さ約20キロ。パドルを駆使して、海面を滑るように移動します。今回は鳥取県自然体験塾の長谷川さんにコーチをお願いしました。

カラフルな船体のカヌー。背もたれ付きで、なかなか快適。前後にあるクロスされたゴムは、飲み物や転覆時に排水するためのポンプなどを挟み込んでおきます。
まずは陸上での講習から。カヌーへ乗り込むときの姿勢についてのレクチャー中。陸上では非常に簡単なこの動作、水際で実際にすると…。何事もチャレンジあるのみ。

「今日はちょっと波が高いですね。一応、沖に出ますが状況によっては戻ることもあります」という長谷川さんの第一声から始まった講習。準備体操から始まり、カヌーやパドルの説明、操作方法、もしものときの安全対策などを教わり、早速海へ出ます。波よ、治まってくれ~。

網代港内を前進中。湾内だということを忘れていて、意外に簡単かも…、なんて錯覚を起こしていた時期。釣り人に“上手だね~”なんて言われ、上機嫌で挨拶。
沖に出ると、こんな感じ。ゴツゴツとした岩の間を慎重に進んでいきます。たまに潮の流れのせいなのか、ぶわ~っと一気に流されてしまうこともあり、気が抜けない。

いざ、出発! 今日は、岩美町にある網代漁港から鴨ヶ磯海岸を通り、城原海岸に向かうコース。基本動作はとってもシンプル。パドルの左右についたシャトルを水面に90度に入れ、大きく水をかくということだけ。右、左と交互にかいて前進、シャトルを水につける位置や後ろからかいたりして、方向転換や停止もできます。超ビギナーの私、わかっちゃいるけど、これがなかなか難しい。“習うより慣れろ”の精神でなんとか長谷川さんの後を追います。それでも少しコツがわかると、すい~すい~とあめんぼのように前進できるようになり、ホント楽しい! 思ったよりもカヌーは安定していて、水面をそよぐ風や海水がほどよく涼やかで、なんとも心地いい時間が流れます。周囲を見回すと、すぐそばにはそそり立つ断崖絶壁が続いています。このあたりは、マグマが冷えて固まるときに体積が収縮してできた規則的な柱状の割れ目「柱状節理」などが見られる貴重なスポット。カヌーだとまじかに見られるので迫力満点。場所によってはその岩に触れることもできちゃいます。

透明度の高い山陰海岸。カヌーに乗ると、こんな色鮮やかな魚たちが群れで泳ぐ光景がすぐそばで見られます。思わず手を出してしまうほどの、美しさ。
スリル満点、こんな洞窟のようなところにも入ります。
ほかにトンネル状になった洞門などもあり、くぐり抜けることもできます。これぞカヌーの醍醐味!

途中には、洞門と呼ばれる自然のトンネルや洞窟もあり、ちょっとしたスリルも味わえます。そうこうしているうちに、海は徐々に荒れ模様、うねりや白波が目立ち始めました。横波に弱いカヌー、転覆しないように波に対して垂直に進路を変更します。こうなると大海の小船、木の葉のようにあちらこちらに流されつつ、懸命に舵を取ります。が、ここで緊急事態発生! 船酔いになりました、私が…。体力も気力も限界の私を見て、急遽引き返すことになりました。すみません、みなさん(無念)。本来は入り江のようになっている鴨ヶ磯海岸に上陸し休憩と磯遊びをし、さらに城原海岸のゴールを目指します。

カヌーは予想以上に体力を消耗するので、途中こんな浜辺で休憩をします。今の時期ならば、ウミウシやくらげの観察もできるそう。もちろん小魚はたっくさんいます。
自然の不思議さ、すばらしさを実感できる風景がそこかしこに広がっています。まさに日本海の荒波と風が作りあげた、自然の美術館。

あっけない幕切れとなりましたが、「岩や洞窟をぬっていくスリル、水辺の生き物と触れ合える癒しなど、カヌーの魅力はいっぱいありますよ」という長谷川さんのお言葉通り、自然の雄大さを改めて知るすばらしいカヌー体験でした。そして思うのは、やはりこの自然の美しさをいつまでも残していくことの大切さ。「世界ジオパークネットワーク」への登録はもちろん、それだけで満足せず常に自然と向き合いっていきたいと強く感じました。最後にひとこと。カヌー体験の前日は早く寝ること! 体調を万全にして思う存分楽しんでくださいね~。

 

<今回体験したコースの詳細>

 
浦富海中公園カヌーツーリング

開催時期:9月初旬まで コース:網代漁港~浦富海中公園~城原海岸
体験料:大人5,000円、小人3,000円(小学3年~中学生)、親子6,000円(大人1人・小人1人) 
問い合わせ:岩美町観光協会 Tel.0857-72-3481 (予約は3日前までにお願いします)

 
鳥取県自然体験塾

今回体験したコースのほかに、奥行き150m・高さ10m・幅8mもある海食洞門“龍神洞”をメインにしたコース設定もあります。カヌーは二人・三人乗りもあり、小さなお子さんでも親子で楽しむことができます。

http://www.hal.ne.jp/sizen/