from 北京 - 29 - ビッグメゾンが中国で続々開催
シャネルの北京展覧会へ行ってきた

(2011.12.13)

いまやラグジュアリーブランドの主戦場、中国。

報道によれば、WORLD LUXURY ASSOCIATIONが、2012年には中国が高級品市場の規模で日本を抜き世界一になるだろうと発表したそうです。PRADAをはじめ、中国市場での成長を狙ってか、香港の株式市場に上場するブランドも増えているそうですし、アジアといえばまずは日本、という位置づけも変わって来そうですね。

それを裏付けるかのように、このところ、中国ではラグジュアリーブランドのいわゆるビッグメゾンが、ブランドの歴史を紹介するような展覧会を開いています。この1〜2年で足を運んだものを挙げれば、Christian Dior、Cartier、Max Mara、Louis Vuitton、BVLGARI…といった感じで、それぞれが中国を代表する美術館や博物館を会場にするか、もしくはアートスポットに大規模な設営で独自の世界観を作ることに成功していたものもありました。それぞれ、過去の貴重なアーカイブだったり、中国の新進気鋭のアーティストとのコラボ作品だったりと、趣向を凝らしてブランドのコアを伝えようとしているのが、良く分かるものばかりでした。なにせ、気合い入ってるんです。


今回は中国美術館、シャネルの展覧会へ

今回行って来たのは、シャネルの展覧会。11月からスタートしていた展覧会で、出張で空港に行くたびに、北京の空港にも上海の空港にも大きな広告が出ていたので、さぞかし力の入った展覧会なのだろうと、楽しみにしていたのです。“CHANEL – Dialogue of French Design Pioneer and Artists”と題され、ココ・シャネルから現在のカール・ラガーフェルドまで、ブランドがそれぞれの時代の様々なアーティストとの交流を通じて、プロダクトに与えた影響を垣間みることが出来るものでした。ジャン・コクトーにサルバドール・ダリ、モンドリアンにピカソ、手紙のやり取りやデッサンなど、思わず唸ってしまう珍品揃いです。こればかりは新興のブランドに真似できないな、と。やはりそれは、歴史ですよね。歴史が作って来たデザインの重みを感じました。また、展示は「シャネルといえば」のN°5やカメリアなど、今やブランドの根幹になったモチーフの誕生にも触れていて、ファッションに詳しくなくても楽しめるないようだったと思います。

個人的にとても印象深かったのは、古いアーカイブのドレスやスーツ(いわゆるシャネルスーツ)のデザインが全く色褪せていないこと。見方によっては、当時のデザインの素晴らしさというコトになるのでしょうが、私からすると、現在のラガーフェルドが過去のデザインアーカイブを踏襲して現在のデザインに昇華させているから、今なお色褪せずに見えるのではないかと感じたのです。つまり、ラガーフェルドの力量の凄さを思い知った気がしました。


ブランドはますます充実、でも少し寂しい……

今回改めて感じたのは、中国におけるラグジュアリーブランドの勢い。そして、見に来ている人たちの熱気。若い観客の中には、おそらくはデザイン学校かなにかの学生なのでしょうか、スケッチやメモを取っている人も多く、そんなコトからもその勢いを感じずにはいられませんでした。

今やアジアでナンバーワンのフラッグシップショップが中国に最初に出来る時代です。北京の私の家の目の前には、バーバリーの新コンセプトフラッグシップショップのアジア一号店があります。先日日本に出張した際、日本のブランド関係者の人からは、今年の国慶節(10月1日の建国記念日の一週間休み)の中国人観光客が少なくて売上が前年割れしたとか、少し寂しい話しも聞きます。でも、日本には日本の、成熟した良さがあると、海外に居て本当にそう思います。自分自身、中国で日本企業のマーケティング支援をする仕事に就いていて、自分の仕事を通じて、日本を元気にしたいと思って仕事をしています。中国の勢いに負けないで、乗じてやるくらいの気持ちで頑張らないといけないですね!