from ロンドン - 3 - 斎藤理子のロンドンオリンピック便りロンドンでの移動は貸し自転車で。
そして五つ星ホテルで極上の滞在を。

(2012.03.19)

2012年7月27日から始まる、ロンドンオリンピック&パラリンピックに向け、着々と準備が進んでいるイギリス。1908年の第4回、1948年の第14回に続き3度目の開催となるロンドンですが、同じ都市での3回開催は世界初とあって、成功に向けての意気込みはかなりのもの。「持続可能性」をテーマに、様々なアプローチで後世に負担をかけないエコなオリンピックの実現に取り組んでいます。夏に向けて徐々に盛り上がりを見せるロンドンとイギリス各地の様子を、お伝えしていきます。

小回りが利くレンタル自転車。
ステーションも増えて使いやすく。

普段からたくさんの観光客で賑わうロンドンですが、オリンピックの最中は1日に80万人(!)以上の人が移動すると予想されています。これに加えて、通常の通勤通学もあるわけで、ただでさえ渋滞がひどい中心地はどうなってしまうのか、今からとても心配です。オリンピック実行委員会は、オリンピックのチケットに、その試合当日に限り無料で公共交通機関が利用できるパスをつけるなどして、観客が移動する際には公共交通機関でと強く訴えています。

第1回目でご紹介した最新の高速鉄道“オリンピックジャベリン”はじめ、様々な交通網が整備される「オリンピック・パーク」への移動は問題なさそうです。問題は、バスも地下鉄もいつも大混雑のウエストエンドやナイツブリッジといった中心地でしょう。オリンピック期間中に観光やショッピングも楽しむのはちょっぴり大変そう。そこで活躍しそうなのがレンタル自転車「バークレイズ・サイクル・ハイヤー」です。

パリの「ヴェリブ」にヒントを得て導入されたこのレンタル自転車。後輪の青いカバーが目印です。今や町中にこの駐輪ステーションがあり、目立つ青の標識ですぐに見つけられます。1日単位で借りられて利用方法も簡単なので、これで行動範囲がぐっと広がりそう。ただし、イギリスでは自転車の歩道走行は禁止。車道を通行することになるのですが、自転車専用レーンがほとんどないロンドンで車道を走るのはなかなかスリリング。くれぐれも安全走行を心がけてください。

レンタル自転車ステーション。バス停に似たブルーの標識が目印。
バス停のような標識には貸し出し用のタッチスクリーンがあり、手順に従って操作して契約料を払う。
五つ星ホテルがリニューアル。
洗練の空間で極上の時間を。

街中がお祭り騒ぎになるでしょうから、滞在するなら静かでゆっくりとくつろげるホテルを選びたいですね。ロンドンには個性的なホテルがたくさんありますが、今最も旬なのが、リニューアルオープンしたばかりの「フォー・シーズンズ・ホテル・アット・パークレーン」。2008年に全面改装のため閉鎖されたこのホテル。2年の月日をかけ、昨年の1月31日にまったく新しいデザインに生まれ変わりました。歴史を感じさせる建物の外側はそのままに、重厚だった内装を一新。クラッシックとモダンが丁度良いバランスで融合しているインテリアが出迎えてくれます。洗練されているのと同時に温かみもある空間が魅力です。

客室は192部屋。以前より部屋数を減らし、ゆったりとしたスペースを確保したそう。スイートの数も45室に増えました。ゴージャスだけど華美すぎない部屋の居心地は最高。窓の外には広大なハイドパークの緑が広がり、都心にいることを忘れてしまいそうです。居心地が良すぎて出掛けるのが嫌になってしまうのが、難点かもしれません。でも、このホテルはロケーションも抜群。オックスフォード・ストリートやリージェント・ストリート、ボンド・ストリート、ソーホー、ピカデリーサーカス、ウエストエンドやナイツブリッジも徒歩圏内。バッキンガム宮殿にだって歩いて行けます。公共交通の混雑が予想されるオリンピック期間中は、ことさらロケーションの良いホテルが貴重です。

ロビー横にある「AMARANTO」ラウンジ。 Photo/Richard Waite
ダブルルームのベッドルーム。上品で機能的。
スイートルームのリビング。洗練されたインテリア。 Photo/Richard Waite
天空のスパで、究極の癒しを体験。
ゴッドハンドに出会えます。

今回のリニューアルで、スパも大きく変わりました。以前は階下にあったスパをトップフロアの10階に移動。フロア全部を使い、360度ガラス張りにして、高級感と開放感あふれる明るいスパに。ロビーやリラックススームはもちろん、9部屋あるトリートメントルームにもすべて床から天井までの大きな窓があり、どこからでもハイドパークやロンドンの素晴らしい眺望が楽しめます。

スパエリアに一歩足を踏み入れれば、そこは街の喧噪がウソのような別世界。ラグジュアリーで清潔感にあふれた癒しの空間が待っています。最高級ブランドESPAの精鋭エステシャンたちは、どなたもみなさん素晴らしいゴッドハンドの持ち主。とろけるようなトリートメントは、空中に浮かんでいるかのようなロケーションとも相まって、まさに天国のよう。オリンピック観戦や、街を歩き回った疲れも吹き飛ぶというものです。フルボディマッサージが105ポンドからと、最高級ホテルのスパにしてはお値段も手頃。これを体験しないのは、人生の損というものです。

いたれりつくせりのダイニング。
ここだけの美味は見逃せません。

レストランも完全に新しく生まれ変わりました。ダイニングエリアの名前は「AMARANTO」。ラウンジ、バー、レストランの3つのセクションから構成されていて、それぞれ異なった雰囲気になっています。大理石のフロアに黒い皮のチェアや赤いソファが映えるラウンジは、洗練されたサロン。高い天井も気持ちが良く、つい長居をしてしまいそう。ランチやコーヒー、もちろんアフタヌーンティも楽しめます。

黒と深紅の大胆な色使いが大人の雰囲気たっぷりのバー。スチールとガラスで出来たモダンな暖炉が素敵です。その暖炉まわりのソファは特等席。ゆったりとしたソファに身を沈めれば、何時間でも過ごすことができそうです。ここにはガラス張りの大きなワインセラーがあり、ソムリエがワインを選んだりデキャンタージュしている姿が見られます。その中から、なんと250種ものワインをグラスで提供。グラスワインがこれだけの種類あるのはロンドンでもめずらしく、すでに大人気のバーになっています。

メインレストラン「AMARANTO」は、モダン・イタリアン。シェフのダヴィデ・デジョヴァンニ氏は、イタリアンをベースにインターナショナルなテイストを上手く加え、オリジナリティあふれる料理を創り出します。クリエイティブで洗練された味は、すでにメディアでも高評価。朝食は明るく爽やかなコンサバトリーで、ランチは緑に囲まれたパティオのオープンテラスで、ディナーはキャンドルライトが揺らめく落ち着いたダイニングデーブルで、と時間やシチュエーションに合わせて使い分けられるのも嬉しい配慮です。

ラグジュアリーなホテルは、旅をストレスフリーにしてくれます。行き届いたサービスはあくまでもエレガント。世界に冠たる英国式ホスピタリティを、是非体感してみてください。

「AMARANTO」ダイニングから見たバー

左・「AMARANTO」レストランのテーブル
右・「AMARANTO」バーのカウンター

右・「AMARANTO」レストランの絶品イングリッシュ・ブレックファースト
左・「AMARANTO」レストラン。外のオープンテラスでも食事が出来る。
【関連リンク】

「ロンドンオリンピック&パラリンピック公式サイト」
英国政府観光庁 ブログ
フォー・シーズンズ・ホテル・アット・パークレーン

【協力】

ヴァージン アトランティック航空
英国政府観光庁