from 福岡 - 13 - 小倉十日ゑびす祭 宝恵かご道中
なぜ60年続くのか?

(2013.01.23)

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1月10日、極寒の宝恵かご道中。

福岡県北九州市小倉で行われている年始の行事「小倉十日ゑびす祭 宝恵かご道中」は、昭和23年から60年続いている。商売繁盛の願いをこめて、20名の芸者姿のミス十日ゑびすと町の世話役、総勢50名が町を練り歩く。ミス十日ゑびすは、公募・他薦で未婚者であることが条件となっている。

1月10日! つまり、相当な寒さである。いや、極寒といえる。私のこの日の任務は、先頭のプラカードもちであった。この日に向けて、着物の下に何を着ようかと慎重に厳選し挑んだ。いざ、出陣と戸を開けるが、あまりの寒さに怖気づいてしまった。スキー場であれば、寒さもなんとか我慢ができるというところであるが、歩くのは真冬の商店街、小倉城、橋など風も強く、プラカードも前のめりで持たないと吹き飛ばされるほどである。

運営側は約30名。10時から17時まで皆欠けることなく町内を練り歩いた。実のところ、風邪もひいており途中でぬけようとも考えていたが、親ほどの年齢の運営の方々ががんばっているのをみるとそうともいかず、結果……、翌日40度の熱をだしてしまい、がんばりすぎたことを多いに後悔した。

歩きながら、すれ違う町内の方々と挨拶をし、そして、町内からでているミス十日ゑびすをみつけては喜ぶ人たちをみると、なんだか温かくなるような気がした(いやっ、やはり、気のせいである。寒いものは、寒い!)。

商店街にて
小倉城にて
北九州独特のかけ声ヨイヨイヤー。

今回、昨年12月に火事で被害をうけた町内へもまわった。まだ煤まみれになっているビルの前でのうちこみでは、一際声が大きくなっているように感じた。

「商売繁盛、商売繁盛で、ヨ~ヨイヨイヤー、ヨイヨイヤー、ヨイヨイヤー!」

声を出すと元気になる。いわれる側は、にっこりなる。また、さらに、大きな声で続ける。

「商売繁盛、ヨイヨイヤー、ヨイヨイヤー、ヨイヨイヤー!」

受けた笑顔が運営側の私たちの元気になる。このヨイヨイヤーという掛け声であるが北九州独特のもの。地域それぞれ色々な掛け声があるであろう。小倉祇園太鼓の際にわが町内のしめはいつもこのヨイヨイヤーである。両手を大きく広げ大きな魚を抱えた如くに両足を広げて、下から上に魚を持ち上げるスタイルである。女性は控えめにということであるが、着物をきていても、大きく足を広げそうになるのはどうもいけないところ。母親が飛んできて「おしとやかに」といわれそうであるが、つい、勢いづいてしてしまう。

小倉十日ゑびす祭 宝恵かご道中は、大々的に広告をおこなっていない。これは、観光のひとつというよりは行事なのである。チラシには、時間と場所が記載されている。町内に住む方々が、来るのを楽しみにしながら時間になって表にでる。見知った顔をみては、拍手をおくる。何度も掛け声をかけてまわると、世の中そんなに不景気じゃないんじゃないの?という気にまでなってくる。さらには、商売繁盛になるなと思えてくるのは不思議なところ。今年も無事小倉十日ゑびす祭も終えて、景気が上向いてくると信じて60年続いているのかなと感じた。

「これは、自分たちへのエール」そう一念して、自分たちができることを、今一所懸命するぞという覚悟を決めるエール。商売繁盛!と、さらなるやる気と元気をもらって、明るい2013年の幕開け~!


左:ミス十日ゑびすと記念撮影
右:参加者全員