from 北海道(道央) – 23 - 北海道の食材を活かした小樽の「フレンチ」も、味わってみてください!!

(2010.01.26)

「小樽雪あかりの路」で小樽に宿泊・日帰りでいらっしゃった皆さんの参考となればと思い、先週に引き続き、「小樽の食」をご紹介する話題を今回も提供させていただきます。


「小樽雪あかりの路」

「鱈、オマール海老、帆立のポワレ ソーテルヌワインカレー風味」。それぞれの素材の美味しさはもちろんのこと、ソーテルヌワインの香りとカレー風味の相性の良さにびっくり。

小樽に「フレンチ」のお店は、意外と少ない。


小樽市内には、イタリアンやビストロと称するお店はあちらこちらに見かけますが、「フレンチ」と呼ばれるお店は限られています。

小樽市内で「フレンチ」を営まれているとあるお店のオーナーとお話しをしたところ、「どうしても個人に一皿ずつ提供する料理は格式が高く感じられ、小樽の人には合わないのかも知れないですね。そんなこともあって、うちの店では鉄板焼きも扱っているのです」と。確かに、そこのお店の名前を聞くと「あっ、鉄板焼きのお店ですね?」と言われることがありました。

「フレッシュフォアグラソテー 林檎のチャツネとパンドカンパーニュ添え」。フォアグラのソテーをどの果物をベースとしたソースなどと合わせるのか、シェフの感覚が問われますが、見事にフォアグラの美味しさを引き出していました。ポートワインとオリーブオイルのソースも、全体を〆るためには絶妙。

安定したサービスの「フレンチ」のお店。

1998(平成10)年に小樽に開業した「オーセントホテル小樽」。すっかり小樽市民にも定着したオーセントホテル小樽ですが、こちらの最上階にある『レストラン カサブランカ』。私の行きつけの小樽市内の「フレンチ」の一つです。

料理の美味しさはもちろんのこと、安定したサービスで、ホールと調理部門とが常に調和のとれた動きをしていること。また、昨年もある友人の誕生日パーティを開催した際には、ピアノの生演奏で「ハッピー・バースデイ」を演奏していただくサプライズを用意していただくなど、その日の用途に応じた細かな注文を聞いていただくことができること。そして、何より自宅から近いこともあり(JR小樽駅からも徒歩10分程度)、遠方からの来客があった場合にもよく利用させていただいております。

北海道・深川市(ふかがわ)ご出身の洋食料理長の菅原さんは、「素材本来の味を引き出すような料理をつくっていきたい。北海道は素材の宝庫ですから、その個性を殺さないような調理方法をどんどん研究していきたいですね。もちろん料理の基本を踏まえることが前提ですが、斬新なアイデアを取り入れていきたいと思います」と語られています(『オーセント・プレス Vol. 03』から)。
 

創業12年目に入る「オーセントホテル小樽」。「ベーカリー オンディーヌ」のパンは種類が豊富で、小樽市民の人気の的。宿泊された場合、朝食で召し上がりいただけるはずです。
セットされた「テーブルキャンドル」。静かな雰囲気の中、仄かに揺れつつ輝く蝋燭の灯りを、この日はセットしてくださいました。
営業時間前の店内風景。とても落ち着いた雰囲気の中、カップルで、気心の知れた友人同士、ご家族で、北海道の食材を使った小樽の「フレンチ」はいかがでしょう?
「蝦夷鹿ロース肉のスモークとミモレットチーズ」。蝦夷鹿のロースをスモークし、ミモレットとともにいただく。それぞれの食材の品のよさに加えて、レンズ豆がアクセントになっています。

「カサブランカ」に思う。


店名の由来でもある「カサブランカ(Casa Blanca=白い家)」は、アフリカ大陸の北にあるモロッコ(Morocco)の一大海運都市であり、モロッコ最大の都市です。規模に違いはありますが、小樽同様の海運都市であるカサブランカ。むしろ映画のタイトル、あるいはオリエンタル・ハイブリッド種である「白百合」をイメージされる方も多いのだろうと思います。

アフリカ大陸の北にある国を西から東へ、モロッコ、アルジェリア、チュニジアを総称し「マグレブ(Maghreb)」とも呼ばれ、アラビア語で「西」を意味し、そこから「日の没する国」とも形容されます。

自分としてはマグレブのイメージとして、カミュ(Albert Camus 1913-1960)の『異邦人』(新潮文庫)の表紙に中尾進さんが描かれたアルジェリアのどこかと思われる街並が、深く印象に残っています。

しかしながら、『地中海都市周遊』(中公新書)の中で陣内秀信先生が、「たとえば、カサブランカ。地中海というより大西洋海岸ですね。海に近いところだけど、あそこは白い都市で、本当に石灰を塗って白くしてる」と、同じモロッコの街であってもフェスやマラケシュとの建物の色の違いを説明されていますが、実際にはマグレブの街々は各々イスラムの影響の度合いなどによって個性に大きな違いがあるのでしょう。

 

上質な会話とホスピタリティ。


さて、お店に出かけた際に実際に我々と対応してくださるのはマネージャーである栄政樹(さかえ・まさき)さんを中心とした、ホール担当の皆さん。

栄さんは、「元々自分はバーテンダー出身なので、お客さまとのコミュニケーションを大切にしています。食事中の会話が少なくなってきているとすれば、お客さまの状況を把握しながら会話をすることに意を用いているつもりです。特に、小樽や北海道の食材に関するシェフの「こだわり」を、シェフから引き出し、それを上手に会話の中でお客さまに伝えていくことを大切にしたいと考えております」と仰がれております。

「今日は、白と赤、ワインそれぞれ一本ずつ用意しておいていただけますか」と予算を伝えて予約しておけば、自分のワインの好みを知った上で、「ちょうど今年はサッカーワールドカップが南アフリカで開催されますので、渡辺さまに楽しんでいただけるかどうか、白ワインは南アフリカのシャルドネをご用意させていただきました」という、そこからさらに会話が深まる素材を用意してくださるなど、まさにプロのサービスを楽しむことができます。 

先週は小樽観光には欠かすことのできない「お寿司」、今回は「フレンチ」の一端を、私が利用しているお店ということでご紹介させていただきました。

もちろん他にも小樽にはお勧めするべき食事処が数え切れないほどあります !!

皆さんなりの「小樽」を、折角の機会ですので発見してみていただきたいと思いますし、また、楽しい旅行でありますことを心からお祈り申し上げ、皆さんが小樽へと足を運ばれることをお待ちいたしております!!

マネージャーの栄政樹(さかえ・まさき)さん。栄さんとは約4年来のお付き合い。店の顔として活躍されていますが、どの職業にも共通する「サービスの基本」など、彼から学ばせていただくことは多々あります。
南アフリカ・セダーバーグ(Cederberg)のシャルドネ(Chardonnay)2006。ほどよい辛口で、「私はシャルドネ!」と主張し続ける香りがまたよい。良い意味で、ブラインドでテロワールを当てるのは、厳しいかも知れないという印象でした。
この日の赤ワインはブルゴーニュ(Bourgogne)。ルモワスネ・ペール・エ・フィス(Remoissenet Pere et Fils)1999。ブルゴーニュの98、00とヴィンテージのよくなかった年に挟まれ、一際出来のよさを感じることのできる1999ヴィンテージはちょうど飲み頃。和牛フィレ肉にはぴったりでした。
「本ズワイ蟹と帆立貝のガトー仕立て トマトジュレシートで覆って 大根に巻いたパースニップのシャンティー アブルーガをあしらえて」。イギリスではじゃがいもが入ってくる前まで主食だった「パースニップ」。これだけでも会話が盛り上がります。触感、味覚、彩りのどれもが、とてもバランスよく仕上がっています。
「鹿児島産和牛フィレ肉のステーキ 茸入りデュクセルとカマンベールチーズ焼き トマト、エストラゴン香るシャスールソース ポムアンナ添え」。鹿児島産和牛フィレ肉はA4。柔らかさと焼き加減にため息。
「林檎のノルマンディー風フィロー包み グラスヴァニーユ、クレームダンジュ添え」。デセールも評判の高い「カサブランカ」さん。
「まだまだ勉強中です」と言いつつ、先輩ホテルマンを見習いホスピタリティに磨きをかけている武田桃子(たけだ・ももこ)さん(写真左)と瀬川智穂(せがわ・ちほ)さん(写真右)。そう遠くない日に、お店の顔として活躍できるよう応援しています!!

 
【上記以外の洋食系の案内や過去に紹介したお店等は、こちらを参考にどうぞ!!】


小樽の美味しいお店紹介ブログ(フードマイスター魂美さん)


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「悪質な客引きにご注意」(小樽観光協会HP)