from 北海道(道央) – 22 - 小樽の「寿司」を、せめて一度は味わいたい!!

(2010.01.20)
高価な「きんき」(写真左)、「しめ鯖」(きんきの右隣2貫)、「鮑(あわび)」(写真右3個)。
軍艦ものですが、写真奥左2貫は「うに」、右が「いくら」。そして手前の4貫は根室産・「氷下魚(こまい)の子」。「氷下魚の子」は、北海道でも珍重されます。

「小樽雪あかりの路」で小樽に宿泊でいらっしゃった皆さんの参考となればと思い、「小樽の食」をご紹介する話題を今月は提供させていただきます。
「小樽雪あかりの路」

「東京の寿司」でカルチャーショック!!

東京で初めて寿司を食べたとき、一瞬「ギョッ」としたことが未だに鮮烈な記憶として残っています。

それは、茹でた「海老」がネタになっていたから!!

北海道で茹でた海老が寿司ネタになっていることなど一度も経験したことがなかったので、そのカルチャーショックの大きさは、例えて言えば「日本海溝並みの深さ」でした。

また、私自身、『ミシュラン・ガイドブック』に掲載されている寿司屋さんには行ったことはありませんが『ZAGATサーベイ東京版』に掲載されている寿司屋さんならあります(笑))、北海道の美味しい寿司屋さんの寿司を食べてしまうと、東京で江戸前寿司を食べたいというインセンティブは残念ながら沸きませんでした。

決して東京の寿司が美味しくないというわけではなく、北海道の寿司屋さんの安くて美味しい寿司に味覚や財布が慣れてしまったからということであり、誤解ないようお願いいたします。

「小樽と寿司」。その微妙な関係。

記録によると、小樽には明治時代から寿司を出す料理屋はあったようですが、和食・洋食を出す料理屋が寿司も扱っているという状況で、専門店としての寿司屋はオタモイ龍宮閣が創設した『蛇の目寿司』が老舗のようです。(『おたる案内人 小樽観光大学校認定 検定試験公式テキストブック』参照)

「小樽と寿司」と言えば、歌人・斎藤茂吉(さいとう・もきち。1882-1953)氏を父に持つ、芥川賞受賞作家でもある北杜夫(きた・もりお。1927-)氏を抜きにして語ることはできないでしょう。

恐らく、小樽人、北海道人にとっては早く忘れてしまいたい事実だと思いますが、北氏は小樽の寿司屋に立ち寄った際の話として、とある週刊誌に「世界一無礼な寿司屋」という記事を書かれました。

この記事は、当時、札幌や小樽では大きな反響を呼び、「その通りだ!」という意見、「それはちょっと偏見じゃないのでしょうか?」など、賛否両論が飛び交いました。

学生時代の自分にとっては、当時の「小樽の気質」を何となく見抜いたものではないかと、そういう意味からは同感したものです。

伊勢鮨さんでは絶対に注文を忘れてはいけない積丹(しゃこたん)の「たらこ」。外側が軽く炙られ、一度食べたら確実に病みつきになります。
「お好み」で注文しても、白身系は白身系で盛り付けてくださる。「そい」(写真左)と「平目」(写真右)。

「小樽寿司屋通り」の誕生。

1987(昭和62)年、小樽を代表する魚である鰊(にしん)をはじめとした「魚供養祭」が発足したことを契機に、「小樽寿司屋通り会」が結成され、小樽の観光ガイドマップに掲載される寿司屋さんが立ち並ぶ「小樽寿司屋通り」へと発展し、現在はここに出展している約20店舗(小樽全体の寿司屋は100店舗を越えると言われています)が中心となり、そうした北氏の記事を跳ね返すべくホスピタリティに磨きをかけ、皆さんのお越しをお待ちしております!!

一方で、札幌のススキノなどと同様、観光客をターゲットとした「悪質な客引き行為」が現在も繰り返されているようなので、是非事前に店舗を確認するなど、客引きの誘いには乗らない細心の注意も欠かせません。そもそも、こういうことを話題として書かなければならないこと自体、寂しいことです。

「悪質な客引きにご注意」/小樽観光協会HP

自分はご近所のお寿司屋さんが馴染みです。

さて、地元に住む私ですが、徒歩15分圏内(JR小樽駅から徒歩10分圏内)で自宅から最も近い寿司屋さんが「小樽寿司屋通り」とは別な場所に2軒あります。律儀なもので(笑)、やはりご近所のお寿司屋さんを贔屓にさせていただいております。

1軒は、JRのガード下でお店を営まれる『たかつか』さん。にこやかな大将とお綺麗な奥さまを中心に店を経営されていて、カウンターと小上がりを含めても15人程度が入れるとてもアット・ホームなお店です。小樽の地酒とともにお寿司をゆっくりと味わいたい方向きのお店とでも言えましょうか。

もう1軒は、創業40年の『伊勢鮨』さん。

店主の小伊勢貴洋(こいせ・たかひろ)さんは2代目。また、こちらも美人な奥さまである女将・小伊勢和枝(こいせ・かずえ)さんは、日本酒ソムリエということもあり、その日の寿司に合わせた美味しい日本酒も飲みたいというときには、伊勢鮨さんを利用させていただきます。もちろん日本酒にあった一品料理も豊富に取り揃えております。

どちらのお店も地元はもちろん、観光客の皆さんにも大人気であり、数日前までに予約を入れておかなければなかなか入ることは難しいので、来店時には「事前予約」がお勧めです。

なお、徒歩15分圏内の私は、出前をお願いできるという地元ならではのメリットがあるので、急な来客時など、大変重宝しています。海があり、山がある小樽。「あ~、小樽は最高」と感じる瞬間とでも言えましょうか。

写真は先日『伊勢鮨』さんにお邪魔したときのものを使わせていただいておりますが、小樽には100軒以上のお寿司屋さんがあります。小樽にいらっしゃった際には、是非とも「お寿司」を楽しんでみてはいかがでしょうか。

【お寿司以外の和食系の案内は、こちらを参考にどうぞ!!】
「小樽の、期待の若手「創作和食」職人。
小樽の美味しいお店紹介(フードマイスター魂美さんブログ)

『伊勢鮨』さんの日本酒ソムリエである女将が選定した「厳選・日本酒リスト」。思わず、一通り飲みたくなること請け合い。
座敷に上がっても、自分は「お好み」でいただきます。醤油を付けず、天然塩やすだちが絶妙なバランスで使われているネタが多く、伊勢鮨さんならではの特徴です。もちろん、1貫づつから注文することができます。また、「握り」のコースも用意されていますので、安心していただけます。
この日は「臥龍梅」(がりゅうばい)をいただく。静岡県のひやおろし・純米吟醸生原酒。やわらかで、上品かつ“シャブリ”にも通じる辛味(日本酒度+3)も感じる一本。酒造好適米は「山田錦」を使用。
お通しは「岩海苔」と「いかの塩辛」。一品料理も充実しています。お店のHPでご確認ください。
鮪(まぐろ)づくし。写真上4貫が「赤身」。写真下奥2貫が「漬け」、手前2貫が「中トロ」。
写真奥から順に、「たらこ」(奥2貫)、「穴子」、小樽名物の「しゃこ」、「タラバ蟹」。去年から「シャコ祭り」が小樽では開かれるほど、小樽のシャコは美味しい。
玉(ぎょく)。〆には、やはり「玉」ですね。
海老の頭が入った「お吸い物」。柔らかな出汁の風味で、とってもよい気持ちになります。
この日は札幌在住の親友たちが「小樽で寿司を食べよう会」ということで集まりました。特別に「個室」を利用させていただきましたが、テーブルの上は、見事、何一つ食べ物が残されていません(笑)。