from 鳥取 - 89 - すべて砂でできた奇跡の芸術
「砂の美術館」鳥取砂丘にオープン

(2012.06.06)

世界初の完全屋内展示

砂でできた彫刻「砂像(さぞう)」を展示する鳥取砂丘「砂の美術館」が、この春装い新たにオープンしました。2006年のスタート以来、延べ100万人以上の来場者が訪れている人気スポットですが、これまでの屋外または仮説テントでの展示に変わり、全天候型の屋内施設として生まれ変わりました。

砂像を展示する施設として、屋内型はなんと世界初だそうです。新たな施設は以前に比べ展示面積が約2倍、作品数も約1.5倍とスケールアップし、これまではなかった2階回廊からも鑑賞できるようになりました。

リニューアルして初の展示となるテーマは「砂で世界旅行 イギリス」。イギリスといえば、ロンドンオリンピック開催、エリザベス女王即位60周年と、何かと全世界が注目の年ですよね。

さて、私も先日行ってきました。自慢じゃないですが、これまで第1期展示からすべての展示を観てきたわけでして(プライベート、仕事を含む)、世界初の屋内展示がどんなもんか、ドキドキワクワク。

エントランスは無機質なコンクリートにメタリックのロゴがかっこいい 外観。ここにも砂像が。
細部まで見過ごせないすべて砂による表現

階段をのぼって(エレベーターもあります)展示スペースへ一歩入ると、おおすごい!想像していたより広い!屋内ということで、もしかしたら窮屈感がでているのではないか?という私の余計な心配をよそに、天井は高く自然光が開放的。

おや?奥に見えるのはもしや、あの有名な時計台、ビック・ベンかな?そしてあそこにみえるでっかい骸骨はなんだ?? いきなりテンション高めになる自分を抑えつつ、順路に従い中へ。世界トップレベルの砂像彫刻家の作品だけあって、どれも見ごたえ充分です。細部の表現をみると、作り手のこだわりが垣間見れてすごくおもしろいです。

窓から身を乗り出して、クロスをはたいている人。右写真の全体 像からみるとほんとに小さな部分。
赤丸の部分が左写真の人物がいるところ。
メガネをかけた人物像。ちゃんとそこにレンズがあるようにみえる のがすごい。
会場の奥に鎮座するのは、エリザベスI世の像。前に立つと、漂う 気品と威厳に圧倒される。
計算しつくされたレイアウト

会場全体の背後には、ビック・ベンとウェストミンスター寺院が。このレイアウトが非常に巧妙で、これらの配置で全体の奥行きがぐっと広がって見えます。さすがです。

会場を一周し、次は2階回廊へ移動。どんな光景が広がるか、期待を胸に上がってみると…こんなかんじか、なるほど。まるで大きなおもちゃ箱の中をのぞいているような感覚で、また1階とは別のものに見えてくるのが不思議でした。 それとは別に、ウェストミンスター寺院については、1階では見上げる角度にあったものが間近に見ることができ、その大きさ、リアルさに驚きます。

いやぁ、今回もすごかったな~。と、大満足して会場を後に。すると、幸いにも、野外テントで公開制作中だった(公開制作は終了しました)砂の美術館総合プロデューサー茶圓勝彦(ちゃえんかつひこ)さんとお話することができました。

世界初の砂の美術館オープンにあたって、完全屋内ということで天候に左右されず制作できた半面、屋内ならではのアクシデントもあったそうです。砂像は水で固めた砂の塊を削りだして作られるのですが(凝固剤などは一切使っていません)、野外だと自然に水分が蒸発し、砂像が固まっていくのですが、屋内だとその乾燥がうまくいかず、崩落が何度かあったそうです。加えて、限られた空間を最大限に生かすため、レイアウトには非常に気を配られたそうです。

こういうお話を聞くと、ほんとに砂像は繊細ではかなく、奇跡の芸術だなぁと改めて感動します。ぜひみなさんも、世界初の砂の美術館、ご覧ください!尚、砂の美術館を観た後は…砂の美術館の半券を提示すると、鳥取市内の飲食店などでお得なサービスを受けることができます。ぜひこちらもご利用ください。

鳥取砂丘「砂の美術館」
第5期展示 砂で世界旅行 イギリス~語り継がれる大英帝国の繁栄と王室の誇り~

会期:2012年4月14日(土)~2013年1月6日(日)
時間:9:00~20:00 *入館は閉館の30分前まで (日没後はライトアップ) 無休
観覧料:一般600円(500円)、小中高校生300円(200円)
( )内は、20名以上の団体料金、障がい者手帳所持者は無料
会場:鳥取市福部町湯山2083-17
アクセス:下記砂の美術館公式ホームページ内に詳しく掲載されています。
問い合せ先:Tel. 0857-20-2231 Fax. 0857-20-2232
公式HP:http://www.sand-museum.jp/