from 香川 – 6 - アート×農業×音楽=異彩を放つ時空間。

(2010.06.16)

「アートで田んぼ」野外イベント

5月も終わり、陽射しが日々強さを増し、新緑が眩しい季節と共に、今年は数日遅れの梅雨入り。6月は田植えの時期でもあり、あちらこちらから蛙の鳴き声が聞こえてくる季節になりましたね。

今年で10年目を迎える「アートで田んぼ」のイベントは、県内外からプロ、アマ問わず現代アート作家や芸術家が集まり、田植えを間近にした田んぼにオブジェを飾り付けたり、また、県内外からのアーティストが集い、民族音楽やダンスミュージック、ボサノバ調の大自然に溶け込む音楽の祭典・野外コンサートが、三豊市高瀬町上麻で5月29日(土)、30日(日)の2日間で開催されました。

会場は、香川県ではお茶の産地として名高い三豊市高瀬町。
どこからともなく、うぐいすの鳴き声が聞こえ、ゆらゆらと揺れる田畑のあぜ道には、名も知らない黄色い花が咲きほこり、花を横目にぐんぐんと会場にあるいて行きます。

青い空の下、新緑の生い茂る山中のはるかかなた先、目に飛び込んできたものは、まるで古代人の集落がある自然の原点にタイムスリップしたかのような異空間。

草木や田んぼと融合しつつ、現代アートが横たわっていたり、わらを束ねて輪にしたものを竹にくくりつけて、上からつるした作品などが出迎えてくれました。
その空間では、10数組の芸術家達のアートが風と自然に溶け込んでいました。

水を溜めた田んぼでは、子供たちが裸足でどろんこまみれになりながら、駆け回ったり、お手製ブランコに乗ったり、数メートルある竹を束ねて滑り台のようにした作品もあり、芸術群を観賞するだけでなく、束ねられた竹製の滑り台に駆け上がり、アートと溶け込む田んぼで遊ぶ子供たちの姿を見ると、あたり一帯がまるで無の聖地のようでもありました。また、ジャズ、ハウス、ボサノバ調の音楽や唄声が響きわたり、自然と私の心や体も動きだし、リラックスした気分を味わうことができましたよ~。

また、アートや田んぼ周辺を取り囲むように、地元の仲間達が集い、定番のうどんなど飲食店も屋台形式で出店していました。

夕方からは、今年は『渋さ知らズ』がゲストで公演もあり、老若男女ですごく賑わっていました。来場者は、ここ数年300人前後だそうです。この場所にしてはかなり多い!! その魅力はすごいものでした。

 
農業に溶け込んだアート活動

「生活に密接に関わりのある農業とアートをつなぎ、関係性を深めて表現していきたい」という思いから、自前の田んぼ(約7000㎡)を会場とし、多彩なイベントを重ね継いで今年で10年。

泥んこまつりからはじまった「田んぼでアート」から、開催して5年目にして「アートで田んぼ」と言えるイベントが、定着してきたと語る農業兼芸術家の河野博さん。
主催者の一人である河野博さんは、フランスの画家、セザンヌの絵に衝撃を受け18歳で絵描きを目指して上京。香川に戻ってきてからは、家業の農業を継ぎ、個展を開くなど芸術家としての才能を発揮しながら、農業と芸術の関係性について野外活動を通して創作し、表現し続けています。

農業と芸術と音楽の異彩空間の中には、地元の住民をはじめ、そこに集う人々や芸術家達の感性が交差する空間。 生産活動の原点が農耕であり、人間は、自然がするべき種をまいてきました。自然と人間の生活をつなぐ回路のようなものが、宗教、文化、芸術であり、人が人として生きるためには、かかせないものであると思います。

昔を遡ること幾数千年、農耕民族時代から長い月日を経て、現代生活に至るまで、農業の中に潜んでいる芸術的感性が、宗教、文化、芸術という形で現代に継承され、ここに集う人々の感性により、アート×農業という形態で再考され始めています。

「農業にとってアートは、“くわ”のような道具である。」との河野さんの言葉の意味が少しずつ分かるような気がしました。

今年は、アートという未知のツールで人と人とのハートをつなぎ、香川県のみならず、世界へ瀬戸内の魅力を発信する祭典として、高松市サンポート地区を拠点とし、7つの島々を舞台とした「瀬戸内国際芸術祭2010」が開催される予定です。
会期は7月19日(月)~10月31(土)日まで。

これからも島、海、人、空から、アートをお届けしようと思っています。

最後に、瀬戸内国際芸術祭2010を支えているサポーター『こえび隊』の募集もまだまだ受付中!!  作家さん達の制作活動のサポートや、会期中の運営やツアーガイド、島内のお祭りやイベントなどなど盛りだくさんの活動があり、そこには、島内の住民とのふれあいもあり、心温まる物語が生まれそうな予感。こえび隊という活動を通して新しい自分も発見できるかも!! 人生のプラスになること間違いなし。是非皆さんも協力してみてはいかが??

 
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瀬戸内国際芸術祭2010