from 山形 - 1 - 「国境もジャンルも超越した美しい音楽」を求めて。

(2010.11.15)
山形公演の会場のひとつ、山寺『風雅の国』。幾多の素晴らしいライブを演出して来た素晴らしい会場です(写真は昨年のヘナート・モタ&パトリシア・ロバートの時のもの)。

初めまして。今回から山形の情報をお届けします。私は本業の医師の他に、山形ブラジル音楽普及協会(通称「山ブラ」)という会を運営しております。この会はもともとブラジル音楽「不毛の地」山形に、ブラジル音楽を根付かせたいという有志によって、軽い気持ちで立ち上げられたもので、できるだけ大袈裟で、格好悪い名前をつけたのですが、いつの間にか今年で10周年を迎え、これだけ継続するものであればもう少し素敵な名前にしておくべきだったと、今は後悔しています(笑)。

現在でもブラジル音楽が主体ですが、ジャンルや国籍にこだわらない良質な音楽(もちろん我々の「好み」を基準に)を山形に招聘しております。しかし残念ながら山形は、音楽に関する情報に最も恵まれていない土壌なのです。良質な情報の発信元である大手の輸入盤店が一つもないという残念な環境にある稀な県で、自ずと音楽の情報媒体はテレビになってしまい、そこに出てくるJ-Popが音楽の主体となってしまいます。従って素晴らしいアーティストが山形に来ていることに気付いていない方がとても多いのです。音楽の聴き方も保守的で縦割り的、即ちジャンルで音楽を聴く傾向が強く、残念ですが「この音楽はどういうジャンルですか?」とか、「この音楽はどのように聴けば良いのですか?」という類いの質問に答えなければならない状況です。我々の目指す横断的に自由に音楽を聴く姿勢は今のところ全く根付いておりません。

さて10周年にあたって、本年10月にはアルゼンチンの巨匠カルロス・アギーレと、ブラジルはミナス・ジェライスからの夫婦デュオ、へナート・モタ&パトリシア・ロバートを招聘致しました。彼らの音楽は「国境もジャンルも超越した美しい音楽」そのものであり、我々の求めた今年の音楽を象徴する二組でありました。
 

まさに今年最大の奇跡であったカルロス・アギーレの来日、そして山形公演。徹底的な美意識と、穏やかな人柄に感動しました。
昨年も山形でのライブが大好評であったへナート・モタ&パトリシア・ロバート。今回も素晴らしい公演でした。美しい音楽を奏でる美しい2人でした。

そして10周年記念の最後に来形して頂くのが、ニュー・アルバム『メランコリア』をリリースされた中島ノブユキさん。このアルバムは、ジャンルや国境という呪縛から実に自由で、しかしながら中島さんの美意識によって見事な統一感と調和を示す優美で切ない傑作です。中島さんの音楽こそが「国境もジャンルも超越した美しい音楽」のもう一つの鍵であろうと考えています。逆に言えば山形の人には実に説明しづらい音楽でもありますが(笑)。

その中島さん率いるNobuyuki Nakajima Small Ensemble(中島ノブユキ/ピアノ 、北村聡/バンドネオン 、中村潤/チェロ)の山形公演が、12月4日、美しい山寺『風雅の国』を会場に行われます。皆様是非いらして下さい。
 

中島ノブユキさんの新譜『メランコリア』。ジャケットの質感も素晴らしい。
山形公演のフライヤーです。

 

【Live information】

Nobuyuki Nakajima Small Ensemble live in YAMADERA
“Chega de Melancolia”



出演 :中島ノブユキ(ピアノ)
、北村聡(バンドネオン)
、中村潤(チェロ)


日時:2010年12月4日(土) 開場 18:30 開演 19:00

会場:山寺風雅の国 馳走舎(山形市大字山寺南院4224)
JR仙山線山寺駅より徒歩10分
チケット:前売4000円 / 当日4500円

主催 :SPIRAL RECORDS / 山形ブラジル音楽普及協会

お問い合わせ:山形ブラジル音楽普及協会 bossacur@ma.catvy.ne.jp

中島ノブユキさんについて詳しく知りたい方はこちらを参考に。
☆スペシャル対談 ~素晴らしきメランコリーの世界~